Webデザイナーの将来性は? 10年後も活躍するために身につけたいスキル

Webデザイナーの将来性は? 10年後も活躍するために身につけたいスキル
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2021/06/30 08:00

 Webデザイナーは、Webサイトの制作やデザインを担当する、IT職の中でも人気の高い職業です。Webデザイナーの将来性のほか、現在の状況を踏まえて、今後も活躍し続けるために求められるスキルやキャリアパスを紹介します。

Webデザイナーの将来性は? 10年後も活躍するために身につけたいスキル

 Webデザイナーは、Webサイトのデザインを担う、IT職の中でも人気の高い職業です。しかし、Webデザイナー人口の増加やAIの発展、簡単にWebページをデザインできるツールの開発などにより、「将来的にはWebデザイナーの仕事はなくなる」との懸念も聞かれるようになりました。

 ここでは、Webデザイナーの将来性のほか、現在の状況を踏まえて、今後も活躍し続けるために求められるスキルやキャリアパスを紹介します。

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Webデザイナーの現状

 Webデザイナーの需要は、Webサービスの普及とともに上昇し、Webデザイナーという職業が広く知られるようになった2000年代以降、右肩上がりです。スマートフォンの普及やインターネット広告費の増加によってインターネット上での取引が増え、最近ではコロナ禍の外出自粛から、さらに取引増が見込まれています。今後もWeb業界の成長は続くといえるでしょう。

 2019年に経済産業省が発表した「電子商取引に関する市場調査」によると、ECでのBtoC取引の市場規模は、2010年には7兆7,880億円だったものが、2019年には19兆3,609億円と2倍以上に達しました。インターネット上の取引が増えれば、必然的にWebデザインの仕事も増え、Webデザイナーの需要は今後も増すと考えられます。

 ただし、Webデザイナーに求められる知識や技術もまた、Web業界の発展とともに変化しています。現在のWebデザイナーに求められる知識や技術は10年前と比べて大幅に増え、高度になっているのが現状です。

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Webデザイナーの将来性が心配される理由

 需要が伸び続けているにもかかわらず、Webデザイナーの将来性が危ぶまれるのはなぜでしょうか。

1.Webデザイナー間の競争が激化

 Webデザイナーの需要が増えても、成り手がそれ以上に多ければ当然競争は激化します。Webデザイナーの仕事は専門性が高いものの、インターネット上では無料でWebデザインを学べる講座も増え、スキルの習得のハードルは下がりました。コロナ禍で打撃を受けた飲食業界や観光業界から、IT業界へ転身を図る人も多いようです。

 また、仕事を勝ち取るために、低価格で仕事を請け負う企業やフリーランスが増えれば、制作単価が下がったり、Webデザイナーの給与が下がったりする可能性もあるでしょう。場所を選ばずにインターネット上で完結できる仕事も多いだけに、日本国内だけでなく海外のWebデザイナーも競合となっています。

2.Webデザイン制作ツールの登場

 10~20年程前は、Webデザイン制作のためのソフトは高価で、使用するには専門的な知識が必要でした。しかし、現在は無料で利用できるソフトやサービスも多数登場し、低予算で簡単にWebデザインが制作できるようになっています。今では、個人事業主や小規模の店舗などでは、Webデザイナーに依頼せずに自作する人も珍しくありません。

3.Webサイトの重要性の低下

 TwitterやFacebook、Instagramなどの普及により、個人商店やフリーランスを中心に、これらSNSだけで情報発信・コミュニケーションを行う事業者が増えています。また、予約サイトが乱立し、サイト内にページがあればWebサイトを持たなくても事足りるようになりました。Webサイトの重要性は下がり、必然的にWebデザインの需要も下がると思われます。

4.AIの進化

 技術の発展により、最近はデザインができるAIも登場しました。さまざまな企業が、素材をアップするだけ、パターンを選ぶだけなど、簡単な手順でWebデザインが完成できるサービスを提供しています。これまで、Webサイト制作にかかっていた時間も費用も大幅に削減されるため、利用する人は今後も増加するでしょう。

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 では、今後Webデザイナーに求められるスキルとはどのようなものでしょうか。

今後Webデザイナーに求められるスキル

 Webサイトの重要性は低下し、WebデザインにおいてITツールやAIが担える部分は増えてきました。今後も、Webデザインに関連したIT・AIの技術は日進月歩で進化し、現状のスキルの価値は下がる可能性が高いです。

 だからといって、Webデザインの需要がなくなるわけではありません。あえてWebサイトを持つ選択をする場合、より高度なデザインが求められるでしょう。無料でWebデザイン制作ができるようになったために、良くも悪くも画一化されたデザインが増え、差別化が難しくなっている現実もあります。

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 今後は次のように、高度なデザインスキルと、さらにプラスアルファのスキルを持つ人の需要が高まっていくでしょう。

Webデザインスキル

 当然ながら、Webデザイナーに最も必要なのはWebデザインのスキルです。制作日数やコストといった制限の中で、デザインでクライアントの魅力を伝え、ターゲットに行動させなければなりません。デザインは、絵を描くことや見た目を整えることではなく、課題を解決するためのものという原則に立ち返ることが重要です。

UI/UXのデザインスキル

 消費者のニーズは多様化し、商品やサービスも企業からの押しつけでなく、ユーザー目線の開発が求められるようになりました。UI/UXデザインは、ユーザーニーズに沿って行うデザインですから、需要は年々増加しています。

 Webデザインも制作の際にUI/UXを意識しますが、UIデザインはユーザーの快適さがメインであり、UXデザインは情報設計がメイン。商品やサービスの使いやすさと売上を同時に考える必要があるため、マーケティングやブランディングのほか、データ分析や行動心理学などについての知識も必要とされます。

Webマーケティングスキル

 Webサイトには、「売上増加」「ブランディング」「顧客コミュニケーション」など、それぞれ目的があります。アクセス解析やサイト分析など、Webマーケティングに関連した知識があれば、そういったWebサイトの課題に対し、解決の提案ができるでしょう。解析や分析の結果をもとに、ユーザーのニーズをWebデザインに反映することや、プロジェクトの上流過程から関わることも可能になります。

ディレクションスキル

 Webサイトの制作には、Webデザイナー以外に多くのクリエイターが関わりますから、プロジェクトを円滑に進めるためのディレクションスキルがあれば重宝されます。Web制作のディレクションは、現場監督のような立場。クライアントの要望や課題を提案に落とし込んだり、それを制作チームに共有したりするなど、進捗やクオリティの管理のためには、専門分野以外の工程もある程度の知識が必要です。

プログラミングスキル

 企業にもよりますが、Webデザイナーがコーディングも担うことは珍しくありません。しかし、プログラミングの知識まで持っているWebデザイナーは多くはないでしょう。Webサイト制作の場合、Webデザイナーにプログラミング知識があると、プログラマーがデザインを実装しやすくなります。また、動きも含めてデザインすることで、デザイナーとしてのスキル向上も見込めます。

New ideas creativity and different innovative solution.

Webデザイナーのキャリアパス

 Webデザイナーの将来としては、「組織の中でキャリアアップする」「Webデザイナーとして独立する」の大きく2つの方向性が考えられます。

 組織の中でキャリアアップするためには、プラスアルファのスキルを身につけて仕事の幅を広げ、Webディレクターになる、フロントエンドエンジニアになるといった選択肢が考えられるでしょう。組織によっては、マネジメントスキルを身につけてマネージャーになる道もあるかもしれません。また、転職によって職種を変えたり、収入をアップさせたりといった選択肢も考えられます。

 Webデザイナーとして独立する場合は、デザインの幅を広げるためにも自身の営業のためにも、マーケティングスキルが必要です。数多くいるWebデザイナーの中で自分に発注をもらうために、ほかと差別化しなければなりません。プラスアルファのスキルを身につけることはもちろん、広い人脈を作っておくことも重要でしょう。

Teamwork of the staff, creative and friendly atmosphere

プラスアルファを目指せばWebデザイナーの将来は明るい

 Webデザイナーの将来性を危ぶむ声もありますが、単純作業はITツールやAIに取って代わられたとしても、Webデザイナーの根幹であるデザインは、結局は人間が行うものです。

 トレンドやニーズが目まぐるしく変わる中、トレンドやユーザーニーズをいち早くキャッチしてデザインに反映させるスキルがあれば、今後も仕事がなくなることはありません。Webデザインのスキルはもちろん、プラスアルファのスキルを身につけて、10年後も活躍できるWebデザイナーを目指しましょう。