トヨタモビリティ東京とスマドリのコラボにクリエイターはどう関わったのか 共創の裏側を一挙紹介

トヨタモビリティ東京とスマドリのコラボにクリエイターはどう関わったのか 共創の裏側を一挙紹介
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 企業の存在意義を表す言葉として耳にする機会が増えた「パーパス」。策定する企業も少しずつ増える一方、それが形骸化してしまっている企業もいるのではないでしょうか。そんななか電通デジタルでは、パーパスの浸透に一役買う新たなCXのフレームワーク「PIECEキャンバス」を開発。本連載では、パーパスを活用したブランディングの基本や、パーパス浸透のためのアクション、その実践例などを解説します。第3回はPIECEキャンバスを取り入れた「Ariake Miraie CAFE」の事例を紹介します。

 電通デジタルでアートディレクター/クリエイティブディレクターをしている石田沙綾子と申します。

 第1回のパーパスの概要、第2回のPIECEキャンバスの解説に続き、今回はPIECEキャンバスでサポートした具体例をお伝えします。

 トヨタモビリティ東京さまと、スマドリ社が運営するスマドリバー渋谷がコラボしたノンアルコールカクテルを提供する「Ariake Miraie CAFE」オープンの事例で、有明に新しくできるTOYOTAのディーラー「トヨタモビリティ東京有明店・レクサス有明」内にカフェを開こうというプロジェクトでした。

 トヨタモビリティ東京さまは有明地域の方々と交流コミュニティスペース「Ariake Miraie」を通じて深い関係を作っており、その関係を象徴するような大人も子どももくつろげるカフェをイメージされていました。

 オープン日が迫っていたこともあり、弊社への依頼は設計図が引かれカトラリーの発注も始まっているなかだったため、4日間で集中的にPIECEキャンバスを使用。このカフェの魅力的なコンセプトと、提供すべき体験やコミュニケーションについてメンバーでインテンシブに共創して決めていきました。

 PIECEキャンバスではまず、「パーパス」と「インサイト」を理解し(正確には覚えると言ったほうが良いかもしれませんが)頭にしっかりダウンロードします。アイデアに迷ったらこのふたつに必ず戻ることで、的外れな意思決定を防ぐことができます。

パーパス

 今回はクライアント企業が2社となるため、パーパスもふたつありました。

トヨタモビリティ東京のパーパス

常にお客様に寄り添い、お客様の声に耳を傾け期待を超えるサービスをスタッフ一丸となって目指します

「働き方改革」「風土改革」を進め、コミュニケーション豊かなやりがいある職場を目指します

「自動車販売業はまだまだチャンスあり」新しいビジネスチャレンジに積極的にトライします

スマドリのパーパス

飲み方を、もっと自由に、もっと自分らしく

 両社のパーパスは大きく相反することはなく、むしろ互いに共鳴し、よりその意味が深くなるものでした。

インサイト

 お伝えしたように、トヨタモビリティ東京さまはAriake Miraieという場所で近隣の方々とのコミュニティを素敵に実現されています。新しくできるディーラーも、その近隣住民の方が大切なお客さま。その方たちが心から楽しめるカフェはどのような形なのかを探るために、私たちは有明近隣在住の仲間に協力してもらい、10名ほどの家族連れの方に深く話を聞くことにしました。

 ヒアリングを行ったのは有明にあるカフェ。家族連れの方がどういった注文や行動をされるかという簡単なエスノグラフィー的調査も同時に実施しました。ヒアリングはクリエイター自身が行うことで、話を伺っている最中からイメージがどんどん湧き、たくさんのアイデアストックができました。のちほど紹介するワークショップでもアイデアは生まれたため、何があってもこのリストを掘り起こせばなんとかなる、という安心感も得ることが可能です。

 そのあとは当事者インタビューをベースにクリエイター全員でその深層心理を深堀りし、今回はユーザージャーニーのような形で6つにまとめました。

 実際に挙がった内容をいくつか抜粋します。サービスデザイナー出身クリエイターが非常に上手くまとめてくれました。以下をご覧いただくと、「わかる!」と共感できる点もあるのではないでしょうか。

  • ノンアルコールドリンク=ノンアルコールビール。そしてあまりおいしくないという固定概念
  • 子どもがいるとアルコールを飲むテンションにならない
  • 本当は大人も子どももそれぞれにくつろぎたい
  • 子どもはなんやかんやいって車が大好き
  • 子どもはいつも同じ飲み物を頼む

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