2024年11月、ユネスコは調査報告書「Behind The Screens(スクリーンの向こう側)」を発表。この調査は、デジタル・コンテンツ・クリエイターの世界に関する貴重な洞察を提供することを目的とし、彼らの動機、スキル、および課題に関して得られた知見を紹介している。
もっともよく使われるプラットフォームはInstagramとFacebook
同年8月から9月にかけて、アメリカのボーリング・グリーン州立大学の研究チームによって実施されたこの調査。8ヵ国語でオンライン調査を実施し、45の国と地域から500人のクリエイターから回答を得たほか、20人への詳細なインタビューが行われた。
調査対象の多くは35歳以下で、1,000人から10,000人のフォロワ一を抱える、いわゆる「ナノ・インフルエンサー」として定義されているクリエイターたちだ。居住地域は、ヨーロッパ(35.2%)とアジア(29.4%)が半数以上。以下、南米(13%)、北米(10%)アフリカ(6.4%)、オセアニア(3%)、ユーラシア(3%)と続く。調査対象者がもっともよく使うプラットフォームは、Instagram(34%)とFacebook(25%)。TikTok(16.4%)、YouTube(9%)、WhatsApp(5.2%)などが続いた。
彼らのコンテンツフォーマットは多様であるが、コンテンツジャンルは、ファッション・ライフスタイル(39.3%)、ビューティー(34%)、旅行・グルメ(34%)、ゲーム(29%)、コメディ(27.1%)、ショッピング・商品レビュー(26.3%)、スポーツ・フィットネス(24.4%)、写真(21%)、動物・自然(14.9%)など多岐にわたった。
ファクトチェックは「していない」が6割越え
彼らにソーシャルメディア上でコンテンツを作成するおもな動機について尋ねたところ、いちばん多かった回答は「他者と知識を共有すること」(26%)。次いで、「収入を得ること」(23.8%)、「他者を楽しませること」(23.4%)であった。
コンテンツを制作する際の情報源について尋ねたところ、もっとも多かったのは「個人的な経験・体験」(58.1%)、次いで「自分自身のリサーチ」「そのテーマについて詳しい人へのインタビュー」(38.7%)。それに、「主要メディアではないオンラインのソース」(36.9%)、「主要なニュースメディア」(36.9%)、「フォロワーや友人からの情報提供」(29.5%)などが続く。一方、「政府など公式なソース」と回答した人は12.6%にとどまった。
フォロワーなどオーディエンスへの情報発信に関して、調査対象となったクリエイターの大多数(62%)は、各プラットフォームに投稿する前にファクトチェック(情報の正確性の確認)をしていないことを認めた。さらに約3分の1(33.5%)は、参照する情報源やその作成が信頼できるかどうかは「確認なしにコンテンツを共有する」と回答している。
これは、誤った情報が広まり、オーディエンスの間に混乱やパニックを引き起こす可能性があるため、危機の際には「とくに問題となりうる」と報告書は警鐘を鳴らしている。