クリエイティブを支える3つのAIサービスを提供
――まず、漆原さんのご経歴やクリエイティブ×AIの取り組みを始めた経緯でお聞かせください。
もともと起業したいと考えていたため、投資や会社の成り立ち、ベンチャー企業の育てかたを学ぶために新卒でベンチャーキャピタルに入社し、4年間ほど在籍しました。その後2010年にDeNAに転職。ソーシャルゲームの黎明期であった当時に『怪盗ロワイヤル』チームのディレクターを1年半ほど務めた後、プロデューサーとしていくつかのゲームタイトルを立ち上げ。その後、エン・ジャパンで新規事業の開発に携わり、2015年の9月に当社を創業しました。最初の3年間はプロジェクトファイナンス形式でゲームの開発を行っていましたが、2018年の4月から本格的にAIに取り組んでいます。
クリエイティブ×AIの領域で事業を始めたのは、取締役として入社した菅原の存在が大きいです。彼はエン・ジャパンで学生インターンとしてアプリ開発を手伝ってもらっていたのですが、プランナーとしてのセンスもあったため、一緒に事業をやらないかと声をかけました。
最初はAIと関係ない事業を構想していたのですが、「GAN(敵対的生成ネットワーク)」と呼ばれる技術の研究が非常に伸びてきていた。キャラクターの生成もAIでできるようになってきたという事例が、少し出始めてきたタイミングでした。私も彼もソーシャルゲームの開発を経験する中でキャラクター制作に非常に苦労した経験があったので、その領域に挑戦することに。ためしに菅原がキャラクター生成AIを作ってみたところ、最初から高い成果を出すことができた。それが、本格的にAI活用を始めたきっかけです。2018年4月ごろだったと思います。
――現在提供されているクリエイティブ×AIサービスの特徴についてそれぞれ教えてください。
現在提供しているサービスは大きく分けて、cre8tiveAI(クリエイティブAI)、OOH AI、AnimeRefiner(アニメリファイナー)の3つです。
cre8tiveAIはAIツールのプラットフォームで、画像や映像などのAI処理をドラッグアンドドロップで簡単に実行できるツールをウェブ上で提供しています。OOH AIはOut of Home(アウトオブホーム)の略で、屋外広告や交通広告向けに数万ピクセルの超特大画像を生成して提供するサービスです。AnimeRefinerはアニメを4Kや8Kにリマスタリングができるサービスです。
そして、近々新たに「mimic(ミミック)」というサービスをリリースする予定です。RPGで宝箱に擬態しているモンスターを「ミミック」と言いますよね。ミミックは特定の絵師が描いたイラスト30~50枚程度のデータを与えると、その絵師風の新作の画を無限に生成してくれるAIです。
私たちが提供しているイラスト生成ツールにはすでに、世の中一般に流通している絵をもとに学習し、さまざまな画風の絵が出力される「クリエイティブAI 彩ちゃん」がありますが、新サービスのmimicでは、特定の画風を無限に生み出すことが可能です。