パーパスを活かして施策を共創する「PIECEキャンバス」とは 具体的な進めかたを解説

パーパスを活かして施策を共創する「PIECEキャンバス」とは 具体的な進めかたを解説
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 企業の存在意義を表す言葉として耳にする機会が増えた「パーパス」。策定する企業も少しずつ増える一方、それが形骸化してしまっている企業もいるのではないでしょうか。そんななか電通デジタルでは、パーパスの浸透に一役買う新たなCXのフレームワーク「PIECEキャンバス」を開発。本連載では、パーパスを活用したブランディングの基本や、パーパス浸透のためのアクション、その実践例などを解説します。第2回は「PIECEキャンバスの具体的な進めかた」についてお伝えします。

 はじめまして。電通デジタルの林です。クリエイティブディレクター/コピーライターとして働いています。

 前回に続き今回は、PIECEキャンバスの具体的な進めかたについてです。第1回とは打って変わり少し堅い内容になってしまいますが、有益な内容にできればと思います。

 最初におさらいですが、PIECEキャンバスはパーパスを「絵に描いた餅」にせず、アクションに結び付けるためのフレームワークです。前回何度も繰り返しお伝えした「パーパスを血肉化する」を実現するためのものです。

 そこが本丸ではあるのですが、フレームワークの特徴上、もう少し広く使うことも可能なため、まずはPIECEキャンバスが活用できるシーンをお伝えします。ひとつでも思い当たる方は、ぜひ読み進めてみてください。

  • パーパスを規定したものの浸透が滞っており、具体的な施策に落とし込めていない。
  • 顧客体験(CX)を重視したブランドにしていきたいがどこから手をつけたら良いかわからない。
  • 中長期的な視点からブランドのファンを増やしたい。
  • 獲得系の施策を中心にやってきたが頭打ちとなっており、打開策を探りたい。
  • サイロ化した複数の部署を横断し、統合的なアプローチで施策開発を行いたい。

もっとも大切なのは「エッセンスの抽出」

 それでは、具体的な内容に入っていきましょう。まずはPIECEキャンバスの概念について。次の図をご覧ください。

 PIECEとは、Purpose(パーパス)、Insight(インサイト)、Essence(本質的価値)、Communication(広告)、Experience(顧客体験)の頭文字をつなぎ合わせたもの。図の右側に記載しているように、最終的に広告施策と顧客体験を共創することを目的に、クライアント企業と電通デジタル側のメンバーとで、ワークショップを通じて実行していきます。

 この中でPIECEキャンバスが重きを置いているのが「エッセンスの抽出」。なぜなら、企業のパーパスと打ち手である広告施策や顧客体験とを強く結びつけるための指針となるのがエッセンスだからです。

 機能するエッセンスを抽出するためには、生活者が真に求めているものへの手がかりとなるインサイトがカギになります。必要なのは、インサイトとパーパスをつなぎ、企業やそのブランドが本質的にもつ価値へ落とし込むことこと。シンプルに整理すると、「企業の想いと生活者の思いの接点」がエッセンスだと言えるでしょう。

 電通デジタルがこれまで培ったクリエイティブの知見をもとに、このエッセンスを「マーケティングワード」や「コンセプト」といった形で的確に抽出・言語化。それをもとに、クリエイターがCX発想で生み出したコミュニケーション開発スキルを活用し、一貫した顧客体験や広告施策を生み出すことで、顧客の新規開拓やファン化にまでつなげます。

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