テンプレートで制作を簡単に ノーコードでWebARが作成できる「palanAR」とは

テンプレートで制作を簡単に ノーコードでWebARが作成できる「palanAR」とは
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2022/02/09 08:00

 編集部が注目のクリエイティブ関連サービスを紹介していく本コーナー。今回はpalanが開発・提供するノーコードでWebARが作成できる「palanAR(パラナル)」をピックアップ。株式会社palanの代表取締役 齋藤瑛史さんにお答えいただきました。

――まずは御社の事業概要について教えてください。

株式会社palanは「世界的に技術的に偉大な会社を創る」をビジョンに、2016年11月にエンジニアの齋藤とデザイナー佐々木の2名で創業しました。現在は社員の8割がクリエイターという構成です。xR事業としては「AR時代のインフラを創る」を掲げ、誰でもARを作成することができ、世の中にARが溢れ、また誰でもARを活用したビジネスを行うことができる世界を目指しています。

――palanARにはどういった特徴があるのでしょうか。

palanARには豊富なテンプレートが用意されており、作成から公開まで最短3分でブラウザ上にWebARを簡単に作成することができるサービスです。作成可能なARは、マーカーAR、マーカーなしAR、空間認識AR、画像認識AR、位置情報AR、フォトフレームAR、顔認識AR、ぬりえARの8つを用意しており、直感的なインターフェースが特徴です。また一般的にWebARでは任意の画像認識の精度が落ちますが、iOS、Androidアプリによる認識精度が高いARも同時に生成できます。

――開発の経緯や開発体制について教えてください。

2017年ごろからARに可能性を感じていたものの、当時はARを体験するためにアプリのダウンロードが必要なサービスが大多数でした。ですが、たとえば屋外でのイベントで利用することを想像してみると、わざわざアプリをインストールしなくてはいけないことに不便さも感じていました。そういったデメリットを解決するために、アプリではなくブラウザ上でのARを提供すれば、誰でも手軽にARを体験することができるのではないかと考えました。

一方、WebARの開発は難易度が高いことやiOSのアップデートの影響を考慮しなければならないなど、非エンジニアの人がWebARを開発することはとても難しい。私たちが目指しているARが世の中に溢れるような世界を実現するためには、誰でも簡単に精度の高いWebARを作成できるサービスが必要だと考え、palanARの開発に至りました。

開発は、代表の私がプロダクトオーナーとなり、バックエンドエンジニア1名、フロントエンドエンジニア2名、デザイナー1名という体制で行いました。毎週ユーザーインタビューを行い、ユーザーさんからの要望をベースにアジャイル形式で開発を進めています。

――palanARの開発にあたり工夫した点や苦労した部分はありますか?

今までにもARを開発するツールは多くあったものの、どれも操作が難しく専門用語が多いように感じていました。そこで私たちは世の中に多くのARを生み出すため、リテラシーがあまり高くない方にも利用していただけるよう、難しい概念をいかにわかりやすく伝えるかに力を入れてきました。実際に、行政の職員の方や授業を受けている高校生、また今までARに触れてこなかった50~60代の方も多く使っていただいています。

 

一方苦労したのは、WebARはOSのアップデートに大きな影響を受けることです。たとえば以前、iOSのバージョンアップでウェブブラウザのカメラアクセスが制限されることがあったのですが、そういった事態が頻繁に起こるため、最新のOSやブラウザバージョンを常に追いかけ、検証し、解決策を練ることが求められます。私たちもAppleやGoogleのバージョンアップ情報を確認することはもちろん、最新OSの開発者バージョンが出たその日には自社サービスを一通り検証したり、海外の開発者フォーラムなどで新しいブラウザの機能が出たらすぐ試すようにしています。またそのノウハウをbageleeという自社の技術ブログでも発信しています。

――palanARをこれからどのようなサービスに成長させていきたいですか?

今まで、「誰でも簡単にWebARを作成できるサービス」として、多くの方に利用していただいていますが、今後はプログラミングをしないと実現できないなど、複雑でクオリティが高いARを作成可能にしたいと考えています。そのために、海外のAR技術企業との連携や、最新のWebXR標準化技術の取り込み、編集画面のリニューアルなどを検討しています。そうすることで、キャンペーンやイベントでWebARを活用していた企業が、palanARによってAR作成にかかるコストを今までより大幅にカットすることができるようになり、世の中に多くのARコンテンツを生み出すことに貢献できると考えています。

また今回、モバイルアプリでもARの作成を可能にしましたが、今後はARグラスによるARコンテンツの作成にも取り組んでいきたいと思っています。