KADOKAWAやトラックメーカーの事例も studio15がTikTokとショートドラマ活用を解説

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2024/05/07 11:00

マンガ紹介にとどまらない、KADOKAWAのTikTok活用

 続いて共有されたのは、KADOKAWAのTikTok活用事例。同社はウェブマンガ「シルフコミックス」のプロモーション手段にTikTokを用いた。シルフ編集部の小山内 美遥氏は、アカウント設立について、「ユーザーによるマンガの切り抜きなどがTikTokでバズっているのを見て、編集部の発信場所もTikTokにシフトしなければいけないと思った」とその経緯を説明する。現在はstudio15とともに、ショートドラマをはじめユニークなコンテンツを展開している。

株式会社KADOKAWA シルフ編集部 小山内 美遥氏
株式会社KADOKAWA シルフ編集部 小山内 美遥氏

 BtoBと比べ、BtoC企業のTikTok活用は運用しやすい側面もある一方、「競合が多いために勝ち筋が見えづらくなっている」と畠山氏は指摘。そのため、企業が伝えたいことを一方的に訴求する「押し売り」のアカウント設計は避けることが賢明だ。ユーザー目線でコンテンツを制作し、商品の特性を押し出した認知拡大やファンづくりのための施策が重要になる。KADOKAWAとの取り組みでも、この点を意識したアカウント運用、コンテンツ制作を行ったという。

 王道コンテンツとも言えるマンガ紹介の投稿では、エフェクトを使ってマンガの静止画を動かしながら、TikTokライクに編集している。また、同社は連続のショートドラマも展開。直接的にマンガを紹介したり再現したりするのではなく、訴求するマンガやそのセリフがドラマのストーリー内に登場する。「キャラクターに(実写の)イメージを与えたくない」という課題を逆手にとり、効果的に懸念を払拭した事例だろう。

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 本作の制作もstudio15のクリエイターである久保氏が担当。ドラマ構成のポイントを次のように話した。

「ショートドラマは見どころを作ることが大切です。マンガの紹介を入れる箇所には悩みましたが、マンガを登場させることでその後の展開が気になるストーリーを目指しました」(久保氏)

 シルフ編集部はTikTok運用の目的を「認知度拡大」に置いていたため、すぐには売上につながらない点も十分に理解したうえでスタートを切った。KPIもその目的に従い、投稿数や平均再生数を重視していた。その結果、運用開始から2年弱で最高再生回数は304万回に。ガールズコミックという絞られたジャンルでありながら、消費財など一般認知度の高い商材を扱うような企業アカウントと同等のフォロワー数(2万1,000人)に到達した。また、作家のサイン会で作品を知ったきっかけを尋ねると、「TikTok」と回答した人が半数にのぼったという。

 小山内氏は「認知獲得の媒体としてとても効果的だと実感した」と評価し、「TikTokでマンガを紹介する際の新たなフォーマットを作っていけたら」と今後のさらなる活用に意欲を見せた。

 最後にstudio15の畠山氏は、TikTokにおいてクリエイティブの質がいかに重要であるかを再度強調し、本セッションを締めくくった。

「TikTokはクリエイティブファーストなプラットフォームです。企業ではKPIにばかり意識が向いてしまいがちですが、『良い動画であるかどうか』ですべてが決まる。編集や脚本、音質といったクリエイティブの質を追求することが再生数にもつながっていきます。皆さんの自社の運用を改善するためにも、今回の内容を参考にしていただけたら嬉しいです」

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