育成やマネジメントに一貫性をもたらすために ―― Visional独自の「デザイナーJD」活用事例を紹介

育成やマネジメントに一貫性をもたらすために ―― Visional独自の「デザイナーJD」活用事例を紹介
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2021/08/16 08:00

 転職プラットフォーム「ビズリーチ」といったHR Tech領域をはじめ、産業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するさまざまな事業を展開するVisional。本連載では、デザインフィロソフィー「We DESIGN it.」を掲げるVISIONAL DESIGNのメンバーが、組織づくりについて実例を交えながら紹介します。第4回は、Visional独自の「デザイナーJD」の具体的な活用例を紹介します。

 こんにちは。Visionalの松島です。デザインプログラムマネジメント室で、人財育成に関する業務や、デザイナーが働き活躍しやすい環境の整備を行っています。

 連載第4回となる今回は、前回紹介した「デザイナーJD(Job Description)」の活用事例を「新卒デザイナーの育成」「デザインチームのマネジメント」の観点で紹介します。

 デザイナーJDとは「Visionalのデザイナーのあるべき姿(=期待役割)」を言語化し、デザイナーの役割やスキルの共通認識を持てるようにしたものです。「1. 期待役割の明文化」と「2. 必要なスキル」によって定義され、おもに個人のキャリア開発での活用を目指しています。

 次の章からは早速、このデザイナーJDの「新卒デザイナーの育成」における活用事例を紹介します。

新卒デザイナー育成施策におけるデザイナーJD活用法

 まずは、新卒研修をはじめとする新卒デザイナーの育成を例に紹介します。今年2021年の新卒研修を設計するにあたり、これまでの課題をふたつに分類しました。

 ひとつめは、配属時のスキルや配属後の育成目標が不明瞭だったため、研修期間と配属後の育成が分断されており、それにより採用から育成の一貫性が欠けていたこと。ふたつめは、育成状況に対して、共通した指標での定点観測ができていなかったことです。その結果、育成施策を客観的に振り返ることができず、例年単発的な取り組みに終わっていました。

 そこでこれらふたつの課題を解決し、将来事業をリードできるデザイナーに成長してもらうために、デザイナーJDを育成計画の指標にすることにしました。

 具体的に行ったのは、入社から3年間の成長曲線をつくり、育成施策をプランニングすることです。育成計画には、配属時や1年後といったスパンごとに、デザイナーJDをベースにした目標や身につけるべき行動を定義しています。

 この計画を新卒デザイナー本人や配属先の上長と共有し、3年間の成長イメージの共通認識を持てるようにしました。育成計画を決める際には、もちろん新卒デザイナーの意思は尊重します。組織で目標の素案を決めていますが、どのキャリアを選択し、どのコアスキルを伸ばすかを最終的に決めるのはデザイナー本人です。

 目標の明確化にともない、今年2021年度の新卒デザイナーに実施した施策のなかから3つを紹介します。

施策1.入社前の学習サポート

成長曲線に対して乖離があるスキルを補うために、入社前から個別にカスタマイズした学習サポートを行いました。結果的に入社後の期待値も伝えられ、意欲的に学習に取り組んでもらうことができました。

施策2.配属前の新卒研修

配属までに習得すべきスキルを定義して研修を実施。各研修の目的やゴールも都度共有していたので、習得すべきスキルを認識したうえで研修に臨んでいました。

また、研修講師をアサインする際にもデザイナーJDを活用しています。講師を務めるデザイナーに必要なコアスキルを定めたことで、研修の運営がそれまで認知できていなかったデザイナーのスキルを把握でき、アサインの幅も広がりました。

施策3.習得すべきスキルや行動のリスト化

入社後1年間で身につけるべきスキルや行動について、デザイナーJDをベースにチェックリスト化し、新卒デザイナーと配属後の上長で共通認識を持てるようにしました。

リスト化の目的はふたつあり、ひとつめは新卒デザイナー自身が1年間で身につけるべきスキルを把握することで、自身の成長に責任を持ってもらうこと。ふたつめは、上長が新卒デザイナーの成長イメージを解像度高く理解することです。配属前には何を習得していて、配属後にはどんなスキルを習得してもらうべきかを認識し、日々のマネジメントで活用しています。

現時点では、想定通りふたつの目的に沿って活用されています。実際に新卒デザイナーの成長につながっているかは長期的に確認しながら、次年度以降の施策に生かしていく予定です。

 このように新卒育成のさまざまな場面でデザイナーJDを活用して、過去の課題を解決する仕組みを徐々につくってきました。

 次の章ではある事業を例に、チームのマネジメントにおけるデザイナーJDの活用事例をお伝えします。

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