「最初は全然余裕がなかった」 チームづくりに目が向いたきっかけ
SIerのエンジニアとして福岡でキャリアをスタートさせた春山さんは、その後ウェブ制作会社で約9年間勤務し、2014年に上京。ラクマの前身サービスとなる「フリル」を制作していたFablic社に、ふたりめのデザイナーとして入社し、Android版アプリUIのフルリニューアルや、ウェブサイトのグロースを担当。その際に、マネージャーとしてKPIや進行管理も行っていた。
2018年2月にフリルとラクマが統合。そのタイミングでは産休中だった春山さんだが、復帰後からはマネージャーとしてラクマのプロダクトデザインチームを束ねている。チームメンバーの肩書は全員デザイナーだ。ラクマのUI改善はもちろん、イベントブースのパネルやマーケティング・PR用のフライヤーなど、“デザイン”と名のつくものは幅広くチームで担当している。
春山さんがチームづくりのために最初に行ったのは、コンセプト決めだ。デザイナーとして大事にしていきたい価値観をチームメンバーで話し合った。
というのも、フリルとラクマが統合したタイミングでそこから新しくチームを作り直す、かつ、今後どういうマインドを持った人にチームに加わってほしいかを定めるために、話し合いをしたかったのだという。そこで決まったのは、「常に自分の可能性を広げる努力をし、どんな状況でも常に前向きに課題に立ち向かい、チームメンバーと協力して課題に向き合う」という言葉だ。
「Fablic社のころはディレクターがあまりおらず、デザイナーが何を行うかを決め、それに対しチームで施策を考えていました。受け身にならずに積極的に関わっていくからこそ、難易度の高い案件にも果敢に挑み、悩むこともありましたが、そういう状況もみんなで解決していこうという姿勢は、Fablic社の良さ。それは統合しても失いたくないと思い、このようなコンセプトにしました」
だが実は、マネージャーとしてすぐにこの話し合いを行ったわけではない。マネージャーになった最初の数ヵ月は、「正直、チームづくりまで考える余裕が全然ありませんでした」と春山さんは振り返る。ほかのふたりのメンバーとも、お互いが抱えている案件がなにかもわからず、とにかくタスクをこなしているような状況だった。面談も行ってはいたものの、細かい業務までは把握しきれていなかったという。
「産休から復帰したばかりで、時短で働くことにも慣れておらず、仕事を抱え込むは全然何も進まないはで、メンバーには迷惑をかけてしまいました。でも2ヵ月ほどたった頃、『もっと私たちを頼ってください』とメンバーが言ってくれて。そのときに、自分のタスクを渡してもいいんだと思うことができ、少し余裕が生まれましたね」
また、他部署のマネージャーからかけられた言葉も、チームづくりに目を向けるきっかけとなった。
「『自分でやらなきゃいけない』って考えることをやめなさい」
1年後、こんなチームになっていたいという理想のために、今何をするべきかを逆算する。そのためにチームの人員をどうするのか。ディレクターやプロデューサーなどもいる中で、何をデザイナーの役割とするのか――。
「目の前のタスクにとらわれるのではなく、そこは割り切って、もっと大きい視点で考えなければいけないよねとガツンと言ってもらって。それは大きかったですね」