モバイル市場データプラットフォームを提供するApp Annie Japan(アップアニー社)は、アプリ市場データプラットフォーム「App Annie Intelligence」のデータをもとに、スマートフォンアプリから振り返る2020年のトレンド・消費者動向をまとめた。
同レポートの概要は、次のとおり。
新型コロナウイルスによって変容した世界のアプリ市場
2020年の世界全体のアプリ総ダウンロード数は、iOSとGoogle Play合計して1,300億を突破する見込み。新型コロナウイルスの影響か、ダウンロード数は前年比10%増に。モバイルの利用が増えると同時に、アプリストアが各企業のマネタイズ源にもなっている。アプリストアでの消費支出は、2020年全体で1,120億ドルに達し、過去最高を更新する見込みとのこと。これは、前年比25%の成長と予測される。日本は、iOS、Google Play両プラットフォームにおいて、世界を牽引するマーケットのひとつになっているという。
非ゲームにおいてコロナ禍にともない伸長したアプリがランキングの主役に
非ゲームアプリダウンロード数ランキングTOP10
ダウンロード数の成長率ランキングでは、新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」が1位に。新型コロナ追跡アプリは日本のみならず世界各国でリリースされ、リリース以降連日ダウンロード数ランキングのトップを独占した。特に日本においては、国民の感染対策意識が比較的高いことなどが、政府が推進するアプリが1位となった要因のひとつであると考えられる。
また新型コロナウイルスの影響を受け、各企業がリモートワークを導入したことにより、「Zoom」といったビデオ会議アプリのダウンロードが激増し、2019年と比較して4倍近くに拡大。今年は「オンライン◯◯」が流行語大賞にノミネートされるなど、あらゆるものがオンライン化したが、そのなかでも特にビジネスにおける変化が大きいことがうかがえる。
ほかにも、外出自粛によるテイクアウトやフードデリバリーの需要増により「Uber Eats」などが伸長し、さまざまな業界におけるデジタルへの急速な移行が明確に見られる結果となっている。
⾮ゲームアプリ 消費支出ランキングTOP10
アプリにおける支出額のランキングでは、マンガアプリ「LINEマンガ」が首位を獲得。ほかにも「ピッコマ」、「マンガBANG!」がランクインし、TOP10のうち3つをマンガアプリが占める結果となった。背景としては、社会現象となっている『鬼滅の刃』が読めるマンガアプリであることや、巣ごもり需要に合わせて各サービスがコンテンツ無料開放などキャンペーンを行ったことが大きく起因している。マンガアプリはコロナ禍でも順調にダウンロード数を伸ばし、巣ごもり需要のピークを迎えた2020年3月には、70%増の約372万ダウンロードを記録した。
マンガアプリと合わせて、ステイホーム期間中の余暇時間を埋めるためのスマホアプリコンテンツでは、「Abema TV」といったサブスクリプションの動画ストリーミングサービスに加えて、「Youtube」、「17 Live」といったようなユーザー生成コンテンツであるライブ配信アプリの台頭が目立った。
ライブ配信アプリは、順調にユーザー基盤を拡大。また、ライブ配信アプリにおいては、投げ銭と呼ばれる、視聴者がライバー(コンテンツ生成側)に感謝や応援の意味を込めてお金に換金できるようなアイテムを送ることができ、その影響もあり、ライブ配信アプリの消費支出(収益)も増加。消費支出額は、約3,300万米ドル(2020年8月時点)を記録している。
ゲームはカジュアルゲームが台頭。あつ森、ドラゴンクエストやディズニーといった新規タイトルが対抗
ゲームアプリランキングTOP10 ダウンロード数
全体としてカジュアルゲームの台頭が目立つ。「トゥーンブラスト」、「Gardenscape」といったようなパズルゲームが首位を獲得している。さらに、Nintendo Switchでも好調な「あつまれどうぶつの森」のアプリ版である「どうぶつの森 ポケットキャンプ」が2位にランクインし、モバイルゲームがこの2〜3年でゲームデバイスの主流になってきている事実を色濃く反映している。「ドラゴンクエストタクト」、「ディズニー ツイステッドワンダーランド」といったような今年リリースされた新規タイトルも多数、頭角を現している。
また、2020年上半期に50億ダウンロードを記録している世界的に人気な「ハイパーカジュアルゲーム」(直感的にプレイできるゲーム)と呼ばれるジャンルのゲームが日本においても主流に。6位にランクインしたフランスゲーム企業Voodoo 社の「全部押そう」、7位にランクインした「Brain Out」は、世界で2020年上半期のダウンロード数がもっとも多いハイパーカジュアルゲームだった。
ゲームアプリランキングTOP10 消費支出
ゲームの消費支出においては、日本のパブリッシャーが優勢な状況が続く。コロナ禍でも、「ドラゴンクエストウォーク」、「プリンセスコネクト︕Re:Dive」といったコアゲームのなかでもRPGに分類されるゲームが昨年と比較して順位を上げる結果となった。
非ゲームアプリ 月間アクティブユーザー数 ランキングTOP10
上位5つのアプリについては昨年と大きく変動がないものの、6位にランクインした「あんさんぶるスターズ︕Music」10位にランクインした「Call of Duty」など特に海外勢の躍進が目立つ。