はじめまして。FanTechサービス「CL(シーエル)」のソフトウェアエンジニアとしてバックエンドの開発・リードを務める古谷です。第3回では、「CL」が「ABEMA」の知見を上手く取り入れながら、より高品質な動画配信を実現した方法について解説します。
動画の品質を担保するため「ABEMA」のノウハウを早期に導入
私は前職で、コンピュータグラフィックス(3DCG)特化のプロダクト開発や動画配信システムの構築に携わってきました。サイバーエージェントには2010年に中途入社し、「Amebaピグ」「ピグパーティ」などの仮想空間サービスをはじめ、新規サービスのバックエンド開発をリード。担当していたサービスの開発がひと段落し、新しい領域で難易度の高いプロダクト開発を求めていたタイミングに、まさにその希望にぴったりな「CL」開発の話を聞きました。
個人的に動画配信サービスの開発からは10年近く離れていましたが改めて挑戦したいと思い、チームへの参画を決意。本連載の第1回でお伝えしたとおり、CTOの高橋とプロダクトの方向性を決める前から、技術調査・検証・アーキテクチャ設計をスタートさせました。
「CL」では、動画データの入稿規定やデータチェックツール、トランスコード パラメータの最適化など「ABEMA」の知見を最大限活かした開発を行っています。
動画配信には、生放送配信、ライブキャスト配信、オンデマンド配信の3種類がありますが、それぞれの特性に応じたパラメータチューニングをしている点が特徴です。
これらのコンテンツにおけるワークフローは、経験がないと発想すらできないものだと思うのですが、「CL」には「ABEMA」のノウハウを早い段階で取り入れています。リリース時にはコンテンツ入稿作業に手戻りがなく、リリース後も動画コンテンツにおける映像や音声の乱れを事前に回避することができました。
このように、映像・音声の検証にかける時間的なコストを削減できたことで、より「CL」ならではの機能や、動画配信サービスとしての可用性や拡張性、保守性の強化に取り組んでいったのです。