グローバルのユーザー数は2億人超 顧客管理やSEO対策まで可能なWixの特徴
――まず、Wixの概要と特徴について教えてください。
Wixは、2006年にイスラエルで設立した企業です。2012年に日本語対応も果たし、2013年にナスダックに上場。2019年には日本法人であるWix.com Japanも設立されました。現在のユーザー数は、グローバルで2億2,000万人、日本国内では300万人にのぼります。
サービスとしてはノーコードのサイト制作ツールというイメージが強いかもしれませんが、それ以外にもさまざまな機能を用意。SEO対策、席予約、ネット注文、サービス予約、オンライン決済、請求処理などオールインワンで対応できるソリューションになっています。2021年11月にはWixサイトの顧客向けアプリ開発プラットフォーム「マイアプリ by Wix」の提供も開始しました。
Wixが用意しているプラットフォームはおもに3つあります。AIを活用することで初心者の方でも簡単にサイト制作が行える「Wix ADI」、パワーポイントのようにドラッグアンドドロップで制作することが可能な「Wix エディタ」、クリエイターが自由度高くつくることができるよう設計されている「Editor X」の3つです。
特徴は大きく4つあります。ひとつめは、ノーコード、あるいはローコードでサイトを制作できることです。いままでコーディングでしかできなかったサイト制作を少ない手間と時間で実現できることで、PDCAサイクルをスピーディーに回すことができる点が評価されているのだと思います。もちろん、高度なことをやりたい場合には、外部のデータベースと接続したり、制作者の腕次第で柔軟に拡張することも可能です。こうしたアプローチは最近のトレンドでもあると思いますが、2008年にFlash エディタをリリースして以降ユーザーのサイト制作に向き合い続けている、パイオニア的な存在だと自負しています。
2点めは、制作費用を抑えられることで必要な箇所にコストをかけることができるようになった点です。デザインアセットや写真などに時間や費用を割けるようになれば、サイトの目的を達成することに注力できます。制作後の運用面を意識しながら利用できることもメリットのひとつだと思っています。
3つめは、SaaSのサービスとして最新の機能やデザインを提供できることです。最先端の技術やトレンド、セキュリティ機能などを常に反映した形で利用いただくことができる。これは、6,000名近い社員の約半数がR&Dやエンジニアリングに携わっているからこそ実現できていることです。製品群も非常に多岐にわたるので、ドメイン、ホスティング、デザイン、SEO、eコマースなどを包括したオールインワンソリューションとしても活用いただいています。
4つめは、とくに企業さまから選定の決め手とも言っていただくことも多い、サポート体制やセキュリティ面です。採用サイトやイベントサイト、オウンドメディア、プロジェクトサイトなど、通常のコーポレートサイトとは異なる用途で利用いただくことも多いようです。
餅は餅屋ではないですが、安心して任せられる部分はプロに任せることで「その人自身にしかできないところに注力できるようにする」ことがWixの特徴だと思っています。
――なかでも、ローコード・ノーコードのウェブサイト制作サービスとしてのいちばんの強みは何ですか?
いちばんは、オールインワンのサービスであることだと思っています。サイトを制作し運用するユーザーは、個人、中小企業、大企業など多岐にわたります。そういった方々がビジネスを成長させていくなかで達成したいことはさらに多種多様。それぞれのニーズに応じたソリューションを提示できなければ、ビジョンを成し遂げることはできません。
しかしWixであればeコマースやオンラインサービス予約も対応できますし、SEO対策やドメイン、ホスティングなどもまとめて行うことができる。いままでだったらホスティング契約はここで、eコマースは別で、これはプラグインでというように窓口はそれぞれ別であることも多かったと思います。それを一気通貫でできる点が魅力です。
また2019年に日本法人を作った際に真っ先に行ったのは、日本のお客さま向けのコールセンターをつくりサポート体制を整えたこと。電話サポートやチャットボットだけでなく、今年は対人チャットもスタートする予定です。ノーコードやローコードが普及し、利用のハードルは下がっている一方、利用者のリテラシーが追いついていない部分もあるはず。だからこそ、電話でのサポートも引き続き行っていきたいと考えています。