広告デザインとは? 仕事内容や必要なスキル、年収の相場について解説

広告デザインとは? 仕事内容や必要なスキル、年収の相場について解説
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2021/12/17 08:00

 広告デザインの仕事とは、どのような内容なのでしょうか。広告デザイン職に従事するための方法や必要なスキル、年収の相場、求人の傾向について解説します。

 クリエイティブ関連の仕事に興味のある人なら、「広告デザイン」という言葉を聞いたことがあるでしょう。広告は私たちの生活の中でも、よく目にする存在です。しかし、広告デザインがどのように制作されているのか、広告デザイナーの仕事を具体的に知っている人は少ないかもしれません。

 この記事では、広告デザインの仕事内容はもちろん、デザイン職に従事するための方法や必要な資格・スキルのほか、年収の相場、求人の傾向について解説します。広告デザインの仕事に興味がある人は参考にしてください。

商材と消費者のコミュニケーションをデザインする広告デザイナー

 広告デザイナーは、クライアント(顧客)の意向、扱う商材、アピールする対象、広告出稿媒体など、多くの人や要素が影響し、柔軟に対応し、クライアント(顧客)と商材、商材と消費者のコミュニケーションをデザインする仕事です。

 広告デザインの仕事は、広告を出す依頼主の意向をくみ取り、ブランドイメージを理解するところから始まります。デザイナーは、広告の対象となる商品やサービスの特性を把握し、消費者にアピールするためのビジュアルおよびデザインを制作します。

 広告の目的は、商品やサービスの認知を広めること。そのためには、ターゲットとなる人にとって印象に残る表現やインパクトのあるデザインなど、最適なコンセプトとビジュアルを考えなければなりません。 一口に広告といっても、新聞や雑誌、テレビCM、街の看板、店頭ポスター、チラシなど、多種多様です。最近ではWebメディアやSNS、YouTubeなど、使用する媒体の幅が広がってきました。媒体ごとの特性や入稿形式について理解しておくことも重要です。

広告デザインの仕事に就くためには?

 一番オーソドックスなのは、グラフィックデザインの基礎を身につけた後、広告デザイン関連の会社に応募する方法です。基礎を身につける手段としては、芸術大学や専門学校などで学ぶケースが多いでしょう。デザインの基礎だけでなく、AdobeのPhotoshopやIllustratorなど画像編集やグラフィックデザイン用のソフトウェアの使い方を学べます。

 広告デザインの仕事と聞くと、広告代理店を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかしほかにも、広告を専門に扱う制作会社やデザイン事務所、メーカーなど、さまざまな業種・業態があります。もし、「未経験から始めたい」と考えているなら、広告制作会社やデザイン事務所の採用試験を受け、アシスタントから始めるのもひとつの手です。

 「広告デザイン関連の会社で働いた後、独立してフリーランスになりたい」と考えている人は実績を積み重ねることはもちろん、コネクションの構築が重要となります。将来的に独立を考えているなら、会社員のときに広告主やクライアントとの人脈、および関係性を作っておいてください。

広告デザインに必要な資格やスキル

 広告デザインの仕事に就くためには、どのような資格や知識・スキルが必要なのでしょうか。コミュニケーション能力やソフトウェアを使いこなすスキルなど、押さえるべき6つのポイントを紹介します。

コミュニケーション能力

 広告デザインは一人で完結するものではなく、クライアントやコピーライター、ディレクターなど、さまざまな担当者といっしょに進めていく仕事です。そのため、コミュニケーション能力は、重要なスキルのひとつといえます。

 コミュニケーションが円滑でなければ、依頼主やクライアントの意図を間違って解釈してしまったり、自分勝手なデザインを作ってしまったりする可能性もあります。反対に、コミュニケーション能力が高い人ほど、円滑に広告デザインの仕事ができるでしょう。

広告デザインに関するソフトを使いこなすスキル

 広告デザインの仕事で必須ともいえるのが、PhotoshopやIllustratorを使いこなすスキルです。レイアウトデザイン用のInDesignなど、用途に合わせてさまざまなソフトウェアがあります。

 多彩な機能を習得・熟知していけばデザイン業務の効率が上がりますので、上手に使いこなすスキルを身につけましょう。

企画・マーケティングなどの基礎知識

 規模の大きな広告になると、ターゲットや時期、場所ごとに企画を変えるなど、戦略性が求められるケースも出てきます。ですから、広告デザインの仕事には、企画やマーケティングの要素が含まれると考えておきましょう。 場合によっては、デザイナー目線での企画提案を求められるケースもあるかもしれません。単に手を動かすだけのオペレーター的な仕事だけでなく、提案力のあるデザイナーを目指す努力が必要です。

UI・UXデザイン、SEOなどのWebマーケティング手法の理解(Web広告の場合)

 チラシやポスターなど印刷物として展開する広告と、Web上で展開する広告とでは、マーケティングの手法が大きく異なります。もし、Webの広告デザインに携わる場合は、UI(ユーザーインターフェース:ユーザーとサービス・プロダクトをつなぐ接点)やUX(ユーザーエクスペリエンス:ユーザーが得られる体験)デザインに対する一定の理解が必要です。場合によっては、SEO(検索エンジン最適化)の知識が必要となる場面もあるかもしれません。 最近では、印刷物の広告とWeb広告を組み合わせて展開するケースが増えています。Webマーケティングの手法を理解しておけば、活躍できるフィールドが広がるでしょう。

広告媒体の特性や手法、入稿形式などの基礎知識

 広告媒体には、テレビや雑誌などの「マス媒体」のほか、交通広告・DMなどの「セールスプロモーション媒体」、バナー広告や動画、音声を使った広告、SNS広告などの「Web媒体」と、さまざまな種類があります。それぞれ目的や役割、マーケティング手法が異なるため、特性の違いを理解しておくことが重要です。

 また、印刷物とWebでは、入稿の形式やルールが異なります。サイズや色の形式、レイアウトなど、入稿における基礎的な知識を身につけておかなければなりません。

広告業界のトレンド知識

 広告デザインは、トレンドを作り出す仕事ともいえます。ですから、広告に関する情報収集はもちろん、世の中のトレンドに敏感であることが必要です。

 「新しい広告手法を学ぶのが好き」「今何が流行しているか、常に興味・関心がある」という人は、広告デザインの仕事に向いているといえるでしょう。

広告デザイン業界の求人市場の傾向

 広告デザイン業界の平均年収は、関東で約450万円、関西で約410万円です(※1)。日本全体の平均年収443万円(※2)と比べるとやや高くなりますが、経験やスキルによって大きく差が出る職種であることも認識しておかなければなりません。

 また、広告代理店や広告デザイン関連の会社は大都市圏に集まっているため、求人募集も都市部に集中する傾向があります。雇用形態は正社員、派遣社員、アルバイト、インターンなどさまざま。企業で実績を積んだ後にフリーランスとなり、業務を請け負って案件ごとに稼働する人もいます。実力次第では、収入やポジションを上げられる可能性もあるでしょう。

広告デザイナーを目指すなら、今すぐに行動を起こそう

 広告デザインは商品やサービスの特性を理解し、ビジュアルを作るなど結果が見えやすい仕事です。一方で、デザインの世界は変化が激しいため、常に勉強や情報収集をしながら視野を広げておかなければなりません。また、自分の趣味・嗜好を表現するだけでなく、依頼主の意向をくみ取りながらデザインを作ることも重要です。

 たとえ未経験でも「専門スクールで学ぶ」「アシスタントから始めて経験を積む」といったルートで広告デザインの仕事に就ける可能性はあります。ただし、一人前になるまでに時間がかかるので、もし就職や転職を考えているなら、なるべく早めに行動したほうがいいでしょう。