大日本印刷(DNP)は、名画などのアート画像を個人クリエイターなどが安全・安心に創作に利用するために、ブロックチェーン技術を活用した画像ライセンス(利用許諾)販売を行うビジネスモデルの構築を目指し、実証実験を開始した。
同実験を通して、著作権者や所有者の許諾を得るといったライセンス処理の負荷を軽減することが、個人クリエイターなどの利便性向上に有効かどうかなどを検証する。
オリジナルのアート作品など(一次創作物)を構成要素とした「二次創作物」、クリエイター間のさらなる連鎖による「n次創作物」が世界的に広がっている。このn次創作物による顕在的な市場が国内で年間約1兆2千億円といわれている一方、ライセンス処理ができないためn次創作物が販売できない潜在的な市場が年間約1兆4千億円規模になると推測されている(経済産業省の令和元年度 知的財産権ワーキング・グループ等侵害対策強化事業 n次創作活動に関する調査)。
こうした状況に対して、同社はブロックチェーン技術を活用したライセンス販売を行い、安全・安心なn次創作の活動を支えて、潜在的・顕在的ともにコンテンツ関連市場の活性化に努めていく。その具体化に向けて、実証実験を第1弾・第2弾に分けて実施。同社は今回の取り組みを通じて、今後増えていくと見込まれる個人クリエイターなどとアートの著作権者や所有者とをつなげることで、n次創作市場の実現に貢献していく考え。
ブロックチェーン技術によるアート画像ライセンス販売に向けた実証実験の概要
- 第1弾:2021年12月6日~2022年1月31日(予定)
株式会社クリーマが運営するハンドメイドマーケットプレイス「Creema(クリーマ)」にて、登録している個人クリエイターなどによるフランス国立美術館連合(RMN -Grand Palais)が保有し、DNPアートコミュニケーションズが提供するアート画像を使った創作作品のテスト販売を開始した。Creemaに登録している人気クリエイターのニーズをヒアリングし、購入者が希望する価格条件や作品ジャンルの需要、サイト利用条件などを調査する。
- 第2弾:2022年春ごろ~(実施期間調整中)
同社は、実証実験サイト「イメージアーカイブ・ラボ(Image Archives Lab)」を新たに立ち上げて、個人クリエイターなどがn次創作で活用できるようにブロックチェーン技術を実装し、アート画像のライセンス販売を行う。
今後の展開
同社は、今回の実証実験の成果を踏まえ、イメージアーカイブ・ラボの取り組みを通じて、多くの個人クリエイターなどがアートをより身近に感じてn次創作を活発に行い、適切にライセンス処理がなされたn次創作物の販売ができるような“ホワイトマーケット”の醸成を図る。
また、3D(三次元)CGなどを活用した仮想空間など、使用シーンの拡張を見据えてコンテンツジャンルの拡充を行い、より多様なクリエイターに向けて同サービスを提供し、2025年度に年間約5億円の売上を目指すとのこと。