日建設計、仮想空間と現実空間が融合する新たなワークプレイスの実現へMRアプリケーションを開発

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2022/11/14 20:00

 日建設計とホロラボは、仮想空間と現実空間が融合するワークプレイス「Cyber-Physical Workplace(以下、CPW)」の実現に向けて、MRプロトタイプアプリケーションを開発した。両社は、同開発を通してニューノーマル時代における新たなワークプレイスのビジョンを提示する。

 CPWとは、BIMデータ(Building Information Modelling/コンピュータ上に作成した主に3次元の形状情報に加え、室などの名称・面積、材料・部材の仕様・性能、仕上げなど、建築物の属性情報をあわせもつ建物情報モデルを構築するシステム)をもとに構築されたサイバー空間(仮想空間)と、IoTを活用したフィジカル空間(現実空間)のセンサー情報を組み合わせ、異なる空間同士をMR技術でつなぐことにより、高度なコミュニケーションと労働生産性向上を目指すワークプレイス。

MRアプリケーションの特徴

 CPWの実現に向けた第1段階として、テレワーク/現実のオフィスを問わず、ワークプレイスの偶発的な出会いを創出し、MR技術によりノンバーバル(非言語)コミュニケーションを強化し、テレワーカーの孤独感を軽減や偶発的なコミュニケーションを誘発するプロトタイプアプリケーションを開発した。

 在宅ワーカーはVRデバイスを通じてオフィスの仮想空間(デジタルツイン)に没入し、オフィス内に実在するオフィスワーカーのアバターと交流できると同時に、オフィスワーカーはARデバイスを通じてオフィスの現実空間に投影された在宅ワーカーのアバターと触れ合うことができる仕組みとなっている。

 2022年8月9日に実施した実証実験を通じて、在宅ワーカーの孤独感の軽減や、在宅ワーカーとオフィスワーカー両者の身振り手振りも合わせたノンバーバルコミュニケーションが可能であることを確認したという。

技術的なポイント

  • VR、ARのマルチデバイスのリアルタイム相互接続
  • 仮想空間(BIMデータを変換)と現実空間(オフィス)の位置を合わせたデジタルツインの実現
  • 仮想空間とセンサーデータ(リアルタイムな人の位置情報をAPI連携)との融合
  • コミュニケーションの解像度を上げるためにゲーム用マルチプレイヤーエンジンを利用
  • 指の動きまで再現した高精度なハンドトラッキング

各社の役割

 構想/企画・BIM/IoTデータ提供・実証実験を日建設計 デジタルソリューションラボが担当し、アプリケーション開発・技術支援をホロラボが担当した。

 今後は同アプリケーションのビジネス向け機能(コンテンツ共有やプレゼン機能など)およびノンバーバルコミュニケーション機能を強化するとともに顧客に体験してもらう予定。

 また、こういった技術のスマートビルやメタバースへの応用、さらなる技術開発を行い、ワークプレイスの提案力強化とコンサルティングビジネスへつなげる考え。