Webデザイナーの転職に必須!ポートフォリオの作り方
Webデザイナーをはじめ、クリエイターの転職にはポートフォリオが必須です。クリエイターとしての就職・転職活動の経験者や、学校でWebデザインを学んだ人などは作ったことがあるかもしれませんが、独学で学んだ人は作り方がわからないかもしれません。作成経験がある人でも、ポートフォリオには定められたフォーマットがないため、何を載せればいいのか悩むこともあるでしょう。
そこで今回は、ポートフォリオの作り方をご紹介します。Webデザイナーとして転職を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。
ポートフォリオを作成する目的
ポートフォリオは元々、書類をひとまとめにして入れるケースのことを指しています。そこから転じて、クリエイティブ業界では過去の成果物や実績をまとめた作品集を示すようになりました。なお、ポートフォリオには、「金融商品や資産の構成」という意味もありますが、転職活動におけるポートフォリオといえば、過去の実績をまとめた作品集を指します。
Webデザイナーが転職活動を行う際、選考で重要視されるのはスキルや経験でしょう。ただし、Webデザイナーに限らず、クリエイターの能力は言語化することが難しく、職務経歴書や履歴書だけでは伝わりづらいもの。そのため、ポートフォリオによって、わかりやすく実績を伝える必要があるのです。
また、ポートフォリオは作品集ですが、これまでの作品を単にまとめればいいわけではありません。そもそもの意味が書類をまとめるケースですから、その都度、目的に応じて差し替えることが前提となっています。転職活動で利用するポートフォリオは、それ自体を作品と考えて、応募先の企業や担当者に合わせて作成することが必要です。
ポートフォリオに載せるべき項目
ポートフォリオは履歴書のように決まったフォーマットがありませんから、作り方で悩む人もいるでしょう。ポートフォリオに載せるべき項目は、大きく分けて自己紹介と作品紹介の2つがあります。
自己紹介
ポートフォリオでまず載せるべきは自己紹介です。履歴書の内容と重複しますが、氏名や生年月日、職務経歴などを端的にまとめ、Webデザイナーとしてのこだわりや得意分野、具体的なスキル、使用ツールなども記載してください。
使用ツールについては上級、中級といったレベル感も添え、レベル感がわからない場合は使用年数を書いておきます。受賞歴や特筆すべき実績があれば、それも記載するのがおすすめです。日頃からSNSやブログなどで作品を発信していれば、SNSアカウントやWebサイトのURLなども記載しましょう。
また、採用担当者は、企業の方向性とマッチングしているかどうかも見ています。今後、どのような仕事がしたいのか、キャリアプランをどう考えているのかといった、将来像に関しても自己紹介として記載してください。
作品紹介
作品紹介は、1ページに1作品、または見開き2ページに1作品が原則です。メインビジュアルを載せ、作品のタイトルやプロジェクト名とそのURL、簡単な紹介文を記してください。掲載数は10作品以内が目安です。
Webデザイナーのポートフォリオで重要なのは、デザインの制作意図を明確に伝えること。作品それぞれの紹介文で、ターゲットユーザーや作品の目的、コンセプト、ポイントを端的に伝えます。あまり長い文章は読まれにくいので、1行は25~30字程度、多くても4行程度で説明するのがおすすめです。メインビジュアルだけではなく、図解したり拡大したりして、わかりやすく作品の魅力が伝わるように工夫してください。
ただし、クライアントと秘密保持契約を結んでいる場合は、作品そのものを掲載することができません。守秘義務違反にならないよう、注意しましょう。
ポートフォリオづくりのポイント
転職活動で利用するポートフォリオは、自分を知らない人に自分の良さを知ってもらい、「いっしょに働きたい」と思ってもらうためのツールです。続いては、魅力的なポートフォリオを作成するためのポイントをご紹介します。
見る人(採用担当者)の視点を考える
ポートフォリオは、それを見る人の視点に立って作成することが重要です。転職活動のために作るのであれば、採用担当者が何を重視するのかを考えて作成しなければなりません。
応募する企業のニーズと、応募する業界に合わせて作品をピックアップしましょう。例えば、広告代理店ならアイディアの幅広さ、プロダクションであればスキルの幅広さなど、求められていることを意識して作品をピックアップしたり、掲載順を考えたりすることが必要です。場合によっては、応募先企業のクライアントを考えた、架空の商品やサービスに関する作品を制作するのも有効です。
制作の背景について書く
ポートフォリオでは作品そのものだけでなく、制作の背景も評価されます。紹介文では、制作前の課題、制作の過程、制作後の成果を簡潔に紹介しましょう。
自分は何を考えてどう関わったか、何を工夫したか、失敗したことでも構いませんので、試行錯誤の過程を見せることで、Webデザイナーとしての人物像が伝えられます。例えば、ボツ案と実際の作品を載せて、ボツからどのように考えて何を変更したかなどを紹介するのも有効です。
伝わりやすさにこだわる
Webデザイナーのポートフォリオで最も重要なのは、当然ながらビジュアルです。ただし、メインビジュアルがわかりやすいということだけではなく、わかりやすいレイアウトや文章で、自分がどのようなWebデザイナーか理解してもらうことが必要でしょう。表紙や装丁についてこだわりたくなることもありますが、それよりも手に取りやすいことや見やすいことのほうが重要です。 採用担当者は大抵忙しく、じっくりポートフォリオを見る時間はありません。そのため、一目でポイントがわかること、短時間で見られるようにページ数が多すぎないことなど、全体構成はしっかりと考えてください。
ポートフォリオはWebと紙のどちらで作るべき?
ポートフォリオを、Webと紙のどちらで作るか悩んでいる人もいるかもしれません。結論からいえば、ポートフォリオは紙とWebの両方で作るべきです。
Webのポートフォリオには、URLを送るだけで自分の作品をアピールできるというメリットがあります。また、昨今はオンラインでのやりとりが増え、応募の段階でポートフォリオのURLを求める企業もあり、Webは必須です。ポートフォリオサイトがあればベストですが、難しければ無料でポートフォリオが作成できるWebサービスも多数あります。自分が使いやすいもの、見やすいものを選定してください。
面接会場で見てもらい、説明するにはやはり紙のポートフォリオも必要です。紙のポートフォリオは、PCやタブレットがなかったり、インターネット環境が不安定な場所でも見られたりするメリットがあります。サイズはA4でもA3でも構いませんので、持ち運びのしやすさや、メインビジュアルを印刷したときの印象などから決めましょう。
紙のポートフォリオの場合、冊子を作るか、ポケットファイルなどを利用するかで迷うこともありますが、転職の際はポケットファイルの利用をおすすめします。冊子は表紙を作り込むことができて目を引きますが、簡単に中身を入れ替えられません。応募する企業に合わせてポートフォリオの内容は変更するべきですから、入れ替えられることがポイントです。
ポートフォリオもひとつの作品として取り組むことが大切
ポートフォリオは単なる作品集ではなく、自分が関わった作品の紹介を通して、Webデザイナーとしてのスキルやセンス、仕事に対する向き合い方をアピールするもの。作品のレベルが高いことも必要ですが、自分がその作品にどう携わって、どういった意図でデザインしたかも重要な要素です。
ポートフォリオを作成するときは、外側のデザインや作品数などを気にしがちですが、重要なのはそれを通じて自分の強みや人となりを知ってもらい、いっしょに働きたいと感じてもらうことでしょう。作品の羅列ではなく、制作の背景や想い、自分の魅力が伝わるポートフォリオを作ってください。