2021年のビジュアルトレンドとは 後藤あゆみさんとPIXTAがコロナ禍によるクリエイティブの変化を解説

2021年のビジュアルトレンドとは 後藤あゆみさんとPIXTAがコロナ禍によるクリエイティブの変化を解説
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2021/02/22 08:00

 ピクスタは、ビジュアル表現を通じて世の中に発信する生業の人々を対象に、2021年のクリエイティブに何が求められていくのかを考察する無料オンラインイベント「クリエイティブ業界人必見!2021年ビジュアルトレンド」を開催。クリエイティブプロデューサーの後藤あゆみさんをゲストに迎え、2021年の写真・イラストのトレンドを考察した「Creative Trend 2021」について深掘りしました。本記事ではその様子をお届けします。

 こんにちは。写真・イラスト・動画・音楽素材を扱う「PIXTA」のCreative Trend Projectです。先日私たちは、「クリエイティブ業界人必見!2021年ビジュアルトレンド」と題したオンラインイベントを開催しました。

 ゲストスピーカーにはクリエイティブプロデューサーの後藤あゆみさんを迎え、コロナ禍で変化したクリエイティブ業界やデザイナーの働き方、求められるクリエイティブとは何かなどについてお話をしました。本記事では、その全貌をお伝えします。

コロナ禍によって変化したクリエイティブ

 第1部では、「Creative Trend 2021」について紹介しました。Creative Trendとは、PIXTA上で検索されたキーワードの変化上昇率や販売データに、今とこれからの社会情勢をかけ合わせ、「次年に求められるテーマとビジュアル表現」について分析・考察した分析レポートです。ピクスタでは毎年12月に発表しています。

 今回のCreative Trend 2021では、2020年に襲来した新型コロナウイルスによって変化した私たちの日常とビジュアルニーズから紐解いていきました。社会と比例したビジュアルの変化について、PIXTA Creative Trend Project リーダーの鈴木竜一は以下のように語りました。

「ビジュアルニーズは常に世相を反映しています。たとえば、『マスクをしている人の画像』は、従来花粉症や風邪の表現モチーフとしてのニーズがありましたが、コロナの影響で明らかに『そうではないマスク姿の人』が求められるようになりました。

数年前から言葉としては登場していた『テレワーク』の画像も2020年は約20倍に増加。飲食店の時短営業や緊急事態宣言で中食やフードデリバリーが注目されたことにより、宅配シーンの需要が増すなど、社会と連動した変化がビジュアルにも起きています。

とくに特徴的なのは『手洗いや消毒イメージ』。従来は、明るく清潔さを保つことを主目的にしたやわらかくポジティブな表現も、青っぽい色や陰影を加えることで、真剣に手洗い・消毒に取り組むことを伝えようとする表現になりました」

2021年のビジュアルトレンドとは

 大きな変化をもたらした2020年をふまえ、PIXTA Creative Trend Projectでは、2021年にはどのようなビジュアルが求められていくのかを、4つのテーマトレンドと5つの表現トレンドに分けて表しました。

テーマトレンド

1.スローバック平成

スローバックとは「振り返る」という意味。平成レトロを意識したビジュアルテーマに注目しました。ちょうど1990年代から2000年初頭を思わせるカラフルさが特徴です。

2021年トレンドテーマ:平成スローバック
2021年トレンドテーマ:平成スローバック

2.身近な非日常

コロナ禍の影響は2021年も続いていきます。人々がおうち時間を楽しみ、密を避けた休日の過ごかたや、これまでは“非日常”だった新しい働き方や働く場所も、これからは“日常”へと変わっていくでしょう。

2021年トレンドテーマ:身近な非日常
2021年トレンドテーマ:身近な非日常

3.日常の中の多様性

LGBTなど性の多様化をはじめ、社会はより寛容であろうとしています。ダイバーシティー・インクルージョンをメッセージとして打ち出す企業も増加傾向に。メンズコスメの需要増を含め、自由な表現が求められるようになっています。

2021年トレンドテーマ:日常の中の多様性
2021年トレンドテーマ:日常の中の多様性

4.信念の表明

「日常の中の多様性」にも通じていますが、同様に環境や人権問題に対してメッセージを打ち出す企業は増加傾向にあります。SDGsしかり、具体的な行動目標が示されているものが市場に表れはじめています。それらをどのようにビジュアルに落とし込むか。さらには、ビジュアルならではのユーモアがきいたクリエイティブが求められてきています。

2021年トレンドテーマ:信念の表明
2021年トレンドテーマ:信念の表明

表現トレンド

1.ビビットでカラフル

「平成スローバック」ともつながりますが、社会不安の中で、元気でカラフルなものに対する憧れが色味にも投影されています。

2021年表現トレンド:ビビットでカラフル
2021年表現トレンド:ビビットでカラフル

2.ボタニカルの気配

オーガニックなものを影にして差し込むことで、主張しすぎない“匂わせる”表現方法で、とくに化粧品やボディケア商品などの広告で用いられ始めています。エシカルなテーマともなじみがよく、さりげない表現として注目されています。

2021年表現トレンド:ボタニカルの気配
2021年表現トレンド:ボタニカルの気配

3.頑張りすぎないゆるさ

ほどよく力が抜けたゆるい表現は、お家時間を楽しむようになったことでより好まれるようになった表現手法。衣装もメイク、撮影機材すらも、肩肘はらずにラフに捉え、少しチグハグなくらいがちょうどよい親近感をもたらします。

2021年表現トレンド:頑張りすぎないゆるさ
2021年表現トレンド:頑張りすぎないゆるさ

4.立体感

主にグラフィック・イラスト表現で注目度が上がってきているのが3D表現。海外先行のテイストではありますが、国内でも徐々に浸透してきている気配があります。

2021年表現トレンド:立体感
2021年表現トレンド:立体感

5.大胆なデフォルメ

近年はミニマルなテイストが人気でしたが、2021年は一歩進み、抽象化して面で捉える表現が増えてきました。さまざまなテーマに応用がききやすく、今後増えてくる表現として注目しています。

2021年表現トレンド:大胆なデフォルメ
2021年表現トレンド:大胆なデフォルメ

 コロナ禍の影響を受けた2020年を経て、テーマや表現ともに、ビジュアルもニューノーマルに適応し、世界のメッセージを反映させながら、社会の不安を吹き飛ばすような明るくポジティブな印象に注目が集まっている――。そう分析結果が伝えられました。

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