カラーミーショップのデザインチームが実践! デザインの成果を測るための目標設定とは

カラーミーショップのデザインチームが実践! デザインの成果を測るための目標設定とは
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 2021年までは分権型の組織だったものの、2022年から集権型のデザインチームを立ち上げたGMOペパボ EC事業部。本連載では同社が開発・運営するSaaS型ECプラットフォーム「カラーミーショップ」のシニアデザインリードをつとめる山林 茜さんが、デザイン組織としての取り組みや、デザイナーの育成方法などについて解説します。今回は「デザインの成果を測るための目標設定」がテーマです。

 こんにちは。GMOペパボ EC事業部のシニアデザインリードの山林(やまりん)です。

 先日AirPods Proを買って、初めて体験したノイズキャンセリングのすごさに驚いています。なんなら静かすぎて怖い。でも家で集中したいときは最高!

 さて、今回はSaaS型ECプラットフォーム「カラーミーショップ」のデザインチームの目標設定について紹介します。

目標設定による「期待」の擦り合わせ

 デザインの成果は、短期よりも中長期的かつ複合的に現れるものです。これらの成果は、デザイン単体ではなく市場の動向やマーケティング施策といったほかの要因から影響を受けることが多いため、単純な数値化が難しく、評価に悩みを抱えるデザインマネージャーは多いのではないでしょうか。

私自身も明確な正解はもっていません。しかし、有益な手法のひとつとして「マネージャーやチームメンバー間で期待されるゴールを擦り合わせておくこと」が挙げられるのではないかと考えています。そのために不可欠なことが「目標設定」です。

目標設定のメリット

1.それぞれが取り組むべき方向性が明確になる

目標は、デザインに取り組む際の方向性を明確にします。デザインには無限の可能性がありますが、事業としてより期待付加価値の高いデザインに取り組むためにはどこに焦点を合わせると良いのかなど、プロジェクトやタスクの優先順位を理解する手助けになります。

2.会社・事業・チーム方針との接続によって理想を描きやすい

目標設定において、自身の目標が会社・事業・チームの方針とどのように接続されているかを理解することが重要です。まず共通の目標を確認することで、「組織全体で成し遂げたいこと」から自身の役割およびデザインがどのように貢献するかを考えることができます。

デザイナーは表層のクリエイティブを制作するだけではありません。事業やチームの目標達成のための正しい問題が何であるかを定義し、理想像を描き、戦略的な視点からも課題解決に取り組むことで、成果を最大化する手段を見つけることができます。

3.成果を測るための指標が明確になる

目標の期限を迎えたときに、どのような状態になっていることを目指すのか。そのゴールの期待値を最初に上長と擦り合わせておくことが重要です。これにより、目標設定時点から期待される状態までの変化の度合いや進捗を、定量的に評価することができます。目標達成の進捗を定期的かつ客観的に判断することで、必要なときにアクションの調整を行うことも可能です。

 上記以外にも、目標を設定することで組織全体の方向性が明確になり、一体感や個人・チーム間での関係が強化されます。その結果、プロジェクトの成功確度の向上、そしてより良いユーザー体験を提供することが可能になると考えています。

目標設定のアプローチ

 私たちの組織では通常、評価サイクルに合わせて半年ごとに目標設定を行います。ただし、チームによっては四半期ごとのOKRを導入していたり、シニア以上はスコープを1年先に広げて設定したり、といったパターンもあります。チームの特性や業務に合わせて柔軟に調整しているためです。
デザインチームの場合、目標設定は半期ごとに行っています。期末から期初にかけて、各デザイナーと私(デザインリード)、マネージャーとの3者間で次期目標を設定します。目標を設定する前に行っていることは、次のふたつです。

1.デザインチーム全体で前期を振り返る(KPT)

前期のチームの成果や課題を振り返ることで、「何が効果的であったか」「どの点を改善できるか」などを可視化し、共通認識にすることができます。これにより、学習したことを次期の目標設定に活かしたり、プロセスや戦略の改善に組み込んだりすることが可能になります。

Figjamを使ってデザインチーム全員で振り返りを行っている。
Figjamを使ってデザインチーム全員で振り返りを行っている。

2.各デザイナーに「期待している役割」を伝えること

各デザイナーには自身の役割と責務を自覚し、モチベーションをもって取り組んでほしいと考えています。そこで、各自のスキルや特性などを考慮し、前期より少しストレッチをかけた役割を伝えています。これには、デザイナーとしての成長の期待、そして事業・チームを成長させるために期待するアクションやマインドなどが含まれます。

個人の成長がチームや組織を強くし、その結果としてユーザーにより大きな価値を提供することが可能になるのです。

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