クリエイティブディレクターとは?必要なスキルや年収について解説

クリエイティブディレクターとは?必要なスキルや年収について解説
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2021/11/23 08:00

 クリエイティブディレクターとは、どのような職種なのでしょうか。クリエイティブディレクターの仕事内容や必要なスキル、年収、求人市場の傾向について解説します。

 クリエイティブ関連の仕事をしている、もしくは興味のある人なら、クリエイティブディレクターという職種を聞いたことがあるでしょう。しかし、コピーライターやデザイナーなどと違って仕事内容がわかりにくいため、「どういう立場で、どんな役割を担っているの?」と思う人が多いかもしれません。

 この記事では、クリエイティブディレクターの仕事内容や求められるスキルのほか、年収、キャリアパス、求人市場について解説します。クリエイティブディレクターの仕事に興味がある人は参考にしてください。

クリエイティブディレクターとは制作チームの現場監督である

 クリエイティブディレクターは、広告業界やIT業界において、デザインのコンセプトや進行管理、予算管理など、制作の流れを統括する役割を担います。「クリエイティブ制作現場の責任者」や「制作チームの現場監督」といってもいいでしょう。

 クリエイティブディレクターは依頼を受けた案件に対し、コピーライターやプランナー、デザイナーなどのスタッフを集めてチームを編成します。その後、チームの進捗状況を把握したり、制作物の品質を管理したりしながら現場を仕切っていきます。 クリエイティブディレクターは、広告代理店や制作会社などで活躍しています。ただし、みずからもプレーヤーとして手を動かしながら進めるのか、仕切りやディレクションに徹するのかは、現場や人によってさまざま。企業の規模や制作のジャンルによっても違うため、業務の範囲に幅があると認識しておいたほうがいいでしょう。

クリエイティブディレクターの仕事内容

 クリエイティブディレクターの仕事は、「クライアント(顧客)に対する役割」と「制作現場での役割」の2つに分けられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

クライアントに対する役割

 クリエイティブディレクターの最初の仕事は、クライアントの希望をしっかり聞いて、依頼の目的を把握することから始まります。なぜなら、制作の目的やゴールを明確に設定していない依頼主が多いからです。クリエイティブディレクターは、クライアントが何を求めているのかを詳しくヒアリングしながら、目指すゴールを明確にしなければなりません。

 ゴールを設定した後はプロジェクトチームを編成し、ゴールに対してどのようにアプローチすればいいのか、チームでアイディアを出し合います。企画や方向性がまとまったら、依頼主へプレゼンを実施。コンセプトやビジュアルなど、具体的なプランを提示しつつ、クライアントとすり合わせをしていきます。

制作現場での役割

 企画内容に関してクライアントと合意に達したら、制作全体を把握しながらスケジュールや予算を調整し、効果を最大限に引き出すことに力を注ぎます。クリエイティブディレクターの役割の中で最も重要なのは、スタッフのマネジメントです。チーム内には、プランナーやコピーライター、デザイナーなど、能力も性格も異なるメンバーが集まっています。活発なコミュニケーションをとって、良好なチームワークを保ちながら、制作を進めていかなければなりません。

 時には壁にぶつかったり、トラブルが発生したりすることもあるでしょう。クリエイティブディレクターは、解決策を講じながら制作チーム全体をリードし、ゴールへと導いていく必要があります。

クリエイティブディレクターに近い職種

 クリエイティブディレクターに近い職種として、プロデューサーやアートディレクターがあります。それぞれの詳細と、クリエイティブディレクターとの違いを見ていきましょう。

プロデューサーの特徴

 プロデューサーは、制作全般に関する運営を管理するポジションで、クリエイティブディレクターより上の立場になります。言い換えれば、クリエイティブディレクターは「現場監督」、プロデューサーは全体的な責任を負う「総監督」です。

 プロデューサーは主に、クライアントへの売り込みや折衝、予算の管理などを担当します。

アートディレクターの特徴

 アートディレクターは、ビジュアル面の責任者です。デザイナーやカメラマンに指示を与えながら、目指しているビジュアルを作り上げていきます。いわば、ビジュアル制作に特化した現場監督で、一般的にはクリエイティブディレクターより下のポジションになります。

クリエイティブディレクターになる方法

 クリエイティブディレクターになるためには、どうすれば良いのでしょうか。クリエイティブディレクターに向いている人、必要なスキル、キャリアパスについて確認していきましょう。

クリエイティブディレクターに向いている人

 クリエイティブディレクターは、制作した物でユーザーの興味・関心を引きつけ、最終的には売上アップやコンバージョンへとつなげていく職種です。したがって、下記のような人がクリエイティブディレクターに向いているでしょう。

クリエイティブディレクターに向いている人の特徴

  • モノづくりが好きな人
  • 自分の中にあるイメージを具現化したい人
  • 制作物によってクライアントに貢献することに喜びを感じる人

クリエイティブディレクターに必要なスキルや資格

 クリエイティブディレクターの仕事は、チームメンバーおよび制作の統括、進行管理など多岐にわたります。それぞれの業務に必要なスキルをまとめると、次の5つが挙げられます。

クリエイティブディレクターに必要なスキル

  • 納期に間に合うよう、作業の進捗を把握しながら調整していく「スケジュール管理能力」
  • クライアントの意図をくみ取りつつ、制作チームをまとめていく「コミュニケーション能力」
  • 対象となる消費者・ユーザーを引きつけるような新しいアイディアを生み出す「発想力」
  • チーム内で出てきたアイディアをまとめ、具現化する「創造力」
  • 最新トレンドや業界の動向を分析し、どのようなゴールが適切なのか判断する「マーケティング能力」

 クリエイティブディレクターになるために必要なスキルは多々あるものの、必要な資格は特にありません。ただし、未経験からいきなりクリエイティブディレクターになるのは難しいので、コピーライターやデザイナー、プランナーなどの関連職種の業務経験を積んだり、知識を身につけたりする必要はあるでしょう。

クリエイティブディレクターのよくあるキャリアパス

 クリエイティブディレクターは、デザイナーやアートディレクターから転身するケースが一般的です。クリエイティブディレクターの後は、プロダクトマネジャーやプロデューサーにキャリアアップしていく人が多く、フリーランスとして起業し、独立する人もいます。

 Web業界の場合は、「Webデザイナー → クリエイティブディレクター → Webプロデューサー(あるいは独立・起業)」といったキャリアパスが代表的です。

クリエイティブディレクターの求人市場の傾向

 クリエイティブディレクターは、どのような場所で求められている職種なのでしょうか。また、転職の難度や、平均年収についても気になるところです。求人の状況について確認していきましょう。

どのような業界や企業で求められている?

 クリエイティブディレクターを求めているのは、広告代理店やWebアプリ・サービス等を展開している制作会社などです。最近は、Web上で展開する広告やサービスが増えているため、特にWeb制作会社でのニーズが高まっています。

まったくの未経験でも転職できる?

 ほとんどのクリエイティブディレクターは、デザイナーやアートディレクターといった周辺職種からの転身者です。需要が増えているとはいえ、まったくの未経験からクリエイティブディレクターへキャリアチェンジできる可能性は低いでしょう。まずは、コピーライターやデザイナーとしての経験を積むか、専門のスクールなどで基礎を学ぶことが必要です。

年収の相場はどれくらい?

 クリエイティブディレクターの年収は、平均で400万~600万円くらいとされていますが、所属する企業の規模や業種、業態によって幅があります。キャリアを重ねたベテランや、業界内で著名なクリエイティブディレクターだと、年収1,000万円以上になるケースも多くあります。

クリエイティブディレクターを目指す方へ

 クリエイティブディレクターの求人需要は、今後さらに増えていくと考えられます。ただし、誰でも簡単になれるものではありません。コミュニケーション能力やリーダーシップ、発想力、マーケティングなど、幅広いスキルが求められるからです。

 「クリエイティブディレクターになりたい」と考えている人は、仕事内容や必要なスキル、キャリアパスをきちんと把握し、就業するためにしっかりと目標を立てましょう。