チームづくりは、終わりのない物語である――信じることでチームの未来は変わる

チームづくりは、終わりのない物語である――信じることでチームの未来は変わる
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 本連載のテーマは「チームの壁」。リンクアンドモチベーションで中小ベンチャー企業向けの組織人事コンサルティングに従事し、そののちデザイナーへと転向した辻井さんがチームづくりにおいて陥りがちな落とし穴や心がけるべきポイントをお伝えします。最終回となる第6回は「チーム作りでもっとも大切なこと」についてです。

 「チームづくり」がテーマの本連載、今回が最終回となります。半年にわたってお付き合いいただき、ありがとうございました。最終回だからこそ、「チームとは何か」「チームづくりにおいて、いちばん大切なことは何なのか」という根源的な問いと向き合ってみたいと思います。

チームづくりの“主役”とは

 「まぁうちのチームはこんなもんでしょ」

 「自分たちのチームが、劇的に変われるわけないよ」

 そんな風に感じてしまったことが、誰しもあるのではないでしょうか。困難な状況に直面した時ほど、こうしたネガティブな思い込みが生じやすいと思います。

 しかし、それは果たして本当でしょうか。どれほど頑張っても覆すことのできない、決まり切った”筋書き”が、本当に存在するのでしょうか。

 会社、市場、業界、国家、世界……。このくらい規模が大きければ、自分の力だけで変えることは難しいかもしれません。

 しかし、「チーム」はどうでしょうか。人がふたり以上集まれば、それはもう立派なチームです。手の届く範囲で、お互いに顔もわかっていて、日々関わり合っているチームであれば、あなたひとりの力は決してちっぽけではありません。必ず、チームを変えることができます。

 絶対に無理だと思っていた目標を、達成できたときの喜び。

全力を尽くしても、成し遂げられなかったときの悔しさ。

理不尽な壁を前に、立ち尽くしてしまったときの憤り。

 

バラバラだったチームがひとつになったときの、言葉にならない感動――。

 ひとつひとつのチームに、ひとりひとりの胸の中に、忘れられない思い出や出来ごとがあるのではないでしょうか。

 誰もがそのチームを生きる主人公であり、チームの未来を描く脚本家なのだと私は信じています。それぞれがそれぞれの人生を生きる、欠かすことのできない"主役”なのです。

「良いチーム」とは何か

 改めてではありますが、「良いチームの条件」とは何でしょうか。私は、こんな風に定義しています。

  • ひとりひとりに、「役割」と「居場所」があること
  • ひとりではできないことが実現でき、ひとりでは得られない喜びを味わえること

 役割は、チームの一員としての責務であり、チームに対する貢献にあたります。言い換えると、「自分はチームのために何ができるのか」という問いへの答えであり、チームに所属する理由となるものです。

 一方で、居場所は正反対のものです。「何ができようと、何ができまいと、自分はこのチームにいて良いのだ」と思える状態。「チームの役に立たなければ、自分は必要のない存在だ」と感じてしまえば、そこに居場所はありません。

 個人としてチームのために何ができるのか。チームとして個人のために何ができるのか。健全なGIVE&TAKEの関係が築けたときに、役割と居場所が生まれます。

 そして、そんなチームで物ごとに取り組んでいけば、ひとりでは成し遂げられなかったことを必ず実現することができます。その時、ひとりで取り組んでいては感じることのできなかった喜びや感動があるはずです。

 もちろん、物ごとはそんなに思い通りには進まないでしょう。理想的な展開ばかりではないかもしれません。それでも、せっかくチームを作るからには、チームで物ごとに取り組むからには、理想を思い描き続けることが大切だと思うのです。

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