Bリーグトップになるまでにしたことは? MIXI流、2年で10万人超伸ばしたプロスポーツチーム公式YouTube運営

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千葉ジェッツYouTubeチャンネル、具体的な運用体制は?

 紹介にあずかりました、沖浦です!YouTubeをはじめとしたMIXIの動画コンテンツのクリエイティブ責任者(総合演出)として運用に携わっています。まずは千葉ジェッツのYouTube運営における僕の役割などを紹介しながら、ほぼ1日1本のペースで動画を公開し続けているチャンネル運営の秘訣をお伝えします。

 現在MIXIのクリエイティブ集団は、7名のメンバーを中心に、千葉ジェッツ広報チームと連携しながら取り組んでいます。

 MIXIは、半数以上がテレビ業界出身者のメンバー。僕も地上波ゴールデンでのバラエティ番組で演出・ディレクターを経験したのち、今の仕事に就いています。ほかにもCMやMV、ブライダル、舞台など、多種多様なバックグラウンドを持ったメンバーが揃っており、企画の立案から撮影・編集・公開までを一気通貫で行い、年間約370本の動画コンテンツを公開しています。

 そして最大の特徴は、MIXIのメンバーに千葉ジェッツ専属のスタッフが不在ということ。その状態でどうやって運営するのだろうと疑問に思われるかもしれませんが、メンバーそれぞれに役割が与えられており、自分の役回りを中心に千葉ジェッツへのコミット具合を定める形で運営をしています。

 そのため僕の場合、「すべての企画・すべてのクリエイティブ」を監修し、「アウトプットまで責任を持つ」という「チャンネルの総合演出」の役回りのため、千葉ジェッツのYouTube運営を中心にほかの業務のウェイトは調整しています。

 このように比重は違えど、全員が別の業務を行いながら千葉ジェッツのYouTubeにコミットしているため、各メンバーのリソース確保は死活問題。そこで、採用している策が「コアメンバーによる方針会議」です。僕に加え、KPI運用責任者など計3名のコアメンバーで会議を実施し、数ヵ月先の戦略や各企画のメンバーへのアサイン、公開スケジュールの仮決めなどを行います。

 そして、その会議で決めた内容は定例会議にて全メンバーに共有し、しっかりと全員が同じ方向を向いた状態をつくるようにしています。具体的な企画案については、適宜分科会を設け、チーム全体でより良い企画を練ることができる環境づくりを実施。もちろん、仕掛けるタイミングがあればメンバーに千葉ジェッツへのフルコミットをお願いするときもごく稀にありますが、YouTube運営は短距離走ではなくマラソンを走っている感覚に近い。そのため、良い意味で無理をしない、「持続可能な運営」を第一に心がけることで、ファンに安定したコンテンツを届け続けるようにしています。

踏んでほしいステップをまとめた「千葉ジェッツYouTubeラダー」

 さて、そんな体制でコンテンツを公開している千葉ジェッツYouTubeチャンネル。折原も前述したように、「熱狂的なファンから今までバスケットボールに親しんでこなかった方まで全員、千葉ジェッツを好きになってもらって、会場に足を運び応援してみたい!」と思ってもらえる人をひとりでも増やすことが、運営のなによりの目的です。

 しかし動画コンテンツを少し観たからといって、いきなりネクストアクションが「よし!試合を観に行ってみよう!」とは、なかなかならないですよね。そこで、どのような段階を踏んでいけば、会場に足を運んでもらえる可能性が上がるのか?を考え、図に落とし込んだのが「千葉ジェッツYouTubeラダー」です。

 まず、視聴者を大きく4つに分類。図の左から右に向かって、より千葉ジェッツへの熱量が高い(エンゲージメントが高い)というラダーとなっています。

 それぞれの分類の下には「各カテゴリーに属する視聴者がどんな動画にもっとも惹かれるか」のイメージが掴みやすいようにその一例を記載していますが、このラダーにおいて、いちばん意識すべきポイントは何でしょうか。それは、「バランスのとれたコンテンツの配置」です。

 このラダーには「スポーツチームが制作可能なコンテンツの種類」が記載されています。千葉ジェッツを知らなかった視聴者がコラボをきっかけに千葉ジェッツと出会い、さまざまなミーム企画やバラエティ動画でより興味を持ち、チームのドキュメンタリーや試合映像を観ているうちに千葉ジェッツのことが好きになり「試合に足を運んでみようかなぁ」と考えてもらう。このラダーどおりにそんなふうに思えてもらえたらもっとも理想的ですが、好きになるきっかけは十人十色。もちろん具体的な数値を計る方法はありません。

 そのため我々運営チームができることといえば、「バランスのとれたコンテンツを配置すること」、つまり、「スポーツチームが制作可能なコンテンツの種類」をまんべんなく制作し公開することなのです。どの動画から観ても、視聴者の興味次第でほかの動画をディグできる(掘り当てることができる)。そんな、多種多様なコンテンツを用意しておくことを強く心がけています。