そのアイディアどうやって実現させたの? 新連載スタート!
「面白い」アイディアがあるのになかなか実現しない。
「面白い」アイディアなのに思ったほどの反響がない。
そんな経験をしたことはないでしょうか?
クリエイターが自分自身で「面白い」と感じるアイディアは、数多くの切り口から捻り出したアイディアの中でも、飛び抜けて光る何かがあるはずです。
にも関わらず、そのアイディアが時には社内のブレストで潰されてしまったり、クライアント企業に提案してもなかなか採用されなかったり、その渾身のアイディア(動画やコンテンツやプロモーション)が世に出せるところまで行き着いたとしても、期待した程の大きな反響や成果を得られなかったことが誰しも一度はあるのではないでしょうか。
私は猿人|ENJIN TOKYOというクリエイティブエージェンシーで、主にクリエイティブアイディアを出して実現させる仕事をしています。まずは、企画した案件のひとつのご紹介です。
自動制御のドローンによる空中ストア(CROCS)
驚きの軽さを表現するため、オーダーに従ってドローンが自動制御で空中に敷き詰められたクロックスのシューズをつかんで持ってくるストアを実現させました。TVや新聞、海外メディアなど大きな反響がありました。
つい最近でも、「GAME CHIRONICLE」という1980年代〜現代まで日本のゲームカルチャーを100のアイテムを集めながら紐解くゲームコンテンツを、ゲーム業界とは関係のない航空会社ANAさんのグローバル向けの仕事として公開しました。「なぜANAがゲームを!?」ということで、メディアにも取り上げられ話題となりました。
そんな風に、毎月のように渾身のアイディアを捻り出して提案することを繰り返す中で、
- そのアイディアどうやって通したの?
- それどうやって実現させたの?
- それいくらかかったの?
と、聞かれることが多くあることに気づきました。
そこで今回の連載では、面白いアイディアを持っているのになかなか実現する機会に恵まれないクリエイターやプランナーの方、企業サイドから面白い仕掛けを実現させたいと目論んでいるマーケターの方、アイディアを生み出して実現させることに日々向き合っている方に向けて、世の中を沸かすかもしれない「面白いアイディア」を形にするためのヒントになればと思ってます。
面白いアイディアが実現しづらい理由とは
クリエイターが「面白い!」と思うアイディアにはいくつかの特徴があり、その裏返しが、実現へのハードルを上げてしまっているように思います。
1.新規性のあるアイディアの場合
アイディアそのものに今まで見たことがないような要素があったり、斬新な切り口やメッセージがあるケースです。
それをそのまま裏返すと、既視感がないということは近しい前例もなく、完成形の想像がつきにくいという欠点があります。それなりの予算を投下してプロモーションを組み立てる責任を負う企業側からすると、それは無視できないリスクに感じられるでしょう。逆に、安心感のあるアイディアだと「もっと新しいものが見たい」と言われる、といったジレンマもあるあるなのですが。
また、斬新な切り口やメッセージはともすると炎上リスクも負うことになったり、実現までにどこにどのくらいのコストや時間がかかるか見えにくくなります。つまり、そのような新しさや斬新な切り口を持ったアイディアを採用するには、選ぶ側に、それ相応の不確定要素を抱え込む覚悟と意思が必要となるのです。