近年、IT市場が年々拡大しており、プログラミングスキルを持った人材の不足が大きな問題となっています。そのため、個人でプログラミングを学ぼうとする人が増えているようです。しかし実際には、「独学でプログラミングを習得することは可能なの?」「どういう手順で学んでいけばいいのかわからない」と悩んでいる人が多いのではないでしょうか。
この記事では、プログラミングを独学で習得するための4つのステップと、効率的に学ぶためのコツについて解説します。
プログラミングとは、コンピューターに行わせる処理・業務を順番に記載したもの
プログラミングとは、コンピューターに行わせる処理・業務を順番に記載したものです。思いどおりに動かすための「指示書」のようなものと言い換えるとわかりやすいでしょう。
ただし、コンピューターに日本語や英語で伝えても、人間のように理解することはできません。そのため、コンピューター専用の言語を使って指示する必要があります。これを、「プログラミング言語」といいます。
また、プログラミングに近い言葉として「コーディング」があります。コーディングとは、コンピューターにしてほしい処理をプログラミング言語で記述することです。
プログラミング言語は、現在200種類以上あるといわれており、目的に応じて使い分けられています。ただし、実際によく使用されるプログラミング言語は20種類前後です。
プログラミングを独学で習得するための4つのステップ
「プログラミングを独学で習得していきたいけど、本当に可能なの?」と疑問に思っている人は、少なくないかもしれません。
結論からいえば、未経験者であっても独学でプログラミングを習得することは可能です。ただし、独学で進めていくためには、適したステップを踏みながら学んでいく必要があります。続いては、独学で習得するための手順を、4つのステップに分けて確認していきましょう。
1. 作りたいアプリやサービスなど、具体的な目標を決める
プログラミングを学ぶ前に、最終的に何を作りたいのか、あらかじめ目標を決めておきましょう。「普段よく使っている◯◯のようなアプリを作りたい」「△△の作業を効率化できるウェブサービスを作りたい」など、プログラミングを習得したらこれを実現したいと思う目標を設定してください。目標が具体的であればあるほど、習得が進みやすくなります。
目標が浮かばない場合、人工知能(AI)やメタバースなど、今後市場が拡大すると予想される分野に絞って作るものを決めるのもおすすめです。
2. 習得するプログラミング言語を決める
一口にプログラミング言語といってもさまざまな種類があり、目的やジャンルによって適した言語が異なります。作りたいアプリやサービス、プラットフォームに応じて、習得する言語を決めましょう。 代表的な開発分野と対応するプログラミング言語は、下記のとおりです。
開発分野別・適したプログラミング言語
- スマートフォンアプリの開発に適している言語:Java、Kotlin、Swift
- ウェブの開発に適している言語:Ruby、PHP
- デスクトップ用アプリの開発に適している言語:C#
- 機械学習やAIの分野に適している言語:Python、R
3. 小さいものから作っていく
プログラミング言語の基礎的な知識・スキルを習得したら、実際に何かアプリやサービスを作ってみましょう。その際、いきなり高度なものを作ることは避けてください。なぜなら、高いレベルの理想を設定してスタートすると、途中で挫折したりモチベーションが下がったりしてしまう可能性が高いからです。なるべく簡単に完成できるような、小さなものから作るのがおすすめです。
4. 無料で学べるサイトや動画・アプリ等を活用し、習得のレベルを上げていく
近年では、無料でプログラミングを学べるサイトや動画が数多くあります。初心者はまず、ゼロからプログラミングについて解説しているサイトや動画を活用しましょう。慣れるまでは、細かく段階を追って基礎的なポイントを理解していくのがおすすめです。
また、わかりづらい点について質問できるサイトもあります。こういったサイトをうまく使えば、モチベーションを維持しつつ効率的にプログラミングを学ぶことが可能です。
質問サイトには「メンター型」「掲示板型」の2種類があります。いずれのサイトも現役のITエンジニアやスキルを持っている人が回答してくれるので、自分に合ったサイトを積極的に利用してみてください。
そのほか、「プログラミング学習用のアプリやゲームを利用する」「プログラミングを学ぶコミュニティーや勉強会に参加し、仲間を作る」といった方法もあります。
プログラミングを独学で効率的に習得するためのコツ
プログラミングを独学で習得するには、想像以上に時間がかかります。ここでは、独学でも効率的に学習するためのコツを、3つご紹介しましょう。
目標を細かく設定し、習得状況を記録する
週単位や月単位など目標を細かく設定すれば、現状どこまで習得しているかがわかりやすくなります。目標達成まであとどれくらい学習すれば良いのかを確認できるとともに、モチベーションの維持にも役立ちます。 可能であれば、1日ごとに何をどれくらい勉強したのか記録しておいてください。簡単なメモで構いません。「ここまで習得できた」と把握することで、自分自身の成長を実感できるでしょう。
短い時間でも毎日プログラミング学習を続ける
プログラミングを独学で進めていくためには、学習を習慣化することが重要です。無理に長い時間を設定せず、「毎日30分」など習慣づけて学んでいきましょう。心理的なハードルが下がるとともに、プログラミングの知識が定着しやすくなります。
また、途中で理解しきれない部分があっても、まずは取り組んでいる教材を終わらせることが大切です。その後、同じ教材を2回、3回と繰り返し学び、理解しきれていない箇所を習得していってください。
正規表現の基礎をマスターする
正規表現とは、いくつかの文字列をパターン化して表現する手法です。正規表現を使えば、大量にある文章の中から特定した文字列を簡単に検索し、見つけることができます。
例えば「^」という正規表現で考えてみましょう。世界的シェアを持つアメリカのテクノロジー企業Apple社の製品にはiPadやiMac、iPodなど似たような名前があります。膨大な量のある製品データベースの中からそれらを取り出す場合、「^i...」と書きます。これは「先頭が文字列iから始まり、その後に続くのが3文字」という意味です。
こうした正規表現を習得すれば、プログラミングの作業効率が飛躍的にアップします。簡単に処理できるだけでなく、改良にも役立つでしょう。プログラミングではエディタを使いますが、正規表現を扱えるエディタであれば、大幅にソースコードを修正する際にも効果を発揮します。
モチベーションを維持しながら効率的に学んでいく工夫が必要
プログラミングを独学で習得するためのステップや、効率的に学ぶためのコツについて解説してきました。 プログラミングを独学で習得していく場合、途中で挫折してしまうケースが少なくありません。ですから、「目標を細かく設定する」「小規模なものから作っていく」「短い時間でもいいので毎日勉強する」「何をどこまで習得したか記録する」など、モチベーションを保ちながら進められるよう、うまく工夫することが重要です。
今回ご紹介した独学のためのステップや効率的に習得するコツを踏まえて、プログラミングの独学を進めていきましょう。