こんにちは。リッチコンテンツカンパニー・カクテルメイク株式会社の毛利です。弊社では、最短1分で動画広告がつくれる「RICHKA(リチカ)」というサービスを運営しています。
この連載のテーマは、「動画広告」のクリエイティブを制作する際のポイントについて。「動画広告のクリエイティブを依頼されるケースが増えてきたものの不安がある」、「以前、制作したクリエイティブで効果がでなかった」といった、動画広告のアレルギーを解消していきます。初回は「動画広告を始める前におさえておきたいポイント」についてです。
動画広告が伸びている3つの理由
動画広告は、スマホの普及とともに急速に市場が大きくなっています。サイバーエージェントが公表した「動画広告市場推計・予測」では、2019年の動画広告市場は、昨年対比141%の2,592億円に、そして2023年には5,065億円に達すると予測されており、広告市場のなかでもっとも伸びていることがわかります。
数年前まで動画広告といえば、一部の企業が取り組んでいるものという印象がありましたが、現在では、ナショナルクライアントから個人でDtoCビジネスをやっている方まで企業規模に関係なく利用されています。皆さんのなかでも、一度は出稿したことがあるという方もいるのではないでしょうか。
数年前までは「一部の層が実験的に取り組んでいた広告」でしたが、現在では「多くの企業が取り組みを検討する広告」に変わっています。リスティング広告やバナー広告と並ぶ広告であるとも言えるでしょう。
では、動画広告がここまで普及した理由は何でしょうか。大きくは3つあると考えています。ひとつめは、通信回線が飛躍的に向上したこと。動画はデータ量が大きかったため、一昔前は、動画が再生されるためのローディングに時間がかかっていました。ですが現在は通信回線のスピードが大幅にアップしたため、たくさんの動画コンテンツがインターネット上にアップロードされるようになっています。
ふたつめは先ほども少し触れましたが、スマホの普及です。高性能のPCともいえるスマホを1人1台肌身離さず持つことで、広告に触れ合える回数が大幅に増えました。ある調査によれば、1⽇あたりの起動回数は150回。1回の起動時間は約1分12秒と細切れの短い時間で利用されていることがわかります。(データ出典元:news.com.au 「Mobile users cannot leave their phone alone for six minutes, check it 150 times a day」、MMD研究所「2018年版:スマートフォン利用者実態調査」)
3つめは、SNSの普及です。LINEは国内に8,000万、Instagramは4,000万を超えるアカウントがあるように、多くの人が何かしらSNSのアカウントを持っています。SNSは一日に見る回数も多く、そのたびに広告に接触するようになりました。
つまり、ユーザーがスマホでSNSを一日に何度も開きコンテンツに触れている間に、動画広告をたくさん見せることができるようになった、ということです。今後、5Gが日本中に張り巡らされることで、さらに動画広告の環境は良くなります。5Gの特徴である低遅延で大容量なデータ通信が行われることで、Wi-Fiを必要とせずにスマホにリッチなコンテンツが届くようになるのです。
動画広告を始める際におさえておきたいポイント
これからお話する動画広告は、スマートフォン×SNSに配信されることが前提となっています。もちろん、ブラウザからやアプリ、YouTubeでの広告においても基本的な部分は参考にしていただければと思います。では早速、そのポイントを見ていきましょう。
広告運用の成否が決まるのは、ターゲティングとクリエイティブだと考えています。広告運用というと、難しい画面から細かくターゲティングや入札などの設定をするイメージが強いかもしれません。しかし近年では、広告運用を成功させるうえで、運用者がターゲティングのテクニックを持っているかどうかという点の重要度は低くなってきました。一方、いまとても大切だと考えられるようになったのは、広告のクリエイティブです。
その背景にあるのは、AIの存在です。InstagramやTwitterをはじめとしたSNSでは、AIにより必ず、ユーザーの見ているタイムラインに表示されるコンテンツは最適化されています。過去にタップしたいいね!や保存したコンテンツ、滞在時間などの指標を用いて、ユーザーに意識させることなく、好みのコンテンツを優先的に表示させる技術が用いられています。この技術はコンテンツだけでなく、広告にも利用されています。そのため、購買しそうな人や、広告をクリックしそうなユーザーのみに向けて広告を表示することができるのです。
Facebook広告はターゲティングで細かい設定はせずに、AIにより自動最適化に任せるべきであると、Facebook広告が言及しています。ターゲティングが必要なくなったことで、広告運用の差別化要因がクリエイティブへと変化してきました。今後もAIは進化し続けることを考えると、よりこの傾向は強まるでしょう。