UIデザイナー兼UXリサーチャーが課題と向きあい得た気づきとは Chatwork・仁科さんが語る

UIデザイナー兼UXリサーチャーが課題と向きあい得た気づきとは Chatwork・仁科さんが語る
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2020/12/21 08:00

 メール、電話、会議・訪問など仕事で必要なコミュニケーションをより効率的にするクラウド型ビジネスチャットツール「Chatwork(チャットワーク)」。2020年11月末日時点で導入企業は29万3,000社をこえる。チャット機能、タスク管理、ファイル管理、ビデオ/音声通話など、ビジネスコミュニケーションを円滑にする機能を備えている。いくつかの企業を経て、Chatworkにたどり着いた仁科智子さんは現在、UIデザイナー兼UXリサーチャーとして業務に携わっている。いま感じている課題を解決するべく、チームとして取り組んでいることとは。デザインとリサーチの両軸からプロダクトへアプローチを続ける仁科さんに、話を伺った。

映像、ウェブ制作、事業会社を経てChatworkにたどり着いた過程とは

――まずは、仁科さんのご経歴から教えていただけますか?

3年制の専門学校を卒業後、最初に入社したのは、結婚式や企業の決算発表会などで使用される映像制作の仕事だったのですが、当時ウェブの勢いが増していたこともあり、社会人向けの学校でウェブデザインとHTMLを勉強してウェブの制作会社に転職しました。何社か経験しましたが、あわせて6年ほど制作会社で勤務していました。

その後、自社でサービスを持っている会社で働いてみたいという思いから、美容の総合情報サイト「アットコスメ」などを運営しているアイスタイルに入社。最初は派遣社員としてバナー制作やサービスのUIデザインなどに関わっていましたが、終わりのないプロダクト制作のおもしろさを実感するようになりました。

正社員になったあとは10人ほどのチームのマネージャーも経験させてもらいましたが、マネジメント業務がメインとなっていき、自分のポートフォリオがアップデートされていない状況に疑問を感じることが増えていったんです。そこで、自らが作らなければいけない環境に身を置きたいと思い、CtoCの割り勘アプリ「ペイモ」の開発を行っていたスタートアップ「AnyPay」に転職することにしました。

アイスタイルもAnyPayもC向けのサービスの印象が強いかと思いますが、アイスタイルは化粧品メーカー向けのサービスも展開しており、私はそちらを担当することも多かった。AnyPayも、CtoCの割り勘アプリだけでなく、スモールビジネス向けの決済代行サービスも展開していました。ユーザーが自分で利用するか否かを選べるC向けのサービスもおもしろかったですが、毎日使わなければいけないB向けのサービスを作ることにも魅力を感じていました。B向け、C向け両方のサービスに携われるのはおもしろそうだなと思ったことが、AnyPayへの転職を決めた理由です。

――そこからChatworkに転職されたのには、どのような背景があったのですか?

AnyPayに在籍していたときに、スモールビジネスに携わっている方は、コンテンツだけではないご自身の魅力に惹かれ商品を購入してくれるお客さまと、ゆるやかなコミュニティを作っている人が多かった。そういったコンテンツを介したつながりに魅力を感じ、コミュニティ関連の仕事を探していました。そのときに、Chatworkでデザイン顧問を担当している人に声をかけてもらったのですが、最初はビジネスチャットにあまり興味はわかなくて……(笑)。

ですが考えてみると、B向けのチャットも、企業内の人のつながりや部署のプロジェクトをとおしたコミュニティですし、意外とやりたいことに近いかもしれないと思ったんです。それが、Chatworkに加わることを決めたきっかけです。

――Chatworkのデザイナーは、どのような組織体制になっているのですか?

Chatworkのデザインでは、プロダクトデザインと、ウェブサイトや展示会などのデザインを担当する部署とふたつの部署にわかれています。私はプロダクトデザイン部でUIデザイナー兼UXリサーチャーとして活動しており、チームのマネジメントも行っています。リサーチについては、私がリサーチとUIデザインどちらも担当としてプロジェクトに入る場合もあれば、プロダクトデザイン部のメンバーがデザイナーとして入っている案件に、リサーチのみ入る場合もあります。

プロダクトデザイン部には、ChatworkのプロダクトにおけるUI/UXに関わっているデザイナーが6名ほど所属しています。基本的にはどういった機能をどんな目的で作るかをプロダクトマネージャー(以下、PdM)と一緒に考え、そのうえでUIに関する案をだしていきます。さらに社内リサーチやユーザーさんへのリサーチも交えながら案をしぼり、作る機能を決めていく。最終的に、エンジニアが実装できるようなデザインの指示書(スタイルガイド)をドキュメントとしてわたすところまでが、デザイナー共通の役割です。

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