“発信”と“モノを売る”が近づくなかで note「ストア」機能活用のコツとその裏側にあるリテールの潮流

“発信”と“モノを売る”が近づくなかで note「ストア」機能活用のコツとその裏側にあるリテールの潮流
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2020/04/23 08:00

 記事内に商品情報を埋め込むことができる「note for shopping」を2018年9月にリリースしたnoteが、2020年の2月末に、ECとの連携を深める新たな機能をリリースした。クリエイターがECサイトで販売している商品を自分のnote上で一覧表示できる「ストア」機能だ。なぜnoteはECとの連携を強化しているのだろうか。リテールの現状や今後をふまえ、クリエイターの本拠地を目指すnoteの世界観について、リテール・フューチャリストであり、noteプロデューサーをつとめる最所あさみさんに話を聞いた。

noteがストア機能をリリースしたワケ

 ECサイトへの導線をスムーズにする「ストア」機能のリリースなど、ECやリテールへの取り組みを強化しているnote。その中心にいるのが、今回お話を伺った最所あさみさんだ。最所さんは新卒で百貨店に入社し、ベンチャー数社を経て、現在は「リテール・フューチャリスト」の肩書で活動するフリーランス。2019年にnoteプロデューサーに就任してからは、noteで発信するブランドやお店の数を増やし、noteの活用を支援していくミッションに取り組んでいる。

「noteは、ものを書くプラットフォームというイメージが強いですが、考えかたの根本は「あらゆるクリエイターの本拠地になりたい」ということ。そのなかで、お店やブランドをやってらっしゃる方々の利用も、もっと増やしていきたいと考えているんです。

たとえば、街の小さなケーキ屋さんやご飯屋さんがホームページを作るのはなかなか難しいとしても、とりあえずnoteのアカウントだけ持ってもらって、ときどき自分が思ったことや新しい商品のお知らせを書いたり、ほかのSNSサービスの情報を集約したりできるような場にしていきたい。そのためにどういう機能が必要なのかを考えながら活動しています」

リテール・フューチャリスト/note株式会社 noteプロデューサー最所あさみさん
リテール・フューチャリスト/note株式会社 noteプロデューサー最所あさみさん

 noteでは法人・個人・業態を問わず、発信する人をすべて「クリエイター」と呼んでいるが、そのなかでもECサイトでモノを売るクリエイターを支援するのが、2020年2月にリリースした「ストア」機能だ。この機能を利用すると、noteのプロフィールページに「ストア」タブができ、ECで販売する商品を一覧表示できるようになる。現在、STORES、minne byGMOペパボ、BASE、iichi、MUUU(※)など、5つのECプラットフォームに対応している。(※MUUUは一部クリエイターのみ対応)

 これまでも、記事内に商品情報を埋め込むことができる「note for shopping」の機能はあったが、「ストア」機能はさらに一歩進んで、ECサイトの存在を可視化させるのが目的だ。

「いままでの課題として、noteで発信していただいていることと、その人がECサイトをやっていることがつながらない、ぱっと見ただけではわかりづらいということがありました。とくに個人名で書いている場合だと、記事に宣伝色をあまり出したくないという方もいます。ストア機能は、noteで思いを発信することと、自分の思いをもとに作った商品を見てもらうことを、一気通貫にしたいという発想からできたものです」

noteストア機能の画面

noteストア機能の画面

 現状のストア機能はECで使われている並び順をそのまま読み込んでいるが、今後はnoteのストアページ独自の表示順に変更したり、イチ推し商品をピックアップしたりと、note上でより魅力的に商品を表示できるような“カイゼン”を目指している。

 こうしたnoteの取り組みの背景には、「発信することとモノを売ることの距離がますます近づいていく」という、リテール・フューチャリストとしての最所さんの見立てがある。インスタグラムやTikTokのコマース機能を使うブランドも徐々に増え、SNSでの発信がダイレクトにコマースにつながっていく時代。noteにおいても、発信とモノを売ることのスムーズな接続を考えていきたいという。

「noteで発信した先に、ものを作って売るという“出口”があるといいなと思っているんです。noteの記事は、書籍化、ドラマ化、新聞に載るなど、いろいろな形の出口があると思いますが、お店もその出口のひとつになってほしい。実際にnoteでうつわに関する発信をしていくなかで、自分の理想のうつわを作って販売することになった人もいましたし、趣味の知識を発信しているうちに、それが商品開発につながることもあるでしょう。発信することで自分の専門性がどんどん固まっていきますし、モノづくりの意欲が出ることも多いと思います。発信とリテールは別物と捉えられることが多いですが、自己表現という意味では根源は同じだと思っています」

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