ショート動画成功の原則は3つの「K」
――ショート動画におけるクリエイティブ制作のコツについて教えてください。
近藤(ワンメディア) 私たちは「型」「界隈」「会話」という「3つのK」を、ショート動画成功の原則として掲げています。

ひとつめのKで挙げた「型」とは、たとえば「モーニングルーティーン」や「ゲーム実況」などのように、ショート動画上にすでにある既存のコンテンツのパターンを踏襲するということです。こうした人気の型に当てはめることでショート動画のアルゴリズムにもマッチし、ユーザーの目に届きやすくなります。
ふたつめの「界隈」とは、ハッシュタグの話題でも挙げたように特定のキーワードに興味が強いターゲット層を意味しています。重要なのは、企業やそのブランドと相性の良い界隈を見極めること。キャッチコピーなどもターゲットに届きやすいよう、捻りすぎずわかりやすいものにすることをオススメしています。

最後の「会話」は、ブランドに関するユーザー同士のコミュニケーションのこと。ブランドから「こうするのが良いよ」と押し付けるような提案はせず、コメント欄でユーザー同士に盛り上がってもらったほうが購入まで至るケースが多いと感じています。コンテンツを完成させずに余白を残しておくことで、視聴者が考察したものをSNSに投稿したりといった盛り上がりかたにつながりやすいです。
――最後に、今後のショート動画市場に関する見解をお聞かせください。
神谷(三井住友カード) ショートドラマはしばらく伸びていくだろうと思っていますが、可処分時間の奪い合いであるという構造は変わりません。多くの人があらゆる角度からコンテンツを発信しているので、飽きられるのが早い可能性もある。今後はコンテンツの質を確保することが重要になると思うので、こうした点を意識しながら事業やサービスの成長を目指したいですね。
近藤(ワンメディア) ショート動画の視点で言えば、そのウリは「バズれる素材を提供できること」ではないかと思っています。たとえば、「カフェの写真や動画を投稿することによりSNSでバズれる」といった構造には、素材となる「カフェ」とユーザーの「SNSへの投稿」という行動の関係があります。ショート動画のクリエイティブは、この例で言う「カフェ」にあたるもの。そのためショート動画を制作する際は、ユーザーがバズるための装置を提供することで、コミュニケーションを活性化させていくことを意識すると良いのではないでしょうか。

――神谷さん、近藤さん、ありがとうございました!