東京大学は、ソニーグループ(以下、ソニー)と協力し、東京大学 大学院情報学環(以下、大学院情報学環)に「越境的未来共創社会連携講座」(通称:Creative Futurists Initiative)を設置し、協働を開始した。
同講座は、社会課題に向けた批評分析的アプローチと、アート・デザイン・工学を通じて未来に向けた問題提起・課題解決を行う創造的アプローチを結合し、両立させる人材をCreative Futurist(クリエイティブ・フューチャリスト)と呼び、その育成と学際的実践研究の推進を目的とするもの。
情報学に関わる文理融合の研究・教育を推進し、アートやデザインなど表現領域の実践にも力を入れる大学院情報学環を中心とする東京大学と、多様な事業や技術に対する知見を有するソニーが連携し、同講座を通じて、学生と技術者やビジネスパーソン、クリエイターなどの有識者が共同で、社会課題、技術、およびアートのアプローチを複合的に取り入れた創造プロセスや思考法の習得、さらに未来に向けた創造的提案の実践機会を提供する。
具体的には、社会課題の詳細な観察や内発的動機から根本の本質を捉えなおす「(1)学際的・批評的視点による問いの抽出」、および新たな問いを解決する手段として先端的メディア技術を駆使した「(2)創造的視点による提案実装」を軸とし、さらに「(3)専門性を超えたコラボレーションを通した越境的・集合的思考に基づく創造活動」に向けた共同研究、教育および国際連携展開に取り組むという。
おもなプログラムは次のとおり。
レクチャーシリーズ
東京大学の担当教授が講師を務め、主に本学学生とソニーの社員を対象にした講義を企画・実施。外部のクリエイターやアーティスト、国際研究機関などを招致し、サステナビリティやイノベーション、アートシンキングなど多様な視点から、現代社会に対する課題提起やその解決に取り組むための思考法を学ぶ機会を提供する(講義は一部を一般公開予定)。
ワークショップ
同講座を通じて思考法や創造プロセスをより深く習得するため、参加者が少人数のグループに分かれて、越境的未来共創について直接議論をするワークショッププログラムを提供する。
実践プロジェクト
同学学生とソニーの社員がプロジェクトグループを組織し、より実践的な研究プロジェクトに取り組む機会を提供。具体的には、ジェンダーや障がいなどのバイアスや、サステナビリティなどの課題をテクノロジーで解決する研究活動や、越境的共創のための方法論に関する調査・研究などを推進する。また、NPO/NGOセクターとの協働機会や海外の大学・アート機関との連携も視野に入れ、フィールドワークや国際的な活動に力を入れる。
対外的には、シンポジウム・展示・研究発表会などの機会を設け、国内外に向けて広くその成果を公開する予定。