こんにちは。クリエイティブテックカンパニー「リチカ」でCMOをつとめている田岡です。本連載では、デジタル広告のクリエイティブについてお伝えしていこうと思います。
ほとんどのマーケターやクリエイターにとって、デジタル広告におけるクリエイティブの重要性を疑うことはないでしょう。しかし、デジタル広告を構成するほかの要素と比べて、どれほど重要かについては、あまり考えたことがないかもしれません。
ニールセンが実施したある調査データを紹介したいと思います。このデータはデジタル広告において購買行動に貢献した割合を示しています。驚くべきことに、デジタル広告において購買行動に貢献した割合がもっとも高いのは 「クリエイティブ」で、その貢献度は47%であるとしています。「リーチ」22%、「ブランド」15%、「ターゲティング」9%を大きく引き離して、もっとも重要な要素と説明されています。
デジタル広告の「クリエイティブ」は最重要でありながら、同時に多くのマーケターやクリエイターを悩ませてきました。「ターゲティング」、「リーチ」といった運用における要素より、分析や検証が進んでいない印象すらあります。デジタル広告におけるクリエイティブの難しさは、一体どこにあるのでしょうか。
デジタル広告におけるクリエイティブ3つの壁
壁1.デジタル広告の運用者とクリエイターが分かれていること
皆さんの組織で、デジタル広告における運用とそのクリエイティブ企画、制作を誰が担当しているでしょうか。おそらく多くの場合において、別々の組織にて行われていると思います。もしくは組織が同じであったとしても、別のメンバーが担当していることがほとんどでしょう。
デジタル広告のクリエイティブ運用は、日々状況が変わるものです。こうした状況を正確に共有し、クリエイティブを最適な形でタイムリーに依頼、アップデートしていくことのコミュニケーションコストは膨大です。
また、近年クリエイティブのひとつの形式として注目されている動画は、さらにこの問題を難しくしています。現時点で、動画制作を内製化している企業は多くありません。ほとんどの場合、その制作を外部に発注することを考えると、そのコミュニケーションコストも高くならざるを得ません。
壁2.広告運用視点とクリエイティブ視点の両立が難しい
本来デジタル広告のクリエイティブは、運用視点とクリエイティブ視点の両方から、議論や検討がされるべきものです。しかしこれは簡単なことではありません。たとえば、デジタル広告の運用のスキルはあるがクリエイティブの知見がない運用担当者と、クリエイティブは理解しているがデジタル広告の知見がない制作担当者が、ともに成果向上を実現するクリエイティブを作ることが非常に骨の折れる作業だということは、想像に難くないでしょう。実際、必要な議論や検討がほとんどなされないまま、クリエイティブが企画、制作されてしまうことも多々あります。