株式会社コンセントでクリエイティブディレクター/デザイナーをしている渡邊です。VRや動画を基軸にしたコミュニケーションデザインのディレクションをしています。 業務で取り組んでいる内容などについては、こちらの記事をご覧ください。
働き方の「当たり前」が変わった今、考えていたこと
コロナ禍に入って久しく、今ではオフラインで直接お会いしたことのないクライアントもいるくらいオンライン会議も当たり前となり、場所に制限されることなく仕事をしています。一方、コロナ禍以前はどうだったかといえば、会社に行きデスクにかじりついて仕事をする日々。クリエイティブの仕事なのに、作業ばかりに没頭していました。
なにか特別なことのように思われていたテレワークはコロナ禍をきっかけに広がり、収束後も継続意向を示す企業も出てくるほど、“当たり前”の働き方になりつつあります。
僕は以前からクリエイティブな仕事をする中での働き方を模索していました。この“当たり前”が変わったときにあらためて「オフィスとは何か、どうあるべきか」を考えた結果、コンセントのオフィスをリノベーションするべく、ほかのデザイナーと一緒に進めることにしました。オフィスという箱を変えるだけではなく、これからの働き方を考えた制度づくりやオフィスでの体験を考えた施策も進行中です。
この連載では、コンセントのオフィスリノベーションの話を例に、「全員が出社する」というこれまで続いてきた働き方がリセットされた今、ニューノーマルの先を見据えた「新しい働き方」をデザイナー視点で考えていきたいと思います。
第1回ではオフィスリニューアルのコンセプトの部分で考えていたことを時系列で紹介、また後続回ではその具体的な仕掛けなどについてお話しいたします。
働き方が変わってきた(テレワーク制度導入)→オフィスのリノベーションを会社に提案→コロナ禍→テレワークが社会的に「当たり前」に→オフィスをさらにリノベーション(現在)
デザイナーの働き方とオフィスのありかたの関係
クリエイティブな仕事というと、いつでもどこでも考え続けた結果ふとした時におりてくるアイディアや、自身が行っていることすべてが作品(仕事でつくったことをあえて作品と呼びますが)に影響を与える。つまり、映画を見たり、ドラマを見たり、本を読んだりといったすべてのインプット作業は仕事へ反映されると考えています。
そのため、ワークライフバランスが提唱されていくことに違和感を覚えていたのですが、落合陽一さんが提唱した「ワークアズライフ」に非常にシンパシーを感じました。
これからは、ワークとライフが無差別となり、すべての時間がワークかつライフとなります。「ワークアズライフ」となるのです。生きていることによって価値を稼ぎ、そして価値を高める時代になるのです。
(引用元:落合陽一『日本再興戦略』幻冬舎、2018年)
一方、そんな働き方とオフィスのありかたが合っていないとも感じていました。
コロナ禍以前より、会社員でありながらもテレワーク制度の試験導入を兼ねて、ノマドでいつでもどこでも仕事をしてきました。個人的には好きな海の近くで仕事をしたいと思い、仕事を持ったまま、家族で奄美大島に1ヵ月ほどお試し移住をしながら仕事をしたこともありました。
奄美大島に毎年通うようになり現在5年目くらいになりますが、地元の映像制作のチームや、農家、伝統工芸作家さんと家族ぐるみでお付き合いをしながら何か仕事を生み出せないかを考えたり、仕事で取り組んでいるVRの講師として呼んでもらい、奄美をVRで盛り上げようとしたり――。プライベートと仕事をごちゃ混ぜにしながら、現在進行形で続けています。
そのときも、ネットワークがあればどこでも仕事ができるのだなと強く思いました。