インハウスデザイナーとは?企業が求める理由とメリット・デメリット

インハウスデザイナーとは?企業が求める理由とメリット・デメリット
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2021/09/22 08:00

 インハウスデザイナーとは、どのような仕事を行うのでしょうか。企業が求める理由や、インハウスデザイナーとして働くメリット・デメリットを解説します。

 「インハウスデザイナー」は、制作会社ではなく、事業会社で働くデザイナーのことです。しかし、インハウスデザイナーがどのような仕事を行うのか、一般のデザイナーと何が違うのか、明確に答えられる人は意外と少ないかもしれません。

 そこで、インハウスデザイナーの仕事内容や企業が求める理由のほか、インハウスデザイナーとして働くメリット・デメリットについて解説します。

デザイナーは働き方で3つに分類できる

 デザイナーと一言でいっても、グラフィックデザイナーやWebデザイナーなど、手掛けるものによってさまざまな種類があります。さらに、デザイナーは働き方によっても、大きく次の3つに分類できます。

1.制作会社(受託会社)のデザイナー

 制作会社のデザイナーは、その名のとおり制作会社で働くデザイナーです。ここでいう制作会社とは、ほかの企業からデザイン業務を請け負って制作する会社を指し、受託会社と呼ばれることもあります。

 一口にデザイン制作会社といっても、Webサイトやグラフィック、プロダクトなど、専門分野が分かれており、それによってデザイナーの仕事内容も異なります。

2.フリーランスのデザイナー

 フリーランスデザイナーは特定の企業に所属せず、個人事業主としてデザイン業務に携わります。元々制作会社で働いていた人が独立し、フリーランスのデザイナーになるケースが多いです。

3.インハウスデザイナー

 制作会社ではなく、事業会社など一般企業の中で働くのがインハウスデザイナーです。インハウス(in-house)は、直訳すると「家の中」という意味。つまり内製化された状態を指します。

 インハウスデザイナーは、自社の製品やサービス、ブランドに関わるデザインを幅広く担当します。場合によってはスケジュールや予算の管理、マーケティングなど、デザイン以外の業務も行うことがあるでしょう。

Group of business creative designer team meeting and discuss for planning project in office

なぜ企業はインハウスデザイナーを採用するのか?

 「デザイン業務は、専門の制作会社やフリーランスに委託したほうが、採用の手間がなく楽なのでは?」と思う人もいるかもしれません。事業会社がインハウスデザイナーを採用する理由は、どのようなものがあるのでしょうか。

制作会社に頼む必要がない

 事業会社がインハウスデザイナーを採用する理由のひとつとして、外注先を探さなくてよい点が挙げられます。デザインを外部へ委託する場合、外注先を選ぶところから始める必要があります。インハウスデザイナーなら、予算や納期、得意とするデザインなどがすべて自社に合った外注先を見つける必要はありませんし、デザインが必要なときに社内ですぐに依頼できる点はメリットです。

 また、外注した場合は、突発的な制作や修正回数の増加で費用が上がる可能性がありますが、インハウスデザイナーを雇用した場合は、デザイン制作のコストが大きく変動しない点もメリットといえるでしょう。

トンマナを説明する必要がない

 企業によっては、商品やサービス、Webサイト、広告などのイメージを統一するため、トンマナを細かく決めています。トンマナとは、トーン(tone)とマナー(manner)を合わせた略称で、デザインのコンセプトや雰囲気に一貫性を持たせるルールのことです。デザインを外注する場合、その都度トンマナを説明し、細かくチェックしなければなりません。

 インハウスデザイナーの場合は、すでに制作ルールやトンマナを把握しているため、具体的に指示しなくてもスピーディーにデザイン制作を進められます。

ブランドコンセプトを理解している

 デザインでブランドコンセプトを体現するためには、デザイナーが企業の想いを深く理解している必要があります。インハウスデザイナーであれば、ひとつのブランドに寄り添って制作しているため、ブランドコンセプトはもちろん、企業理念や想いを理解できているでしょう。ですから、デザインに対するこだわりが強い企業ほど、「外注よりインハウスデザイナーを採用したい」と考える傾向があるのです。

Gamer creator explaning to african worker how testing game level interface, developing new design in creative office using pc with two monitors

インハウスデザイナーとして働くメリット

 デザイン制作会社で働くか、フリーランスになるか、インハウスデザイナーを目指すか、デザイナーとしての働き方に迷う人は少なくありません。インハウスデザイナーとして働くメリットについて考えてみましょう。

さまざまなデザインに携わることができる

 「Webデザインのみ」「印刷物のみ」など、デザインの対象を専門特化するケースが多い制作会社。一方、インハウスデザイナーは、自社のあらゆる制作物に携わります。カタログや販売促進グッズ、名刺、Webサイトなど、自社の業務範囲が広いほど、携わるデザインの幅も広がるでしょう。その分、負担は大きいかもしれませんが、対象を限らずデザインの経験を積むことで、幅広いスキルが身につくはずです。

労働時間をコントロールしやすい

 インハウスデザイナーは、制作会社に比べると労働時間が安定しており、働きやすい傾向があります。 制作会社でよくあるのが、クライアントからの修正依頼や納期の短縮により、労働時間が延びるケース。依頼を断れず、長時間労働で疲弊しているデザイナーの声もよく聞かれます。インハウスデザイナーなら、突発的な修正やスケジュールの変更も個人の裁量で調整しやすく、労働時間をコントロールしやすいです。

ブランドに全面的に関わることができる

 制作会社やフリーランスのデザイナーは、依頼元の一部業務を請け負う形のため、制作物を納品すればそれで終了です。ユーザーの反響や売上など、リアルな結果を聞く機会は少ないでしょう。

 インハウスデザイナーの場合、デザイン制作の一工程だけでなく、企画や商品開発、改良と、ものづくりの一連の流れのすべてに関われる可能性があることもメリットです。長期にわたって、自社のブランドに関わることができます。企画の立ち上げから販売状況、ユーザーの反響まで全面的に関わることができるのは、インハウスデザイナーの仕事の特徴です。

デザイン以外の幅広い経験ができる

 幅広い業務を経験できることは、インハウスデザイナーとして働くメリットです。デザイナーとして独立するとしても、請けられる仕事の範囲が広がります。他業種の人と密接にかかわることによって、デザイン以外の業務知識も得られるでしょう。

 ある程度社内でキャリアを積んでからデザイン部門のマネージャーや、社内のクリエイティブを統括する立場として活躍したり、デザイン思考を活かして経営に関わる立場になったりすることも考えられます。

Brand Concept The meeting at the white office table

インハウスデザイナーとして働くデメリット

 インハウスデザイナーとしての働き方には、メリットだけでなくデメリットもあります。失敗しないために、マイナス面も確認しておきましょう。

社内で相談できない

 インハウスデザイナーは、一般的にデザインの知識や経験を持っている人が少ない環境で制作することになります。デザインで判断に迷ったり、行き詰まったりすることがあるかもしれません。そのような場合でも、誰かに相談することができず、自分だけで解決しなければならない可能性があります。

 さらに、社内でデザインという作業が理解されず、「やっぱり最初からやり直して」「1時間あれば作れる?」など、無理な注文をされる可能性もあります。また、デザイナーではない人にデザインに関する意見を出されて、思うように制作が進められないということもあるでしょう。

 インハウスデザイナーとして働くためには、デザインスキルだけでなく、自分で解決方法を考え、周囲を納得させられるように説明する力も必要なのです。

得意分野以外のデザインも担当しなければならない

 制作会社の場合、制作の工程が分業化されており、デザイナーもWebデザインだけ、グラフィックだけなどと、専門特化して業務を行う場合が多いです。フリーランスも、自分の得意分野に限って受注する人が多いでしょう。しかし、インハウスデザイナーの場合は、ブランドに関わるすべてのデザインを担当します。これまでの経験や得意不得意に関係なく、さまざまな媒体のデザインを手掛けることになります。

 幅広いスキルを身につけられる半面、苦労する場面が出てくるかもしれません。

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デザイナーのキャリアとしてインハウスデザイナーを考えよう

 インハウスデザイナーは、デザインだけでなく企業のブランドに関わる一連の業務に携わることができます。幅広いデザイン業務の経験を積むことができるほか、デザイナーとしてはあまり担当することのない、マーケティングやアクセス解析などを任されることもあり、仕事の幅が広がるでしょう。一方で、「周りに相談できる人がいない」「得意分野以外のデザインも担当しなければならない」といった苦労が発生する可能性もあります。

 自身が求める労働環境やスキルアップ、キャリアデザインを踏まえた上で、インハウスデザイナーとしての働き方を検討してみてください。