CPOは「全体のパフォーマンスと信頼性が非常に向上している」と強調
今回のAdobe MAXでも例年どおりテーマが掲げられており、今回は「速さ、使いやすさ&スーパーパワー」「協力的なクリエイティビティ」「3Dと没入方体験の制作」の3つ。各製品のアップデートはこのアウトラインに沿って解説されていった。
キーノートの冒頭では、アドビのCreative Cloud担当エグゼクティブバイスプレジデント兼CPO(最高製品責任者)であるScatt Belsky(スコット・ベルスキー)氏がビデオ登壇。次のように語り、製品群への自信をのぞかせた。
「我々のチームは、パフォーマンスの向上にも力を入れており、まだ道半ばではありますが、この一年でCreative Cloud全体のパフォーマンスと信頼性が非常に向上しています」
日本版のキーノートで最初に登壇した日本法人のアドビ株式会社で常務執行役員 兼 CMOの里村明洋氏は、冒頭でAdobe MAX恒例の作品応募コンテスト「MAX Challenge」の最優秀作品を発表。今回は例年の2倍近い数の応募があったことにも触れ、今年のイベントの盛況をアピールした。
また、里村氏はイベント同日から、サッカー動画編集コンテストがスタートしたことも発表。アドビではもともとレアル・マドリード公認のサッカースクールとパートナーシップを提携しており、今回のコンテストも、同スクールとともにサッカーコミュニティに向けたクリエイティビティを推進する取り組みの一環として実施される。
製品デモで紹介された、注目のアップデートと新機能
続いて、製品ジャンルごとの担当者が、製品の新機能を交えつつ実際のワークフローを意識したデモンストレーションを披露。ここでは、主要機能に関するトピックを厳選して紹介する。
Illustratorの「オブジェクトのクロスと重なり」やPhotoshop「ライブグラデーション」の新機能も
Illustratorでは、「オブジェクトのクロスと重なり」機能により、複数のオブジェクトの重なりを調整できるように。デモでは、うさぎのイラストが文字の前後に交差させる様子が紹介された。従来はオブジェクトのコピーを作成して、切り貼りを駆使する必要があった工程だが、同機能によってその工数の簡略化が見込まれる。
共有ボタンからメンバーを編集に招待するレビュー機能も重要なトピックのひとつ。具体的には、メンバーや組織を限定した共有や、リンクを作成する共有方法などを選択できる。なお、こうしたレビュー機能はIllustratorの新機能という文脈で紹介されたが、PhotoshopやInDesignなどでも利用可能になっている。
ウェブアプリケーションとしてブラウザから利用できる「Adobe Express」では、従来からフォーマットを活用した手早いデザインの作成が可能であった。新たに、作成中の画像に応じてオススメのフォントを表示したり、背景を自動認識させて削除したりするなど、AIを駆使した機能などが追加されている。制作物を、スケジュールを指定して、SNSへ投稿できる機能も備えた。
Photoshopに関しては、昨年2021年に公開されたウェブ版のPhotoshopで使用できる機能として、ワンクリックでエフェクトを反映できる「クイックアクション」機能や、クイック選択ツールから特定の被写体に対して部分的に編集を加える機能などが紹介された。
一方、デスクトップ版のPhotoshopならではのトピックとしては、新機能の「ライブグラデーション」などが挙げられた。デモでは同機能を用いることで、光の差し込みを再現する様子などが解説された。また、「オブジェクト選択ツール」では、Shift+Deleteというホットキー操作によって、選択したオブジェクトの削除操作が容易に実行できるようになったこともポイントである。