9月!秋の始まりですね。本名が「鴨志田道秋」なのでワクワクしてきました、書店員芸人・カモシダせぶん(@kamo_books)です。ただ、名前にまで「秋」と入っているのに、誕生日は7月と夏真っ盛り。なぜこんな名前にしたのか……。37年間ずっと疑問に思っています。
長い夏休みが終わり、2学期が始まる……。学生時代は9月に憂鬱なイメージを持っていた方も多いでしょう。今回はそんな多感な時期の心を取り戻す2冊。テーマはずばり「子ども心と初心を取り戻す」です!
ゲームとは違うポケモンの楽しみかたを 『ポケモン生態図鑑』
1冊目は発売当初、児童向けでありながらAmazonの全ジャンルで売上1位をたたきだしたこちら。『ポケモン生態図鑑』。

1996年ゲームボーイ専用ソフト『ポケットモンスター赤・緑』が発売されてもうすぐ30年。現在、ポケモンの数は今やなんと1,000種類以上にのぼります。このゲームにおいて重要な「ポケモン図鑑」では、同じピカチュウでも赤と緑では図鑑に書いてある内容が違いますし、新しいゲームシリーズの『ポケットモンスターソード』や『スカーレット』でも異なりますそれにより今まで発表されたポケモン図鑑は計7,000ページにも及びます。
本書は、そんな膨大なポケモン図鑑のデータをもとにポケモンの生態を描きおろしした1冊。ポケモンたちがジャングルや海の中などさまざまな場所で暮らしたり、特殊な食事や睡眠をしたり、大量発生したりする姿など見どころ満載で癒されます。
そもそも「ポケモン」は、「クリエイション×生き物」というジャンルのなかでもっともポピュラーだと言っても過言ではないと思います。
ピカチュウは「電気×ネズミ」で大ヒットしましたが、他にも同じジャンルでは「デデンネ」、「電気×可愛い」動物で言えばモモンガやウサギをモチーフにした「エモンガ」や「プラスル」もいます。岩石やバイクなどの無機物も生き生きとしたポケモンのキャラクターになっていますし、ナスカの地上絵をモチーフにしたポケモン「シンボラー」や、あの有名な昔話がもととなって誕生した「モモワロウ」なども存在します。一言でいえば、「ありとあらゆるものがポケモンになる可能性がある」のです。だからこそ何をキャラクターとして採用するか、のハードルは上がっているはずですし、実際にゲーム内で出会えたポケモンそれぞれには、物語が詰まっています。
この生態図鑑ではより“生きている感”を出すために、1種類ではなく、複数のポケモンが同じ場所で暮らしています。ポケモンのゲーム同様、リアリティを出すための工夫がこの本自体にも施されており、ゲームとは違うポケモンの楽しみかたができます。ゲームというアクティブな媒体だけでなく、書籍としても目で見て楽しむことができる。この生態図鑑そのものにも、作り手のオリジナリティが込められています。
現在ポケモンをプレーしている方はもちろん、最近離れていた方も、読み進めていけばキャラクター造形や掛け合わせによる創作のアイディアが生まれるのではないでしょうか。