新たなプロモーション施策として、YouTube 広告の出稿を検討する人が増えています。しかし、一口にYouTube 広告といってもたくさんの種類や手法があるため、「何をどうやって選べばいいのかわからない」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。 ここでは、YouTube 広告のメリットや種類、課金の仕組みのほか、適切な広告手法の選び方について解説します。「せっかく広告を出したのに、思ったような効果が得られない」といった結果にならないよう、事前にしっかり確認しておきましょう。
YouTube 広告のメリット
まずは、YouTube 広告とほかの広告媒体を比べた場合、どのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。
多くの世代にリーチできる広告媒体である
電通が2021年3月に発表した「2020年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」よると、ビデオ(動画)広告市場は右肩上がりで伸びており、2021年には4,263億円まで拡大するだろうと予測されています。
動画広告にはさまざまなプラットフォームがありますが、その中でも注目すべきは、やはり利用率が高いYouTubeです。総務省情報通信政策研究所が公表している「平成30年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、YouTubeの利用率は全年代の平均が75%以上となっており、若者だけでなく世代を超えてリーチ数が広がっています。広告に関わる上で、YouTubeは欠かせない媒体になりつつあるといえるでしょう。
配信先のターゲティングができる&効果検証がしやすい
YouTube 広告はGoogle 広告などと同様に、配信先の年齢や性別、地域などが指定できるターゲティング機能があるので、より効果的な広告配信が可能です。また、表示回数や再生回数・クリック数などのユーザー行動を計測することで、効果検証がしやすいというメリットもあります。
YouTubeにおける動画広告
YouTubeの動画広告には、「5秒でスキップできる広告」「スキップできない広告」「ホーム画面上部に大きく表示される広告」など、さまざまな種類があります。それでは、各種動画広告の特徴を確認していきましょう。
インストリーム広告(スキッパブル、ノンスキッパブル)
YouTube広告の中で最も有名なのが、動画の再生前後や途中に配信される「インストリーム広告」です。インストリーム広告は、本体動画の再生開始前に広告が流れる「プレロール」、再生途中に流れる「ミッドロール」、再生終了後に流れる「ポストロール」の3つに分けられます。
さらに、インストリーム広告には、広告開始の5秒後に広告視聴をスキップできる「スキッパブル」と、スキップができず強制的に視聴させる「ノンスキッパブル」の2タイプがあります。 スキッパブルの場合、広告動画全体の長さを、最長6分まで設定可能です。ただし、ユーザーの視線がスキップボタンに集中するため、広告の中身をしっかり見てもらえないデメリットも存在します。
一方、ノンスキッパブルの場合は、スキップできずに最後まで広告が再生されるため、広告動画全体を視聴してもらえます。しかし、ユーザーの興味関心の有無にかかわらず、強制的に動画が表示されるので、広告内容に対してユーザーが悪い印象を持ってしまう可能性があることを認識しておかなければなりません。
TrueView ディスカバリー広告インフィード動画広告
「TrueView ディスカバリー広告インフィード動画広告」(以下、ディスカバリー広告インフィード動画広告)とは、YouTubeのトップ画面や、YouTubeの中で検索した後の画面、関連動画欄などに表示される広告です。
ディスカバリー広告インフィード動画広告は、インストリーム広告のような動画内の配信ではなく、ユーザーが能動的にクリックすることで再生される広告なので、ネガティブな印象を持ちづらいというメリットがあります。
バンパー広告
「バンパー広告」とは、インストリーム広告のノンスキッパブルと同じ仕組みを採用した、スキップができない動画広告です。 ノンスキッパブルと大きく違うのは、配信時間がわずか6秒しかないところです。ユーザーには最後まで見てもらえる可能性が高く、時間も短いため不快な印象を与えにくいでしょう。ただし、伝えたい内容を6秒で簡潔にまとめる工夫が必要です。
アウトストリーム広告
YouTubeの中ではなく、パートナーサイトやYouTube以外のアプリの中で配信される動画広告が「アウトストリーム広告」です。 モバイルやタブレットのみに表示され、YouTubeを利用しないユーザーにもアプローチできるメリットがあります。
マストヘッド広告
YouTubeのトップ画面最上部に表示される広告が「マストヘッド広告」です。ユーザーにとって最も目を引く場所に表示されるので、短期間であってもユーザーへの認知拡大や集客力が見込めます。
ダイレクト レスポンス キャンペーン
ユーザーに商品やサービスを購入してもらうことを目的としているのが「ダイレクト レスポンス キャンペーン」です。配信した広告動画の下に、関連商品などの画像を一覧で表示させることができます。コンバージョンに重きを置いているため、ECサイトを運営する企業の出稿に向いています。
動画アクション キャンペーン
インストリーム広告やディスカバリー広告インフィード動画広告に、行動を促進するボタンや見出しを入れて配信できるのが「動画アクション キャンペーン」です。ページ遷移やアプリ等のダウンロードを促すCTA(Call To Action:行動喚起)ボタンが表示できるため、コンバージョンを獲得しやすいというメリットがあります。
YouTubeにおける静止画広告
YouTubeには動画広告だけでなく、静止画広告が2種類あります。それぞれの特徴を確認しておきましょう。
オーバーレイ広告
動画再生画面の下部に、画像やテキストが半透明で表示される「オーバーレイ広告」。動画の邪魔にならない場所に広告が表示されるため、認知やクリックを獲得しやすく、「閉じるボタン」をクリックすれば広告表示を消せるので、ユーザーにストレスを与えにくいというメリットがあります。
ディスプレイ広告
関連動画やおすすめ動画一覧の上に表示されるバナーが「ディスプレイ広告」です。ユーザーが目にしやすい位置にあるため、認知拡大への効果が見込めます。ディスプレイ広告をクリックすると、Webサイトやランディングページなどへ遷移させることが可能です。
YouTube 広告はどう課金される? 3つの課金形態
YouTube 広告を配信すると、どのように広告費が課金されるのでしょうか。課金の仕組みは、大きく分けて下記の3種類となります。
CPC(Cost Per Click)
CPCは、ユーザーが動画広告のサムネイルや見出しを1クリックするごとに課金されます。
CPV(Cost Per View)
CPVは、ユーザーが広告動画を1回再生するごとに課金されます。YouTube 広告では、広告動画を30秒以上視聴した場合に広告費が発生します。ただし、動画の長さが30秒未満の場合は、最後まで視聴することが条件となります。
CPM(Cost Per Mille)
CPMは、広告の表示に伴って課金される形態です。別名、「インプレッション単価」ともいわれており、表示回数1,000回ごとに広告費が発生します。
目的別・最適なYouTube 広告の種類とは?
YouTube 広告には多くの種類があり、それぞれ特徴が異なります。広告効果を得るためには、まず何のために広告を出すのか、目的を明確にしてYouTube 広告を選ぶ必要があります。
最後に、広告を出す目的を3つに分けて、YouTube 広告の選び方のポイントをご紹介しましょう。
自社の商品やサービス、ブランドの認知拡大
YouTube 広告の出稿目的が、自社の商品やサービス、ブランドの認知拡大だった場合、インストリーム広告やバンパー広告、アウトストリーム広告、マストヘッド広告、オーバーレイ広告が効果的です。 動画広告の場合、短い再生時間の中でいかにユーザーの興味を惹きつけるかが重要なので、インパクトのある訴求力が必要となります。
商品やブランドの比較および検討
「ユーザーに自社の商品やブランドを比較・検討してもらいたい」という目的の場合は、ディスカバリー広告インフィード動画広告やインストリーム広告(スキッパブル)が適しています。
ディスカバリー広告インフィード動画広告は、能動的に広告をクリックしたユーザーが視聴するため、効果が出やすいでしょう。インストリーム広告(スキッパブル)は、競合他社の商品・サービスと比較検討しているユーザーに対して配信できるメリットがあります。
見込み顧客のリスト獲得、商品・サービス購入の促進
見込み顧客のリストを獲得したい、もしくは商品やサービスの購入をユーザーに促したい場合は、ダイレクトレスポンス広告やアクション広告を選ぶといいでしょう。
コンバージョンを軸にしている広告なので、商品やサービスの購入促進につながります。
YouTube 広告の種類や効果を理解し、適切な手段を選ぼう
今回は、YouTube 広告の種類や課金の仕組み、目的別の選び方について紹介しました。
YouTube 広告には、ターゲットが設定できることや効果測定がしやすいことなど、さまざまなメリットがあります。とはいえ、適切な広告の種類を選ばないと、想定した成果が得られないこともあるでしょう。YouTube 広告の効果を最大化するためには、広告の目的や配信形式の種類についてよく理解し、うまく活用することが重要なのです。