制作だけではない 顧客が動画クリエイターに期待していることとは

制作だけではない 顧客が動画クリエイターに期待していることとは
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 本連載では、「動画マーケティング」や「動画制作」をテーマに、動画活用一筋18年のサムシングファン代表取締役・薮本直樹さんが解説します。第3回は、「発注側が動画クリエイターに期待する要素」がテーマです。

 皆さんこんにちは。前回は、これまでは、動画の3Hの中でクリエイターが制作する動画といえば、広告やCMに代表されるHEROが中心だったが、今後はオンライン・オフライン両方を強化する「ハイブリッドコミュニケーション」が企業に広まり、HUB動画やHELP動画が動画コンテンツのメインになっていくのではないか、というお話をしました。

 ではその中で、動画クリエイターや動画制作会社は、どのような要素を兼ね備える必要があるのでしょうか。発注する企業側はなにを求めているのでしょうか。今回はそのポイントについて解説していきたいと思います。

動画活用の知識が差別化のポイント

 いまますます重要になってきているのは、「動画を作る」だけでなく、それとあわせて「動画を使う」ための提案や知見です。これをサムシングファンでは「動画活用知見」と呼んでいます。

 どのような職種でも変化への対応が必要ですが、とくに動画制作は環境の変化がほかの仕事よりも早く、そして広いことがひとつの特徴です。顧客もその変化を十分に感じており、「どのようなクリエイティブを作るのか?」とあわせて「そもそもどの媒体でどのように動画を使えばいいのか?」と悩んでいる方が多いように思います。

 初回の記事で、動画を視聴できる、動画を配信できるメディアやサービスが劇的に増えたことに触れました。現在需要が増えているライブ配信サービスでも、従来のYouTube LIVE、VimeoLIVE以外にもEQなどのエンタープライズサービス、ZoomやAirmeetなどのウェビナーツールを活用した配信など、環境面だけみてもさまざまな選択肢があります。

Airmeetはステージ講演とラウンジテーブルと呼ばれる交流スペースの両方をオンライン上で実現できる。
Airmeetはステージ講演とラウンジテーブルと呼ばれる交流スペースの両方をオンライン上で実現できる。

 サムシングファンでは顧客の実現したい動画活用についてヒアリングするだけではなく、まずは課題を言語化し、その解決のための演出を提案する中で、実現にもっとも適したメディアやサービスの選定も行っています。それは、クリエイティブワークの前にコンサルティングワークが動画活用提案にも必要となってきていると感じるからです。

 その知見を得るためには、各プラットフォームに精通するより前に、新しいサービスがでてきたらまずは一度配信してみる。そしてどのような機材だと認識するかを確認するなど、積極的なトライアンドエラーが重要です。

 それぞれを試し、自分がどんな手法が得意なのかを見極めたあとは、さらにその技術を磨いていくことも必要かもしれません。

 例としてライブ配信をとりあげましたが、オンデマンド配信のための動画制作でも同様です。その動画が制作されたあとどのような使いかたをされるのかを知ったうえで提案することが、クリエイティブにも大きな影響を与えるのです。

 それはなぜか。私は、企業側(発注側)の動画に期待するものが変化してきたからだと考えています。

 従来の動画コンテンツは、活用する場所がほぼ決まっていました。広告だとTV、販促だと展示会やウェブサイト、教育や研修では集合研修での利用など、活用場所がイメージできるために顧客の関心は動画クリエイティブそのものでした。

 コンテンツ活用には、「あなた」「わたし」「コンテンツ」「メディア」「文脈」という5つの要素があると言われています。

 伝えたいことを持っている「あなた」に対し、「わたし」は伝える相手が誰で、どのようなコミュニケーションを望んでいるかを考えます。そのなかで「コンテンツ」は、その伝えたいことを伝えるための表現です。

 しかし重要なのはそのつぎのふたつ、「メディア」と「文脈」です。どの場所で、どのようなタイミングで、動画を活用したコミュニケーションをとるのか。「メディア」と「文脈」がとくに多様化しているため、広くアプローチすることが重要になっているのです。

出典:研究広報誌『アド・スタディーズ』Vol.28 Spring 2009「経営戦略とコーポレート・コミュニケーション―コミュニケーションが戦略を創り、戦略がコミュニケーションを繋ぐ―」

出典:研究広報誌『アド・スタディーズ』Vol.28 Spring 2009「経営戦略とコーポレート・コミュニケーション―コミュニケーションが戦略を創り、戦略がコミュニケーションを繋ぐ―」

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