VRエンジニアとは? 仕事内容や未経験から目指すための方法を解説

VRエンジニアとは? 仕事内容や未経験から目指すための方法を解説
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2023/01/22 00:00

 VRエンジニアとは、どのような仕事をする職業なのでしょうか。VRエンジニアに必要なスキルや、初心者から目指すための方法、将来性などについて解説します。

 まるで自分自身が映画やゲームの世界に入り込んでいるかのような感覚を味わえる技術、それがバーチャルリアリティー、通称VRです。VRと聞くと、ゲームやエンターテインメントを思い浮かべる人が多いでしょう。しかし近年では、医療や特殊車両の教育、災害対策、観光、不動産など、さまざまな分野で活用されています。

 そんなVRのコンテンツやサービスを開発するのが、VRエンジニアです。とはいえ、具体的にどのような仕事をするのか、よくわからない人も多いのではないでしょうか。

 この記事では、VRエンジニアの仕事内容や必要なスキル、未経験から目指すための方法、将来性などについて解説します。

VRエンジニアとは、VRコンテンツを制作するエンジニア

 VRを実現するためには、CGや実写映像などを用いて、ユーザーが仮想空間に没入できるコンテンツを制作しなければなりません。そのVRコンテンツの制作を担当するITエンジニアが、VRエンジニアです。VRエンジニアは、VRクリエイターと呼ばれることもあります。

 また、コンテンツ制作を担うフロントエンドのエンジニアだけでなく、システムの裏側に携わるバックエンドのエンジニアも存在するなど、業務は多岐にわたります。

VRエンジニアの仕事内容

 VRエンジニアは、具体的にどのような作業を行うのでしょうか。ここでは、VRエンジニアの代表的な業務を3つご紹介します。

1.コンテンツ設計

 VRエンジニアの仕事として、まずVRアプリやゲーム内で表示するコンテンツの設計が挙げられます。例えば、ゲームであればキャラクターやフィールド、またそれらをどう動かすのかといったアニメーションやモーションの設計、構築などです。プロジェクトによっては、ストーリーの設計やBGMの設定などもVRエンジニアが担当します。

2.コンテンツ制作

 コンテンツ設計が完了したら、それにしたがってコンテンツの制作をするのもVRエンジニアの仕事です。コンテンツ制作に伴う開発を行う際は、一般的にVRコンテンツ用の制御機能やプログラミング用のコードエディター機能が搭載されているソフトウェアであるゲームエンジンを使用します。

3.テストおよびデバッグ作業

 コンテンツ設計や制作だけでなく、内容に不具合や問題点がないか調べるためのテスト、およびデバッグ作業もVRエンジニアの仕事です。デバッグとは、プログラムの誤り(バグ)を見つけ、手直しをすることです。もしバグが見つかった場合、設計や制作の段階に戻って修正します。その後、再度テストを実施し、不具合や問題点がなくなれば実装に移ります。

VRエンジニアに必要な3つのスキル

 VRエンジニアとして活躍するためには、専門的な知識やスキルが必要になります。ここでは、VRエンジニアに必要なスキルの中でも、代表的なものを3つご紹介します。

1.プログラミングスキル

 まず必要となるのは、コンテンツ制作におけるプログラミングのスキルです。VRエンジニアが習得すべきプログラミング言語は、ひとつだけではありません。なぜなら一般的なVRでは、コンテンツの特徴によって複数のプログラミング言語を使い分けているからです。

 VRエンジニアが使用しているプログラミング言語およびツールとしては、JavaScriptやC#、Blueprint、Boltなどが挙げられます。

2.ゲームエンジンを扱うスキル

 VRのコンテンツ制作や開発では、プログラミングだけでなく、ゲームエンジンなどの開発ツールを扱うスキルも求められます。

 代表的なゲームエンジンは、UnityとUnreal Engineです。Unityは直感的な操作が特徴的で、主にスマートフォンゲーム開発に用いられています。また、Unreal Engineは、グラフィック性能が高いため、家庭用ゲーム機の開発でよく使われています。

3.動画撮影や編集のスキル

 VRエンジニアは、動画撮影や編集に関するスキルが必要となるケースもあります。なぜなら、VRエンジニアの現場では、CGだけでなく実写の映像をもとにコンテンツ制作を行うことがあるからです。

 VRでは、その場面に入り込んでいるかのようなコンテンツが求められます。そのためプロジェクトによっては、360度撮影できるカメラやドローンを使って撮影するケースがあるかもしれません。撮影をプロに任せる手もありますが、撮影技術を理解しておけばクオリティの高い映像、ひいてはよりリアルなVRコンテンツ制作にもつながるでしょう。

 また、動画編集ソフトを使って余計な部分をカットするなど、編集スキルが求められる場合もあります。

未経験からVRエンジニアになるには?

 VRエンジニアを志す気持ちがあるものの、「未経験では難しいのでは?」と思っている人も多いのではないでしょうか。ここでは、未経験からVRエンジニアを目指すための3つの方法をご紹介します。

1.新卒でVR関連の企業に入社する

 VR関連企業の中には、研修によって未経験者を育成してくれる企業もあります。その場合、新卒入社の時点でVR制作のスキルがなくても、VRエンジニアになれる可能性はあります。

 ただし、新卒採用の選考においては、VR制作への適性だけでなく、コミュニケーション能力やマネジメント経験の有無をチェックされることがあります。面接時にうまく説明できるよう、学生時代の実績や経験をまとめておきましょう。

2.独学でスキルを身につける

 参考書や学習サイト、YouTubeなどの動画により、独学でVR関連スキルを身につけることも可能です。ただし専門用語が多いため、人によってはモチベーションを維持することが難しいかもしれません。参考書だけでなく、VR関連の学習サイトや動画を参照し、手を動かしながら学ぶといいでしょう。

3.VR制作のスキルが学べる専門スクールに通う

 初心者であれば、VR技術に特化した専門スクールに通うのもおすすめです。多くのスクールでは、未経験者のためのカリキュラムが用意されているため、VRエンジニアに必要なスキルを効率良く学べるでしょう。また、わからない点が出てきてもすぐ講師に聞くことができたり、VRエンジニアを目指す仲間ができたりするといったメリットもあります。

 ただし、スクールに通う場合は、ある程度のお金がかかります。また、通学にかかる手間や時間もあらかじめ考慮に入れておかなければなりません。

VRエンジニアの将来性は?

 総務省が発表している「令和3年版 情報通信白書」によると、AR/VR関連ソフトウェア・サービスの市場規模は年々伸びています。また、AR/VR関連ハードウェアの出荷台数も増加が見込まれていることから考えると、今後ますますVR技術が広がっていくことが期待できるといえます。

 VRと聞くと、ゲームや映画などエンターテインメントの分野を思い浮かべる人が少なくありません。しかし、近年は企業での利用も広がっており、例えば、不動産分野では物件の擬似確認、旅行分野では旅行先の疑似体験にVRが利用されています。そのほか、医療や特殊車両の教育、災害対策など、活用の場が広がりつつあります。

 また、VR用のゴーグルは、新しい機器が次々と登場し、一般家庭にも徐々に浸透しているようです。さらに、5G通信を使えば大容量の映像データを送受信できるため、今後はオンラインでもVRが実現するかもしれません。

 このように、VRは新しいソフト・ハード技術と密接につながるため、VR関連市場の将来性は極めて高いといえます。技術革新や市場拡大とともに、VRエンジニアの需要も広がっていくでしょう。

自身に合った学習方法でVRエンジニアを目指そう

 今回は、VRエンジニアの具体的な仕事内容や必要なスキル、未経験からVRエンジニアになるための方法、将来性などについて紹介しました。

 VRは、今後さらに成長が期待できる分野です。VRの普及とともに、VRエンジニアもニーズが高まる職業といえます。ただし、VRエンジニアには、プログラミングやゲームエンジンを扱う技術、動画撮影、編集技術など、幅広いスキルが求められます。これからVRエンジニアを目指す人は、自分に合った学習方法を選び、継続的に学んでいくことを心掛けましょう。