とくに盛り上がりをみせているのは「ショートドラマ」と「切り抜き」
――なぜ今、ショート動画が盛り上がっているのでしょうか。
近藤(ワンメディア) 今言われているのが「Z世代はググらない」ということ。おしゃれなカフェや美容グッズを探すときも、まず「TikTok」で検索をする傾向があります。漠然と「こんなものが欲しいな」と思ったときに、TikTokのハッシュタグで検索をする。いわゆる「タグる」というアプローチです。

実際に、Z世代の80%がこうしたアプローチで動画を視聴し、そこから検索で深掘りをしていくことがわかっています。臨場感をともなった動画が、Z世代にとって「信じられる情報」になってきているのです。それこそGoogleの検索タブにも「ショート動画」が登場していることも、「タグる」の重要性が上がってきていることの表れと言えるでしょう。
そこでおさえておくと良いのが、「よく使われるハッシュタグ」です。弊社では、定期的に10億回再生越えのハッシュタグを記録しています。

おもにチェックしているのは「再生数」と「どれだけのユーザーがハッシュタグに参加しているのか」のふたつ。そのなかでも今とくに注目しているのが「ショートドラマ」と「切り抜き」のハッシュタグです。これらのタグでどれだけ再生されたかだけでなく、実際にユーザーがどれだけこのタグに参加しているかを示す「投稿本数」にも注目しています。このふたつのハッシュタグはとても伸びていることからも、今ショート動画を語るうえで重要なキーワードになっていることがわかります。

――三井住友カードさんは実際にショート動画を活用した取り組みを積極的に行っていますが、その具体的な内容について教えてください。
神谷(三井住友カード) 私たちは月に7本から10本くらいのペースでTikTok上にショート動画を投稿していますが、流行っているハッシュタグなどをチェックし、それに合わせて動画を作るようにしています。またそれだけではなく、TikTok上でのドラマコンテンツも制作し日常的に観ていただけるような、コンテンツも投稿も行っています。
@smbc_card 「カメラを止めるな!」でおなじみの上田慎一郎監督とコラボ! みなさんはタイパを上げて生まれた時間をどのように使っていますか?? #タイパ #ショートフィルム #shortfilms #ショートドラマ #TikTokShortFilm #三井住友カード #SMCC ♬ オリジナル楽曲 - 三井住友カード【公式】
たとえばこのショートドラマは、ほかのクレジットカード会社と差別化を図るためにも、モバイルのタッチ決済にフォーカスを当てた内容にしました。タイパを重視する娘とお父さんのそれぞれの時間の流れかたの差を早送りで表現しながら、タッチ決済で得た時間で同じ時間を過ごすというストーリーです。
近藤(ワンメディア) サービスの世界観のみを伝えようと思うと情報が届ききらないですし、そのうえでビジュアルもしっかりと見せなければならない点が課題だと感じることがあります。ショートドラマを制作するうえで工夫されたことはありましたか?
神谷(三井住友カード) ドラマとサービスの比率には気を払っています。ストーリーに溶け込めるようにしながらも、モバイルのタッチ決済が使われるところを観ないと落ちがわからないような構造にもなっています。アンケートでの反響もよく、狙いどおりにサービス認知ができた事例でした。

近藤(ワンメディア) ちなみに、KPIはどのように設定されていますか?
神谷(三井住友カード) 社内でも悩みましたが、基本的には動画の再生数をいちばん重視しています。ただ企画ごとにさまざまな影響があったりするため、そういった要素を事前に因数分解しておいて、何が理由で数字が伸びたのか、何を持って成功と失敗を判断するかを把握できるように心がけています。