クリエイターファーストだからこそ広がるメタバースの可能性――その今を、HIKKY舟越さんが語る

クリエイターファーストだからこそ広がるメタバースの可能性――その今を、HIKKY舟越さんが語る
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2022/03/14 09:00

 今話題の「メタバース」は、クリエイターにとってどのような可能性を秘めているのだろうか。CreatorZineが主催するウェビナーで、VR法人 HIKKYのCEO・舟越靖氏が「なぜブランドはメタバースを活用するのか その基本と事例を徹底解説」と題して講演を行った。VR空間を運営する舟越氏がメタバースの今とその可能性を解説。本記事ではその様子をレポートする。

社会や文化までをも生み出すVR空間「メタバース」とは<

 もともとクリエイターを志していた舟越氏。多岐にわたるコンテンツ制作や新規事業開発などを行う会社を複数社立ちあげ、クリエイターとともに仕事をしてきた。

「最近はクリエイターエコノミーという言葉も出てきましたが、以前はモノをつくる人の価値がピックアップされていなかった。どうしたらクリエイターが活躍できる社会をつくることができるのか、もっと価値を発揮できるのかということをライフワークにしてきました。たくさんのクリエイティブ系の会社を立ち上げるなかで誕生したのが、このVR法人HIKKYです」

 同社はメタバース事業を手がけており、世界最大級のVRイベントを企画・運営するほか、オープンイノベーション事業として企業と連携したメタバースサービスの開発・実証実験などを行っている。

 舟越氏は「そもそもメタバースとは何か」から話を始めた。メタバースとは「meta」(超越)と「universe」(宇宙)を組み合わせた造語で、世界中から人々が集いコミュニケーションをとることができる、インターネット上につくられた仮想空間であると説明。Facebookが「Meta」社に社名を変更したことでいっそう注目が集まり、世界中でトレンドワードになっている。

「メタバースはデジタル空間にあるもうひとつの世界。たくさんの人が同時にアクセスし、勉強したり働いたり、遊んだりする。そんなSF映画のような世界が広がっています」

 市場規模の拡大も目ざましい。4年ほど前からメタバース事業に取り組んできた舟越氏から見て、最近の世界の動きは「インターネットが出始めた時や、ガラケーからスマホに変わる時のようなゲームチェンジの瞬間と近い」。あらゆる都市をバーチャル化して、そこで人々が遊んだり、商品を売り買いしたりする動きが広がっており、市役所などの行政機関やアーティストのファンコミュニティなどにも幅広く使われるようになってきた。

 メタバースの驚異的な点は、その市場感だけではない。参加者は増え続け、日常の社会活動がリアルに行われることで、そこに実際の「社会」や「文化」が生まれていると言う。

 その象徴が、HIKKYのメタバース事業の主軸「バーチャルマーケット」というブランドだ。

「バーチャル空間上でお友達と遊びに行って商品を売り買いしたり、アトラクションを楽しんだり、時にはゴジラが襲ってくるといった体験が味わえます。そういった総合エンターテイメントみたいな街が、バーチャルマーケットです」

 この「バーチャルマーケット」は期間限定のイベントで、その間に100万人以上の参加者がこのメタバース空間に訪れる。ふたつのギネス世界記録に認定され「世界最大のVRイベント」と位置付けられている。

「メタバース上でアバターを持って活動している何万もの人たちはただ遊んでいるだけではなく、自分たちの居場所をつくり、商売をし、あらゆる社会活動を行うんです。これって本当にすごいことで、今までそんな世界なかった。あったとしてもとても限定的なコンテンツでした。

それが、徐々にVRのテクノロジーが一般化しSNSでも共有できるようになり、参加者が増えてきた。その結果いまや、メタバースの中で社会や文化が誕生しているんです。メタバースには一般の人もどんどん入ってきて、インターネット上に膨れあがっています」

 舟越氏はメタバースが「常識」になりつつあると言う。なぜ人々はバーチャルマーケットに熱狂するのか。その魅力は何だろうか。

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