前回は、事業のPMF期におけるデザインの役割について触れました。今回はPMFを通過し、スケールフェーズに入った事業の中で、デザイナーが取り組むべき点とそのアプローチを紹介していきます。
スケールに備えたデザインの内製化
PMF期でも組織化の話を取りあげましたが、スケールフェーズは間違いなくデザイナーがふたり以上で協働することが求められるようになってきます。
はじめは、それぞれのやりかたで属人的にデザインを取り組んでいたとしても、開発も含めたプロダクト開発サイクルを円滑に進めるためには、デザインを含めたワークフローの整備が必須です。
たとえば、要件定義段階で検討や調査が必要となる重めのイシューと、軽度な改修でユーザー体験にインパクトを出せるイシューなど、どのような意思決定を経て開発を進めるのか、ワークフローを整備することでチーム内での意思決定やコミュニケーションが円滑になります。
こうしたイシューを言語化し、ドキュメントとして管理しておくことも非常に重要になります。早期からのドキュメント化が属人性を排除していくための取り組みとして有効です。
人数が増えると、イシューで解決すべき課題や目的がブレやすくなります。関係者にイシューの背景を理解してもらうための手段がドキュメンテーションです。ドキュメンテーションのためのツールは下記にあげたように、どんなものでもかまいません。
- Google Docs
- Dropbox paper
- JIRA
- Backlog
- github issues
仕組み化は、実際のデザイン業務でも必要です。複数人でデザインデータを編集するため、品質を管理するためのルールが確実に必要になります。プロダクト開発チームの人数が増加すると、デザイナー以外のエンジニアやPdMなどの判断だけで実装が進むケースが生まれます。
こういった場面ではデザインに関する規定や基準を定めておくことで、デザインチームや開発チーム内での不整合を大幅に減らすことができます。これらはデザインガイドラインと呼ばれ、ゆくゆくはデザインシステムへと変わっていきます。
ただし、デザインシステムのような大がかりな仕組みづくりは片手間ではできません。取り組んでいるプロダクト開発に加えて、新しいプロダクトを作るくらいのリソースと労力がかかることを覚えておきましょう。
デザインシステムの開発に労力をかけることが適切と判断できるタイミングで本格的な仕組みづくりを行っていくことをオススメします。