ものづくりに向き合うための金言満載 『オタクのたのしい創作論』
2冊目は、最近マンガの『ひとりでしにたい』がNHKで連続ドラマ化され大好評だったカレー沢薫さんのエッセイ『オタクのたのしい創作論』。

この作品はイラスト投稿サイトのpixivで連載されていたこともあり、趣味で創作に取り組んでいる方や、創作を始めたばかりの方に向けたアドバイスが多く掲載されています。ですが長年創作活動をしてきた人にとって「初心」はとても大切なもの。この本はその初心を完全に思い出せてくれます。またそれだけでなく、ギャグの切れ味が鋭いカレー沢さんならではの独自理論もとても刺さりました。役に立つこと間違いなし。
とくにメンタリティ面での金言が多く、「読者から届く感想との向きあいかた」「若いころのような創作意欲が出ない」といった質問への回答もとても勉強になります。きっと現在最前線で活躍しているプロクリエイターの皆さんにも役立つのではないでしょうか。
カレー沢さんが以前から一貫して発信しているのは「売れている作家や自分に批判的な意見は即刻SNSミュート」ということ。潔いですよね。SNSには情報が溢れており、それによって心が疲れてしまう人も多い。少し罪悪感がある人もいるかもしれませんが、それぞれが自分に合った使いかたをするべきだなと改めて感じています。SNSでの感想などに振り回されてしまって苦しい方は、カレー沢さんのやりかたを真似してみるのも良いのではないでしょうか。
一般的な創作論と比べると、かなり正直かつ、モノづくりに向き合うための「精神性」が中心になっているエッセイだと思いますので、過去にさまざまな創作にまつわる本に触れてきた人にもオススメです。
創作を続けていくとアイディア以外に、納期や予算といったクリエイティブ以外のことで頭がいっぱいになってしまうこともあるでしょう。「今少し凝り固まっているかも……」と感じる方は「童心で向きあってみる」と、別の世界が見えてくるかもしれませんよ。