クリエイター・エコノミーの活況に適応するTwitter、YouTubeなど大手プラットフォームの最新動向

クリエイター・エコノミーの活況に適応するTwitter、YouTubeなど大手プラットフォームの最新動向
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
2021/05/17 08:00

 2000年代後半から爆発的に普及したソーシャルメディアは、私たちの日常に、そしてクリエイターとしての活動に欠かせないものとなりました。現在世界中に36億人のユーザーが存在するそれらのプラットフォームは年々機能性を向上し、また多種多様な新しいタイプのプロダクトが次々と生まれています。そしてそれらほとんどの運営は、広告収入を基盤にして成り立っています。ソーシャルメディアの普及初期はセレブやインフルエンサーと提携することでブランド認知を構築していくことが企業にとってのゴールでした。しかしそうしたパートナーシップへの不信感が募るようになり、オーディエンスはより信頼できる“本物のつながり”にもとづいた情報源やクリエイターたちの存在を求めるようになりました。クリエイター・エコノミーはそうしたニーズを満たす、コミュニティをベースにした新たなビジネスモデルを採用し、今ひとつの経済圏として確立されつつあります。大手ソーシャルメディアプラットフォームはこの変化にどう適応しているのか。また、クリエイターにとってソーシャルメディアの使いかたは今後どう変化していくのかを考察します。

広告収入で成り立ってきたソーシャルメディアプラットフォーム

 私たちの日常に欠かせなくなったソーシャルメディア。そのプラットフォームは現時点ですでに世界中に36億人ユーザーが存在し、2025年までには40億人を突破すると予測されています。それらのプラットフォームの中でもトップ3を占めるFacebook、YouTube、WhatsAppはいずれも、2億人を超えるアクティブユーザーを擁しています。

 特筆すべき点は、そうしたプラットフォームのほとんどが“無料”で利用できること。無料のサービスでありながらどのようにして収益をあげているか。その答えはFacebookの収益内訳を見ると一目瞭然です。2020年度のFacebookの収益の98%が広告収入となっており、とくにこのパンデミック禍の1年間においては、さまざまなビジネスがオフラインからオンラインへ移行したこともあり、同プラットフォームの広告収入は20.8%増とさらなる急成長を遂げています。

 このことからもわかるように、ソーシャルメディアは広告枠を企業に売ることで収益をあげています。つまり、プラットフォームのエンドユーザーである私たちユーザー自身がプロダクトであり、そのユーザーは前回の記事で紹介した「アテンション・エコノミー」に組み込まれ、人びとはその対価として注意と時間を支払っているのです。

 この仕組みはソーシャルメディアに限らず、インターネット登場以前から、おもにマスメディアを通じて私たち消費者に向けられた広告のそれと同じものです。

 ほとんどを無料で観ることができるテレビ番組の間には数十秒のコマーシャルが放映されます。街中のスクリーンに映し出されるキャンペーン動画や映画の予告編はみな、視聴者たちの「注意」の隙間を利用し、広範囲で人びとの無意識を捕獲するうえで有効な方法だったのです。それが現在、数々の無料で提供されるオンラインサービスやアプリの収益モデルの基盤となっています。

 企業はそれぞれにソーシャルメディアが提供する広告サービスにお金を払います。それを受けてプラットフォーム側は、企業が獲得したい消費者層に最適化された広告を個人のデータを分析したアルゴリズムに合わせて配信します。そのようにして、サービスを無料で利用する私たちにとって多すぎず、かといって少なすぎない適量の、しかも嗜好に合うであろう広告が表示される現状を成り立たせているのです。

 さらに広告だけでなく、ユーザーデータを匿名化し集約した情報をプロダクト化したものも、ソーシャルメディアプラットフォームにとって重要な収益源となっています。たとえば、Twitterは過去ツイートへのアクセス、フィルタリング、サンプル化などを可能にする特別なアクセスAPIを企業向けにサービスとして提供しています。

 そうしたソーシャルメディアプラットフォームは、クリエイターたちの活動や生活にも大きく関わっています。プラットフォームを創作の場として直接利用する人もいれば、告知や宣伝にのみ使用するなど使いかたはさまざまですが、アマチュアとされるクリエイターたちの多くがプラットフォームを自身の出発地として利用しています。

※この続きは、会員の方のみお読みいただけます(登録無料)。