生成AIがどのような変化をもたらすのか その基本と広告クリエイティブに与える影響を探る

生成AIがどのような変化をもたらすのか その基本と広告クリエイティブに与える影響を探る
  • X
  • Facebook
  • note
  • hatena
  • Pocket

 2022年8月以降、テキストを入力するとそれに沿った高いクオリティの画像を⽣成するAI「Midjourney」や「Stable Diffusion」が、また同年11月末頃からは文章生成AI「ChatGPT」が話題となっています。本連載では、こういったAIをはじめとしたテクノロジーの進化が今後のウェブマーケティングや広告クリエイティブにおよぼす影響や、その変化に対応していく方法などについて、ガラパゴスの代表取締役 中平健太さんが解説します。第4回は、今後のウェブマーケティング・広告クリエイティブに影響を与えるAI技術についてです。

マーケティング・広告クリエイティブに影響を与える「生成AI」

 2022年は、画像生成AIや文章生成AIに代表される「Generative AI(生成AI)」が大きな話題となりました。「コンテンツやモノについてデータから学習し、それを使用して創造的かつ現実的な、まったく新しいアウトプットを生み出す機械学習手法」と定義されている「Generative AI」は、アメリカのGartner社が「戦略的テクノロジーのトップ・トレンド」として発表したキーワードでもあり、同社はこれによって市場が大きく変わると報告しています(参考記事)。

 弊社でも、画像生成AIや文章生成AIをすでに活用し始めていますが、Generative AIの中でもとくに、画像生成AIや文章生成AIは、マーケティングや広告クリエイティブに大きな影響を与えていくと考えています。

 画像生成AIは、膨大な画像と言語のペアの学習済みモデルで、生成したい画像を文章で入力したりラフ画をアップロードしたりすると数十秒で画像を生成できる技術です。代表的なAIとして「DALL・E 2」「Stable Diffusion」「Midjourney」などがあります。

 OpenAI社の「DALL・E2」は、2022年4月に研究者・専門家向けに提供が開始され、7月には一般向けベータ版も公開。順番待ちリストに入っているユーザーが順次利用できるようになりました。そして同じく7月に、Midjourney社は「Midjourney」のオープンベータ版を公開。チャットツール「Discord」のアカウントを持つ人であれば誰でもDiscord上で画像生成を行えるように。多くの人が自身で生成したクオリティの高い画像をSNSに投稿し、話題となりました。また同年8月末には、Stability AI社から「Stable Diffusion」がオープンソースで無料公開され、さらに大きな注目を集めました。

 現在、「Midjourney」はDiscordのアカウントの作成によって、「DALL・E2」および「Stable Diffusion」のウェブサービス「DreamStudio」はメールアドレスの登録などを行うことで使用することが可能です。また、Stable Diffusionはオープンソースで公開されているため、商用利用もできます。すでにStability AI社以外の企業や個人がiOS/Androidアプリを開発したり、チャットbotサービスを展開したりしているように、アイディア次第で幅広くビジネスに応用することができます。

 「文章生成AI」は、「言語モデル」「深層学習」という大きくふたつの技術から成り立っています。言語モデルとは、ある単語列の次にくる単語を確率分布で表したモデルで、大量のテキストデータを学習することで文章の生成ルールを抽出します。深層学習は、人間の脳を模倣したニューラルネットワークを構築しデータを学習させることで、人間が行うタスクを自動化することができる技術です。深層学習を活用することで、文章生成AIはより自然な文章を生成することができるようになります。

 現在、OpenAI社が開発したチャット形式のサービス「ChatGPT」が大きな話題となっていますが、こちらは「入力した質問に対して数秒で文章を生成し回答」「元の文章の語調を変化させる」「文章の要約並びに要約の文章化」「キャッチコピーの生成」「コードの生成」「創作(小説のアウトラインの作成)」「画像生成AIで画像を生成するための文章(プロンプト)の生成」などさまざまな使いかたが可能です。

 ChatGPTには、2022年初頭にトレーニングを終えたGPT-3.5というシリーズの言語モデルをベースに微調整を加えたAIが活用されています(参考記事)。そして画像生成AIのサービスと同様、Chat GPTも、メールアドレスの登録によるアカウント作成で使えるようになるため、キャッチコピーを考えるヒントをもらうなど、業務効率化にも役立てることができます。

※この続きは、会員の方のみお読みいただけます(登録無料)。