ヤフーら3社、AI活用で指名手配被疑者の過去写真から今の姿を予測するプロジェクト「TEHAI」を公開

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2020/10/07 06:00

 ヤフー、電通デジタル、パーティーの3社は、警察庁から写真や情報提供などの協力を得たうえで、指名手配被疑者の情報提供の促進を目的に、AIを活用し、過去の写真から今の姿を予測するプロジェクト「TEHAI(てはい)」を始動。

 情報提供を呼びかける特設サイトを本年の指名手配被疑者捜査強化月間(2020年11月1日~11月30日/準備期間:10月1日~10月31日)に先立ち公開を開始した。プロジェクト実施期間は2020年9月30日(水)~12月31日(木)となる。

 同プロジェクトでは今回、2020年8月末日時点で約630名の指名手配被疑者の中で、警察庁指定重要指名手配被疑者12名のうち、5名の現在の姿をAIによって予測。指名手配被疑者の存在を認知してもらい、情報提供をしてもらうことで、指名手配被疑者の検挙の可能性を高めることを目指す。

 現在、警察庁指定重要指名手配被疑者は12名おり、手配されてから20年以上経過している者もいる。20年経過すると、老化や体型変化などによって人の外見的印象は変化してしまう。そこで、ヤフー、電通デジタル、PARTYの3社は警察庁の協力のもと、これまでの指名手配ポスターの掲示などに加え、AIを活用した予測の可能性に着目し、同プロジェクトを始動させた。また、3社の知見を集結させることで、より通報しやすい設計を実現している。

 TEHAIサイトでは、5名の指名手配被疑者の予測イメージを公開。被疑者の顔をクリックすると、AIによるシミュレーションと体型変化を加味し、被疑者ひとりにつき9パターンの予測イメージを閲覧できる。5名いずれも検挙に結びつく有力な情報を提供してくれた情報提供者に対して報奨金が用意されており、心当たりがある際にはすぐに情報提供ボタンから連絡できる仕組みとなっている。またヤフーでは、自社の広告枠を通じて同サイトの認知拡大を目指す。

情報提供方法

 各指名手配被疑者の画像をクリックすると、 担当する警察署の情報提供フォームに遷移し、 目撃情報などを通報することが可能。

同サイトで使用したAIについて

 AIを使って、大量の顔写真データから加齢に応じた特徴(シワの入り貝合、皮膚のたるみ方など)を抽出し、過去に撮影された被疑者の顔写真にその特徴を適用することで、現在の姿を予測。加齢変化を得意とするAI、老化前後のペア画像から特徴を抽出して変換するAIなど、AIが持つ特徴から複数のAIを採用し、被疑者ひとりあたり9つのパターンを公開し、予測の幅を設けている。

 いずれも数万枚の顔写真データセットから数万回の学習を実施し、十分な検証を実施。また、実際の被疑者での生成を行う前に、実在する人物の若い頃の写真を元に生成した写真と、その人物の現代の写真を比較することで「AIによる老化加工」の確かさを検証しているという。

同プロジェクトの各社の役割

  • ヤフー:広告枠・サーバーの提供、サイト実装を担当
  • 電通デジタル:企画・制作・アートディレクション・AI開発を担当
  • PARTY:クリエイティブディレクション・技術協カ・AI画像生成の一部を担当