Metaは、Meta Questデバイスのオペレーティングシステム「Meta Horizon OS」をサードパーティのハードウェアメーカーに開放することで、利用者にはより多くの選択肢を、開発者にはより大きなエコシステムを提供する。また、この新しいエコシステムの実現に向けて世界のテクノロジー企業と協力し、開発者がより容易にアプリを開発し、プラットフォーム上で利用者に提供できるようにする。
Meta Horizon OSの発表
新たなハードウェアのエコシステムは、Meta Questのヘッドセットを駆動するMeta Horizon OS上に実装される。同OSには、複合現実体験の原動力であるコアテクノロジーと、ソーシャルプレゼンスをプラットフォームの中心に据えるための一連の機能が備わっている。
Meta Horizon OSは、次世代コンピューティング・プラットフォームを構築するためにMetaが取り組んできた10年にわたる研究の成果。同社はインサイドアウト方式のトラッキングなどの技術を開発し、より自然なインタラクション方法とソーシャルプレゼンスを可能にするために、目、顔、手と体のトラッキングを開発した。複合現実については、高解像度のパススルー、シーン認識、空間アンカーなど、デジタルと現実世界を融合させるため複数の分野の技術を構築した。Android オープンソース プロジェクトというモバイル向けの基盤から始まった長期的な投資は、何百万人もの人々が使用する完全な複合現実オペレーティングシステムをもたらした。
開発者やクリエイターは、Metaが複合現実体験を実現するために構築した独自のフレームワークやツールを使って、これらのすべての技術を活用することができるようになる。そして、OSに組み込まれたコンテンツのおすすめ表示や収益化プラットフォームを通じて、利用者にリーチしコンテンツを収益化することも可能。これには、世界最高の没入型アプリや体験のライブラリであるMeta Quest ストアが含まれ、今回の変更にともない、「Meta Questストア」、「Meta Horizonストア」に名称を変更する。
現在Meta Questデバイスに搭載されているHorizonのソーシャルレイヤーは、この新しいエコシステム全体に拡張される。これにより複数の仮想空間で、人々のアイデンティティやアバター、友人のグループを移動できるようになり、開発者は充実したソーシャル機能をアプリに統合できるようになる。また、このソーシャルレイヤーは複数のプラットフォームの橋渡しができるように構築されているため、人々は複合現実、モバイルやデスクトップデバイスにまたがって存在する仮想世界で一緒に時間を過ごすことができる。Meta Horizon OSのデバイスには、現在Meta Quest利用者が使用しているのと同じ連携モバイルアプリが使用されることになる。なお、これについても「Meta Horizonアプリ」に名称を変更する。
新世代のハードウェア
複合現実市場の成長と、ゲーム、エンターテインメント、フィットネス、生産性、ソーシャルプレゼンスといったユースケースの人気の高まりは、特化型のハードウェアに新たな機会を生み出している。パソコンやスマートフォン業界に見られるように、汎用的なコンピューティングデバイスとより特化型の製品の両方を生産し、すべてが共通のプラットフォーム上で動作する幅広いハードウェアのエコシステムによって、利用者は最高のサービスを受けることができる。
世界のテクノロジー企業は、すでにMeta Horizon OSを搭載した新しいデバイスに取り組んでいる。
- ASUSのRepublic of Gamersは、ゲーミングソリューション分野を牽引している専門知識を活かして、新しい性能のゲーミングヘッドセットを開発する。
- レノボは、Oculus Rift Sを共同デザインした経験や、ThinkPadノートパソコンシリーズのような主要なデバイスのエンジニアリングにおける深い専門知識を活かし、生産性や学習、エンターテインメントのための複合現実デバイスを開発する。
- XboxとMetaの連携により、昨年Meta QuestにおいてXbox Cloud Gaming(Beta)をローンチし、複合現実空間のなか、2Dの巨大なバーチャルスクリーンでXboxのゲームをプレイできるようになった。そして現在は、Xboxにヒントを得た限定版のMeta Questに共同で取り組んでいる。
これらのデバイスはすべて、Metaのソフトウェアおよびハードウェアスタックと深く統合されているSnapdragon プロセッサを製造するQualcomm Technologies社との長期的な協力関係による恩恵を得ることができる。 Qualcomm Technologies社の最新のSnapdragon XR2 Gen 2は、Meta Quest 3とともに発売され、複合現実の可能性の限界を押し広げる画期的なパフォーマンスを実現している。この新しいエコシステム向けにハードウェアを製造する企業も、これらのチップセットと独自のソフトウェアの拡張機能を利用できるようになる。
さらにオープンなアプリのエコシステム
また、Metaはアプリ開発者に対して、よりオープンなアプリストアを提供し、開発者がプラットフォーム上でソフトウェアを配信できるようにする。Metaは「Meta Horizonストア」と基本的な技術的要件とコンテンツ要件を満たす開発者であれば誰でもプラットフォーム上でソフトウェアを配信できる「App Lab」との間の垣根を取り除くことに着手。App Labのタイトルは、間もなくMetaの全デバイスのストアの専用セクションで紹介されるようになり、より多くの利用者の目に触れるようになる。
またMetaは、モバイル開発者の複合現実体験の開発をサポートする、新しい空間アプリのフレームワークも開発している。開発者は、既に使い慣れたツールを使ってモバイルアプリをMeta Horizon OSに対応させたり、新しい複合現実アプリを開発したりすることができる。
よりオープンなアプリストアにするとともに、Meta Horizon OSはアプリへのアクセスをより幅広い方法で可能にする。Metaは利用者に対して自社アプリストアのタイトルに限定していないため、Xbox Cloud Gaming Ultimateのような人気のゲームストリーミングサービスや、Steam Link、PCソフトをヘッドセットにワイヤレスでストリーミングするAir Linkシステムなど、さまざまな方法で豊富なMeta Horizon OSのコンテンツにアクセスすることができる。そして、Google Playの2Dアプリストアについても、ほかのプラットフォームと同じようなビジネスモデルで運営できるMeta Horizon OSへ参加してほしいと考えている。