デジタルコミュニケーション学部(4年制大学)とデジタルコンテンツ研究科(専門職大学院)を設置するデジタルハリウッド大学では、学発ベンチャーの支援を行っている。今回同校は、創業支援を行ったToposWareが資金調達を完了したことを発表した。
同社は、同校大学院の修了生であるゴーチエ・テオ・ケビン氏とタリック・ジャワド氏によって創業。両名は、同校の留学生としてデジタルコミュニケーション学部に入学し、数学理論とプログラミングを駆使したゲーム開発を行って卒業した後、デジタルコンテンツ研究科へ進学。三淵啓自教授(担当:コンテンツ情報処理ラボ)をはじめとする教員の指導を受けながら、修了課題制作としてブロックチェーン活用に関しての研究と開発をしてきた。
その過程で、現状のブロックチェーンの問題点なども浮き彫りになり、それらを解決するべく新しいブロックチェーン・プラットフォーム開発のため、起業に至ったという。
同社は、高度なデータセキュリティを求める行政機関や企業、個人に向けて、プライバシー・ブロックチェーンを開発。同社のソリューションは、暗号資産の決済はもちろん文字列やファイルなどの多様なデータを対象に、高度な秘匿性と改ざん耐性を実現する。「ゼロ知識証明」という、ある知識を送信せずにその知識を保有していることを証明する暗号論的手法も活用。プロトコルレベルでの開発により、マシンパワーや電力を使わないローコストブロックチェーンのプロトコルを開発に成功し、太陽電池とマイコン上で運用ができることを実証している。
両名の修了後も、同校の設置会社であるデジタルハリウッド株式会社のインキュベーション機関「D ROCKETS」が出資および創業支援を継続。マネックスグループの松本大社長やミクシィの笠原健治会長をはじめとしたエンジェル投資家、デジタルハリウッド株式会社をはじめとした事業会社を引受先とした第三者割当増資を実施し、4月30日までに1億9,700万円のシードラウンドの資金調達を完了した。これにより、ゼロ知識証明を利用したブロックチェーンの提供と、データプライバシーを求める企業との実証実験を2020年内に進めるとのこと。