こんにちは。コンセントでクリエイティブディレクターをしている中條です。
前回の記事では、コロナ禍後のリノベーションコンセプトである「セレンディピティ」と「余白」をどのようにオフィスに取り入れたのか、その具体的なポイントについてお伝えしました。
今回は、リノベーション完成後、オンラインとオフラインが交差する中で、新しい働きかたを模索していくために実験的に取り組んでいる施策をご紹介します。
「働くって、なんだろう」
突然ですが、そんなことを考えるときはありませんか?日々の仕事に追われていると、自分のことを考える余裕がなかったりしますよね。コロナ禍とともに働きかたがますます多様化しているときだからこそ、自分にとって「働く」とはどんな意味をもつのか、改めて見つめ直す良い機会なのではないでしょうか。
コンセントにおいても前回まででご紹介してきたオフィスリノベーションやコロナ禍によるリモートワークによって、働く環境やスタイルが大きく変化しました。単純に「働く」という機能的な面だけを見れば、オフィスも新しくなり、リモートでも設備やツールが整い不自由なく仕事ができる状態です。
「自分が、したいからする」
快適に仕事ができることで気分も高まり、それが生産性の向上にもつながります。ただ、いくら環境が整ったからといって、それだけで個人のモチベーションが持続的に高くなったり、組織が活性化したりするわけではありません。
結局、リアルでもオンラインでも「自律的に働く」ということに対して、外発的な動機だけでは不十分。自分の中から湧き上がってくる、ワクワクする「エンジン(内発的な動機)」が必要です。「誰かに言われたからやる」よりも「自分がしたいからする」に勝るエンジンはありません。
ちなみに「働く」という言葉の語源は、諸説ありますが「傍(はた)を楽にする」という意味があります。「はた」とは他者のこと。他者を楽にすること、負担を軽くすること。この意味を知ったときに、とても腑に落ちた覚えがあります。仕事は自分ひとりで完結するものではなく、困っている相手がいて成立するもの。当たり前なことかもしれませんが、大切な本質が詰まっている気がします。
「“働く”を、どう解釈するかは人それぞれ」
もちろん、働く意味や目的は1人ひとり違います。そこに正解はありませんが、誰かが決めた正解に従ってばかりいると自分の感度がどんどん鈍ってしまうでしょう。そうなると「いざ」というときにも動き出せなくなってしまいます。
予測できない時代だからこそ、いつだって自分の「エンジン」を動かせるようにするために、一歩踏み込んで「モヤモヤする違和感」や「ワクワクする好奇心」に目を向けることが大切です。
まだまだテスト的にですが、「働く」をさまざまな角度から刺激するために動き始めた施策を、「リアル」「オンライン」「リアル×オンライン」の3つの観点からご紹介します。
[リアル]今日の似顔絵サイネージ
オープンスペースの入口に65インチの大型ディスプレイを設置。コンセントでデザインし、お客さまから許可をいただいた事例やオフィシャルな情報をランダムに映しています。オフィスに出社して最初に目に入ってくるものだからこそ、ちょっとしたギミックがあることで、その日、その時間しかない体験を生むことができます。
2021年11月からは「社員似顔絵サイネージ」と題して、社員が自分の似顔絵を描いてもらったものを、ランダムで映していく企画もスタートしました。どんな似顔絵なのか出社しないと見ることができないため、リモートワークが当たり前となった中で、オフィスに出社する楽しみや会話のきっかけになっています。今後もただのディスプレイではなく、リアルでしかできないコミュニケーションツールとして活用していく予定です。
[オンライン]オープンなチームで変化を「見える化」
コンセントには、現在200名以上の社員がおり、チーム数も45ほどあります。正直、私もすべての社員の顔と名前が一致しているわけでもなく、関わらない人もいます。さらにリモートワークになったことでより一層、ほかのチームがどういった仕事をしているのかが見えづらくなりました。
そこで、オンラインコミュニケーションツールとして使用しているTeamsで、オープンにして良いチームの活動チャネルはできるだけすべて「見える化」するようにしています。オープンになったことで情報量は相当なものになるので、すべてをキャッチアップするわけではなく、興味のあることに自ら乗っかっていくことが大切です。
これまでの社内チームミーティングはクローズな形で行うことが当たり前でしたが、オンラインの利点を生かし、あえてオープンにして、ほかのチームメンバーも参加できる形で実施するケースも増えています。あるチームでは、メンバーのこれまでの人生年表をオンラインで作成し、おしゃべりするオープンチーム会を開催しています。メンバーの新たな一面を知ることができたり、ほかのチームとの交流の機会にもなっています。