グッドパッチと北海道上川町、デザインによるまちづくりなどに向けた「未来共創パートナーシップ協定」締結

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2023/08/25 13:00

 グッドパッチと北海道上川郡上川町は、「未来共創パートナーシップ協定」を締結した。

 本協定は、デザインファームであるグッドパッチのデザイン視点や知見と、上川町が持つ豊富な資源を活かし、新たなまちづくりの実現と地域課題の解決を目指した包括連携提携。あわせて、上川町のコミュニティを活用した企業向け人材開発型ワーケーション事業を開始する。

協定締結の概要

 北海道は人口減少や高齢化など社会課題の先進地域。なかでも上川町は最盛期の人口から80%減少するなど深刻化している。近年、上川町では官民の垣根を越えた独自のパートナーシップの取り組みを進め、この大きな課題の解決に向けて取り組んでいる。

 グッドパッチでも、自治体職員やまちづくりに関わる町民へのデザイン思考ワークショップを2022年6月に実施したことを皮切りに、実際に社員が移住し、町民へのデザインリサーチを実施するなど、上川町が抱える地域課題の解決に向けた施策を行ってきた。

 今回、両者での共同事業の発足など、デザインの力を生かしたまちづくりの取り組みを加速させるべく、包括連携協定の締結へと至った。

本協定におけるおもな連携項目

「循環型の地域づくり」をキーワードに、次の3つの力を最大限活用し、地域内外での社会実装などを推進する。

  • (1)デザインの力:デザインの力を活用した地域内外に向けたサービスの創出や高付加価値化
  • (2)デジタルの力:デジタルの力を活用した地域内ベーシックインフラサービスの維持改善
  • (3)コミュニティの力:コミュニティの力を活用した誰もが輝ける地域社会の実現

上川町の地域課題をテーマとしたワーケーション事業を開始

 グッドパッチと上川町による第1弾の共創の取り組みとして、上川町のコミュニティを活用した人材開発型ワーケーション事業を開始する。

 このワーケーションでは、上川町に複数日滞在し、地域課題の解決にあたる町民の話を聞き、仕事を実体験する「弟子入り」型の研修プログラムを通じて、自律型人材に必要な「アントレプレナーシップ」を養う。

 受講者は地場酒造の社長や保全型林業に取り組む住民など、町民との交流を通じて地域課題に直接触れながら、上川町の未来を作るべく機会を追求する姿勢を体感する。町民の考えかただけでなく生きかたも含めてインプットした体験をもとに、グッドパッチのデザイナーとの対話やワークを通して、自分たちの働く意味や目標を再確認し、自らの意志に準じてビジネスに取り組む人材への成長を促進していくプログラム。

施策の背景

ビジネス環境が複雑さを増す中、自ら課題を設定し、新たな価値を創出することで課題解決をしていく行動力を持つ人材が強く求められている。一方、従来の企業研修では起業家に直接触れることは難しく、学びの機会は限られているのが現状である。

グッドパッチでは、移住したデザイナーによる上川町民への6ヵ月間のリサーチを通じて、新しい文化や変化を受け入れる風土、そして自らの意志に準じて生活し、事業を生み出すリーダーが多いことに着目し、「ビジネスパーソンの学びの場」としてデザインした。

上川町としても、幅広い世代の町民が関係人口の創出に向けた関係構築を持つ機会を得ることで、地域資源を生かしたさらなるサービスの創出の実現に向けた対話の機会としても期待できるとの考え。

本ワーケーション事業の開始に先立ち、丸井グループの企業研修を2023年8月上旬に4泊5日にて実施しており、今秋以降も同社の研修プログラムを継続する予定。

佐藤芳治 上川町長 コメント

グッドパッチ様と未来共創パートナーシップを締結できましたことを大変嬉しく、非常に心強く感じているところでございます。

上川町は、「世界に誇る山岳リゾートタウン」の実現を目標に、将来にわたって町民や関わる方々が豊かであるためのまちづくりのため、行政サービスの最適化に取り組んでいるところでございます。

今回UX/UIを強みとしたデザインの分野において、豊富なノウハウをお持ちであるグッドパッチ様との連携により、上川町の資源やユニーク性を強く意識した事業やサービスのデザインから情報発信、また、行政運営におけるUX向上などの展開ができることに期待しております。これから一緒にグッドパッチ様と町のミライをデザインしていきたいと思います。

土屋尚史 グッドパッチ代表取締役社長兼CEO コメント

上川町は人口減少の課題先進地域でありながら、道内外の企業と協力して新たな事業を生み出し続ける点など、行政が最先端の取り組みを行う自治体です。グッドパッチとしても共創のパートナーになれることをうれしく思っています。

私自身、プロジェクトを通じて上川町を訪れる中で、豊富な観光資源や熱量ある町民の皆さんなど、地域課題の解決に必要なエネルギーがある場所だと実感しました。インフラの整備から町が持つ魅力の再定義まで、デザインが貢献できる領域は枚挙に暇がありません。

今回発表した人材開発型ワーケーション事業を始め、今後もデザインの力を表現できるような行政施策や事業創出を支援し、上川町独自のまちづくりの実現に貢献していきます。