3つの変化が同時に起こる今、クリエイターはテクノロジーとどう向き合うべきか けんすうさんがヒントを語る

3つの変化が同時に起こる今、クリエイターはテクノロジーとどう向き合うべきか けんすうさんがヒントを語る
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2023/07/05 08:00

 昨年11月末に「ChatGPT」が登場したことを機に、生成AIをはじめとしたさまざまなAI関連サービスが続々と登場している。そんな今、クリエイターはどのようにテクノロジーをとらえ、この激動とも言える時代に臨めばよいのだろうか。今回は、きせかえできるNFT「sloth(すろーす)」、漫画制作サポートAI「コミコパ」など、クリエイティブ活動を加速させるためのサービスを展開しているアル株式会社で代表をつとめる古川健介(けんすう)さんにインタビューを実施。クリエイターが進む道のヒントを探っていこう。

新しく登場した技術をサービスに取り入れるワケ

――まず、クリエイターのためのビジネスを展開しようと思った背景や提供しているサービスの特徴などについてお聞かせください。

もともとインターネットの業界におり、起業は今回で3回目になります。当時の日本を見て、世界に誇れるものはやはりマンガやアニメ、ゲームといった領域ではないかと感じたこと、また私自身もマンガなどは好きで市場を盛り上げていきたいという気持ちがあったため、2018年7月に創業しました。

Web3やAIといった新しいテクノロジーを上手くサービスに落とし込み、クリエイターやクリエイティブ活動に関わる企業、IPを保有している企業などに向けたサービスを提供しています。

アル株式会社 代表取締役 古川健介(けんすう)さん
アル株式会社 代表取締役 古川健介(けんすう)さん

クリエイターエコノミーでは、「トップ層がより稼げる」という現象がよく起こります。しかし私たちが目指しているのは、実力はあるけれどまだ知名度がなく、あまりビジネスとして成り立っていない中間層の人がお金を稼げるようになることです。

インターネットは誰でもコンテンツが投稿できるため多様性が生まれやすいように見えますが、実はコンテンツが競い合うことで多様性は失われる方向に進むんです。

たとえば小説投稿サイトの作品をみてみると、もっとSFものがたくさんあってもおかしくないのに、「異世界転生」「悪役令嬢」「パーティ追放」といったテーマに偏っていたりしますよね。人気ジャンルを書いたほうが数字を出せるとなると、みんながそれを模倣するようになります。そうすると作品数が増え、ジャンル自体により勢いがついていくので、人気ジャンルの作品を書くトップ層のクリエイターはより稼げるようになる、みたいなことが起こるんです。

しかし、中間層の人たちがお金を稼ぎやすい仕組みが生まれれば、ジャンルの人気に頼らずとも生計を立てやすくなり、より自由に作品を書くことができます。そうすると、よりコンテンツの多様性が生まれるのではないかと考え、サービスを提供しています。

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