[新連載]結局VRデバイスってどうなの?創作ツールなどデバイス面から見たVRをクリエイターが考察

[新連載]結局VRデバイスってどうなの?創作ツールなどデバイス面から見たVRをクリエイターが考察
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 XRやメタバースといったキーワードは依然として未来を感じさせる魅力的な響きを含む一方、一過性のブームが去ったように捉えられる風潮もあります。こうしたなか、デザイナーやクリエイターとしてバーチャル文化とどのように向き合うべきなのか、疑問に思う人も多いかもしれません。この連載では、デザイナーやクリエイターの観点を主軸に、Oculus Rift DK1時代からXRに取り組み作品制作や企業のXR導入支援を行ってきたCHAOSRU代表の内藤薫さんが、その全体像を俯瞰した考察をまとめていきます。第1回は「VRヘッドマウントディスプレイ」をテーマに、デバイスの側面から見たVRについて考えてみたいと思います。

高品質な作品も数多くリリースされているVRコンテンツ

 「結局VRデバイスってどうなの?」という問いに対しては、技術やビジネスなどの見かたによってさまざまな意見があるでしょう。世間一般に、どの程度のインパクトを持って普及できるかと言えば、障壁や課題が多いであろうことも予想されます。一方、創造性やインスピレーションの観点からはとても魅力に満ちており、ぜひ一度は触ってみてほしいと私は考えています。

 VRコンテンツを実際に体験したことがなかったり、動画でしか視聴したことがなかったりする方のなかには、コンテンツがまだまだおもしろくないのでは?と思う方もいるかもしれません。しかし、実際にリリースされているタイトルには、本当に高品質かつクリエイターとして刺激を受ける作品が多くあることは間違いありません。

 機能やスペックについては技術サイトなどでも取り上げられることが多いためここでは割愛しますが、クリエイターやデザイナーとしてとらえたときにどのような体験が待っているのか、どんなところに注目したら良いのかなど、具体例を交えながら紹介していきます。

VRデバイスで体験できるコンテンツ例

映画・アニメーション

 Meta Questの前身であるOculus Rift が登場して以降、次世代の映像・アニメーションの表現の場としてVRに魅力を感じたクリエイターは数多くいたと思いますが、私もそのひとりでした。世界では大型のCGスタジオから独立した実力あるクリエイターがタイトルに携わるケースもあり、その結果、VR映画の演出文法はかなり高いクオリティで研究されてきたのではないかと個人的には考えています。

Baobab Studioのショーリール

 なかでも、VRアニメーション制作の先駆けでもある「Baobab Studios」は、VRというデバイスを使ってどのようなエンタテイメントを体験してもらうべきなのか、先陣を切って研究してきたスタジオであり、その作品は非常に高品質です。

 空間に入り込んで体験するVRでは、構図や尺の取りかた、視線誘導の手法、ユーザが参加するインタラクションなど、2Dの映像とは異なる文法が多く求められます。デバイスが登場したばかりのころは、「初期の映画もこのようにして演出文法が作られていったのだろうな」と思わせる実験作が次々と生まれ、こうした新しいアプローチを競い合うクリエイター魂を見るのも楽しみのひとつでした。

手書き風のキャラクターとインタラクションで進むストーリーテリング「Wolves in the walls」(Fable Studio)

 デバイスの一般普及率の課題もあり、作品の品質に対して体験しているユーザ数が圧倒的に少ないと思われることが私としてももどかしい部分で、ぜひ多くの人に一度は経験してみてもらいたいと考えています。

ゲーム

 わかりやすいVRの人気コンテンツといえば、やはりゲームでしょう。没入感や臨場感が強みになる音ゲームやフィットネス、ホラーといったジャンルは定番タイトルです。

 

 こうしたゲームのジャンルのなかでもクリエイターとしてぜひ体験してもらいたいのが、大型スタジオが手掛けるビッグタイトルです。PlayStation VRでリリースされているバイオハザードやHorizonなど人気ゲームタイトルのVR版は、グラフィック、UX設計、ストーリーともに品質が高く、単なるゲームではない、まさに新体験だと感じられるような演出に満ちていると感じます。

 

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