- アドビのクリエイティブな生成AI「Adobe Firefly」が、ベータ版の提供を経て商用利用が可能に
- Adobe Firefly web版が利用可能に。Adobe Fireflyは、Adobe Photoshop、Adobe Illustrator、Adobe ExpressなどのAdobe Creative Cloudにネイティブ統合
- Adobe Creative Cloud、Adobe Express のプレミアムプラン、Adobe Fireflyに生成クレジットを導入
- 新しいAdobe Firefly web版とAdobe Express のプレミアムプランがAdobe Creative Cloudに追加
- Adobe Fireflyエンタープライズ版には、ブランド独自のAdobe Fireflyモデル、Adobe Expressエンタープライズ版、Adobe GenStudioを含む
アドビは、AIによるクリエイティブな表現を、自由に探求するための新たなウェブアプリとしてAdobe Firefly web版を発表した。約6ヵ月間のベータ版の提供を経て、Adobe Fireflyの機能は、Adobe Creative Cloud、Adobe Express、Adobe Experience Cloudの新たなワークフローに深く統合され、商用利用が可能となった。
Adobe Fireflyは、画像生成、テキスト効果、ベクター用の生成AIモデルを基盤としており、日本語を含む100以上の言語のテキストプロンプトをサポートし、商用利用として安全性を考慮したコンテンツを、世界中のユーザーが生成できるように設計されている。
また、Adobe Photoshopの「生成塗りつぶし」と「生成拡張」、Adobe Illustratorの「生成再配色」、Adobe Expressの「テキストから画像生成」や「テキスト効果」などのAdobe Firefly搭載機能もベータ版を終了し、Adobe Creative Cloudにネイティブ統合される。これらの統合は、これまで以上にクリエイティブの力をユーザーに提供し、新しい方法で、試行錯誤したり、アイディアを具現化し、クリエイティブな活動を行うことを可能にする。今後もアドビは、写真、デザイン、ビデオ、3Dなど、より多くのAdobe Creative Cloud製品やワークフローにAdobe Firefly機能を搭載していく。
アドビのデジタルメディア事業部門代表 デイビッド ワドワーニ(David Wadhwani)氏は、次のように述べている。「Adobe Fireflyで生成されたアセットは20億点以上におよび、生成AIはあらゆるセグメントの顧客にクリエイティブな表現の新時代を切り開こうとしています。Adobe Fireflyの驚愕的な機能と、Adobe Creative Cloud、Adobe Express、Adobe Firefly web版、Adobe Experience Cloudの豊富なツールを組み合わせることで、ユーザーは生成AIを活用した新しく豊かで生産的な方法で、比類のない機会を得ることができます。」
なお、Adobe Creative Cloudのコンプリートプランおよび一部の単体プランには、Adobe Firefly web版とAdobe Expressのプレミアムプラン(有料)が含まれる。
また、今回Adobe Expressエンタープライズ版を含むAdobe Fireflyエンタープライズ版も一般提供開始となり、画期的な生成AI機能が追加される。アドビはユーザーと協力し、企業独自のアセットを使用して生成AIモデルをカスタマイズし、コンテンツの生成を可能とするよう取り組んでいる。また、Adobe Firefly APIにもアクセスできるようになることで、自社のエコシステムに生成AIのパワーを組み込み、ワークフローを強化することができる。Adobe Fireflyエンタープライズ版では、Adobe Fireflyの生成AI機能に対する補償の機会も提供する。
Adobe Fireflyエンタープライズ版の一般提供開始により、Adobe GenStudio(Adobe GenStudio)とAdobe Expressエンタープライズ版に画期的な生成AI機能がもたらされる。さらに、アドビはユーザーと協力し、自社のアセットやブランド固有のコンテンツを使用して生成AIモデルをカスタマイズできるようにしている。ユーザーはAdobe Firefly APIにもアクセスできるようになり、独自のエコシステムや自動化ワークフローにAdobe Fireflyを組み込むことができる。Adobe Fireflyエンタープライズ版は、ほとんどのAdobe Fireflyを利用したワークフローで生成されたコンテンツの知的財産(IP)補償を得る機会を企業に提供する。
アクセンチュア、IHG Hotels&Resorts、Mattel、NASCAR、NVIDIA、ServiceNow、Omnicomなどのトップグローバル企業はすでにアドビと協力して、Adobe Fireflyが効率化、コスト削減、コンテンツサプライチェーンの加速にどのように役立つかを検証している。
生成クレジットの導入
アドビは、Adobe Fireflyによる新しい画像生成ワークフローを採用したすべての製品に生成AIの新しいクレジットベースモデルを導入。Adobe Firefly、Adobe Expressのプレミアムプラン、Adobe Creative Cloudの有料プランが対象に含まれる。生成クレジットとは、テキストベースのプロンプト入力により、Adobe Photoshop、Adobe Illustrator、Adobe Express、Adobe Firefly上で画像やベクター作品を生成するためのクレジット。プランごとに定められた生成クレジットの利用上限に達した場合でも、処理速度が低下した状態で画像やテキスト効果の生成をし続けるか、あるいは生成クレジット サブスクリプションパックを追加することで、継続してAdobe Fireflyの機能を快適に使用することができる。2023年11月以降、アドビはユーザーが追加の生成クレジットを購入できるようにする予定。
Adobe Creative Cloud、Adobe Express、Adobe Fireflyの無料版のユーザーにも、毎月生成クレジットが付与される。各プランの月ごとの上限に達した場合、ユーザーは有料プラン(月額680円)にアップグレードしAdobe Firefly機能を使ったアセット作成を継続するか、あるいは翌月にクレジットがリセットされるまで待つか選択することができる。
生成AIで作成したコンテンツの信頼性と透明性
Adobe Fireflyは複数のモデルで構成されており、さまざまなスキルセットや技術的背景を持つ、多様なユースケースに対応できるように構成されている。Adobe Fireflyの初代モデルは、Adobe Stockの画像、一般に公開されているライセンスコンテンツ、著作権が失効しているパブリックドメインコンテンツでトレーニングされており、画像とテキスト効果に焦点を当て商用利用の際も安全性を考慮したコンテンツを生成するように設計されている。
今後のAdobe Fireflyモデルでは、アドビやその他の企業が提供するさまざまなアセット、テクノロジー、トレーニングデータを活用する予定。ほかのモデルが実装される場合でも、アドビは潜在的に望ましくないバイアスに対し、優先的に対処していく。
また、Adobe Fireflyで生成したコンテンツにはコンテンツクレデンシャル機能が含まれている。コンテンツクレデンシャル機能は、コンテンツの名前、日付、作成に使われたツールなどの情報、および加えられた編集の内容を示し、デジタルコンテンツの「成分表示ラベル」の役割を果たす。コンテンツクレデンシャル機能にはコンテンツ認証イニシアチブ(CAI)が提供する無料のオープンソース技術が搭載されており、コンテンツの使用、公開、保存といったすべての局面においてコンテンツとの関連付けが維持されるように設計されている。コンテンツの帰属先を確認できるようにすることで、消費者がデジタルコンテンツについて十分な情報を得たうえで意思決定できるよう支援する。
新ソリューション「Adobe GenStudio」
生成AIの活用によりコンテンツの企画から制作、配信までのすべてを統合し、企業のコンテンツサプライチェーンを変革する新ソリューション、Adobe GenStudioを発表した。本ソリューションは、あらゆる企業向けの包括的な統合ソリューションであり、生成AI機能とインテリジェントな自動化によって、コンテンツ制作プロセスの強化および簡素化を可能にする。
顧客中心のAIアプローチ
アドビは、あらゆる規模の個人や企業にとって信頼できるパートナーとして、顧客中心のアプローチでAI機能を開発、導入している。また、アドビのAI倫理原則にのっとり、商用利用にも安全に使用できるようAdobe Fireflyの設計、開発を行っており、コンテンツとデータの信頼性と透明性を確保している。また、Adobe Fireflyエンタープライズ版では、ほとんどのAdobe Firefly搭載ワークフローによって生成されたコンテンツについて、企業がアドビの知的財産(IP)補償を受けられる機会を提供します。Adobe Fireflyで生成されたコンテンツクレデンシャル機能が自動的に含まれているため、Adobe Fireflyを使用して生成されたすべてのアセットでコンテンツの帰属情報が確認できる。